内容紹介

 戦略的コミュニケーションは、情報化と価値外交の時代の新たな政策課題。言語、行動(あるいは非行動)、イメージやシンボルを用いて、自分の政策目標の達成の助力になるように、相手の行動や態度を変更させることを目的とした外交・安全保障政策の実施を指す。情報通信技術の進展に伴い、外交・安全保障も政治社会におけるコミュニケーションとその影響をよく理解し、変化に適応する必要がある。だが残念ながら日本では十分に理解されていない。本書は、戦略的コミュニケーションを、理論的・歴史的、公共政策的視野にもとづいて第一人者が解説する初めての書である。

目次

 第1章 戦略的コミュニケーション――戦略の模索と創出
1.戦略的コミュニケーションへの注目
2.戦略的コミュニケーションの中心性
3.戦略的コミュニケーションの政治目的――ルールにもとづく国際秩序
4.戦略的コミュニケーションの定義と概念
5.戦略的コミュニケーションの機能――構築、防衛、レジリエンス
6.戦略的コミュニケーションのアプローチ――説得、強制、関与
7.戦略的コミュニケーションの死角
8.比較概念――広報外交、プロパガンダ、情報作戦(活動)・心理戦
 第2章 前史――権力と空間、時間の構築
1.帝国と情報
2.改革・革命と情報
3.戦時コミュニケーションの発展と制度化――第一次世界大戦から第二次世界大戦へ
4.広報外交の起こりと限界――冷戦期から冷戦後へ
5.9.11後の世界と戦略的コミュニケーションの起こり
 第3章 構築――ナラテイブと国際秩序の構築
1.戦略と国際関係の構築
2.戦略ナラテイブの構築
3.価値と国際連携
 第4章 防衛――価値の防衛
1.情報活動の二つの側面
2.戦略的コミュニケーションの視点からみたハイブリッド戦
3.偽情報の脅威
4.影響工作からの防衛
5.非国家主体の情報活動からの防衛
 第5章 レジリエンス――社会の分断の防止
1.レジリエンス政策へのニーズー二つの「前線」
2.長期的レジリエンスの政策と戦略
3.政府全体・社会全体の対応
4.国際連携の実態と課題
 第6章 実施――原則と制度
1.戦略的コミュニケーションの原則
2.制度的要件
3.英国の戦略的コミュニケーション
4.事例 危機主導で発展してきた英国
5.日本――制度なき実践