内容紹介
ヨーロッパのボードゲームが花開いた黄金時代。「西洋版すごろく」の豊かな世界をビジュアルにたどる。
ボードゲームは、革命であり教育でありエンタメであり文化史でありジャーナリズムでもあった。要は、世界の縮図である。
------鴻巣友季子(翻訳家)
19世紀から現代まで、いつの世も盤面は人の心を転写してきた。不可視の運命を可視化する、ボードゲームの魔力に触れる一冊。
------渡辺範明(ゲームデザイナー/プロデューサー、「ドロッセルマイヤーズ」店主)
本書で紹介するゲームは「西洋版すごろく」とでも言うべきもので、古き良き意匠がほどこされたマスを追って眺めているだけでも、子供のころのわくわくした気持ちがよみがえるだろう。
初期の高価な手彩色のゲームは上流階級向けの娯楽だったが、安価な大量生産が普及し大衆化するとともに、扱うテーマもデザインも多様に変化していった。
ボードゲームの基本となった《がちょうのゲーム》は、サイコロを振ってマスを進み、マスによっては前進後退の仕掛けがほどこされた、おなじみのすごろくだ。《がちょうのゲーム》は中世に遡る起源をもつ。この伝統的なコース設計やルールを土台に、観光旅行・レジャー・学習・道徳・広告・プロパガンダ・風刺といったテーマと融合させて、新しいゲームがいくつも生み出された。
新しいゲームに選ばれたテーマとは、すなわち19世紀ヨーロッパの世相を反映する流行や社会問題でもあった。著者は娯楽としてのゲームの楽しみとともに、どのようにゲームが世界を映し取ったのかも解き明かす。
著者が蒐集した一級のコレクションから89種のゲームを紹介。現存数の少ない希少なゲームも含まれており、他に類のない資料性も高い一冊。
【目次】
はじめに
Chapter 1 がちょうのゲーム
Chapter 2 ふくろうのゲームとギャンブルゲーム
Chapter 3 教育的ゲーム------楽しく学ぶ
Chapter 4 道徳と宗教------品行方正に!
Chapter 5 世界を旅する------どこへ行こうか?
Chapter 6 戦闘・包囲戦・一騎討------想像力の対決
Chapter 7 スポーツとレジャー------楽しもう!
Chapter 8 風刺と抗議------ゲームで一刺し
Chapter 9 広告と宣伝------メッセージを加える
Chapter 10 米国へ渡ったボードゲーム------「新しさ」の追求