内容紹介

デザイン思考に特別なノウハウやセンスは不要!
SAP、ネスレ日本、小林製薬、バルミューダ、マザーハウス…
日本にも成功事例はたくさんあるし、誰でも実践できるものなのだ。

新たな事業や仕組みを創造する組織をどのようにつくるか?
あのユニークなヒット商品はどうやって生み出されたのか?

本書は、国内外の先進事例を知る著者が、日本企業の取り組みも紹介しながら、アイデア発想やプロトタイプによる検証など、デザイン思考を経営に取り入れるための基本と実践を総合的に解説。経営者から商品開発担当者まで必携の一冊。

◆デザイン思考の導入は難しい?
 デザイン思考とは、従来の手法では見出せなかった問題を発見し、新たな事業(モデル)や仕組みを創造する手法で、d.school(スタンフォード大学)が有名だ。
 ただ、特殊なスキルが必要との思い込みから導入を躊躇う企業が多い。また、①用語や技術にこだわる、②完璧主義、③自前主義(非オープン)など、日本特有の理由からうまくいかないケースも少なくない。

◆トヨタの“カイゼン”も実践例のひとつ
 一方で、成果をあげている日本企業もある。
 例えば、トヨタのカイゼン。「なぜ(Why)を5回繰り返す」はデザイン思考の重要スキルセット「5Why」として普及。またその起点となる現場の観察は、デザイン思考の人間中心のマインドセットを支えるものである。
 いまやSAP、ネスレ日本、小林製薬、サントリー、バルミューダ、マザーハウスなど成功事例は続出、富士通やSOMPOホールディングスなど導入を進める企業も増えてきた。

◆デザイン思考で時代の荒波を乗り越える
 VUCAの時代には事業環境の不確実性、不透明性が増す。AIやロボット技術が進展するなか、デジタル技術・ネットワーク化を駆使した新たな事業創造が欠かせない。さらにSDGsへの取り組みも必須で、未知・未経験分野へ進出するための武器としてデザイン思考の実践的導入はますます重要になる。

 本書は、国内外の最前線を知る著者が、具体的事例とともに、デザイン思考導入の基本と実践を総合的に解説する、経営者から開発担当者まで必携の一冊である。

目次

第1章 社会とデザイン
 1 日本の創造力への評価は低くなかった
 2 デザイン思考と創造力に対する自信(Creative Confidence)
 3 不透明な社会、市場とデザインへの関心
 4 市場を創造する思考法
 5 高度成長を支えた日本企業の思考法
 6 広義と狭義の「デザイン」
 7 「デザイン」の経営への導入

第2章 デザイン行動と試行錯誤
 1 デザイン行動
 2 デザイン行動モデル
 3 「あいまい」な情報を取り扱う

第3章 デザイン思考とデザイン行動
 1 ホンダジェット(Honda Jet)
 2 デザイン思考は優れたデザイナーのマインドセットを活用する
 3 優れたデザイナーのマインドセット
 4 デザイナーの態度と行動

第4章 観察によって人間を理解する
 1 バルミューダ ザ・グリーンファン
 2 観察(Observation)と共感(Empathize)
 3 共感マップ
 4 共感マップと観察
 5 観察の進め方

第5章 観察のスキルセット
 1 ボルダリングの「オブザベーション」
 2 体験を可視化する
 3 観察
 4 観察の記録
 5 表現の多用化

第6章 問題を発見する
 1 サントリー「クラフトボス」開発の手がかりは「爽快感」
 2 問題を発見する
 3 問題の発見を支援するスキルセット

第7章 問題を解決する
 1 ナイトミン耳ほぐタイム
 2 問題解決行動における人間中心思考
 3 問題解決行動とスキルセット
 4 異質な要素の組み合わせを促進するスキルセット
 5 アイデアの評価とブラッシュアップ

第8章 体験のプロトタイプをつくる
 1 バルミューダ「The Toaster」
 2 プロトタイプ
 3 体験のプロトタイプ
 4 フィジカル・プロトタイプ

第9章 デザイン思考ワークショップ
 1 IDEOによる、ショッピングカート体験のリ・デザインワークショップ
 2 ワークショップのテーマを設定する
 3 ワークショップのセットアップ
 4 ワークショップの運用
 5 リフレーミング
 6 振り返り

第10章 デザイン思考の組織導入
 1 SAP
 2 ネスレ日本
 3 マザーハウス

第11章 スタンフォード大学のデザイン教育プログラム
 1 スタンフォード大学のデザイン教育
 2 ME115A(Introduction to Human Values in Design)
 3 ME216A(Advanced Product Design:Needfinding)

第12章 デザイン思考の実践