内容紹介

ヒトこそ価値の源泉、最重要資本である!

「国際規格ISO 30414」
「人材版伊藤レポート」
「サステナビリティ報告」……
SDGs時代のグローバル標準に対応した人材マネジメントとは?
味の素、エーザイ、オムロン、花王、ソニー、SOMPO HDなど先進企業の取り組みも紹介しながら、その基本を実践的に解説。

◇「金融資本主義」から「人的資本主義」へ
 「人権尊重」「人本主義」など、「人財」に価値を置く経営が世界的潮流となり、ESG投資における評価でも重要な要素となっている。特に注目を集めているのが、価値創造に貢献する人財に投資し中長期的な企業価値の向上につなげる「人的資本経営」(Human Capital Management)である。
 2008年のリーマンショックを契機にその重要性が強く認識され、「金融資本主義」から「人的資本主義」へのパラダイムシフトが叫ばれることとなった。

◇「人的資本」重視と情報開示は世界の常識に  こうした流れを加速しているのが、人的資本に関する情報開示のトレンドである。ISOが国際標準ガイドライン「ISO 30414」を公表。米国では2020年11月より上場企業の人的資本開示が義務化された。
 実際、欧米では既に人的資本経営に大きく舵を切る企業が続出。日本もこうしたトレンドと無縁でいられるはずはなく、具体的対応を開始する先進企業が出始めている。
 本書は、人事革新の実践に定評ある筆者が、企業が直面する「いま・ここ」を俯瞰し、企業価値創造に向けた「これから」の経営の要諦を予測。その実現に向けた「あるべき姿」を提示する、経営層・人事関係者必携の一冊である。

目次

はじめに 加速する人的資本経営

第1章 いまなぜ「人的資本経営」か?
 1 日本的経営は「偽りの優しさ」だったのか?
 2 「人的資本経営」の現在地
 3 地球視点で考える人事の時代の到来
 4 資本主義の再構築と再定義
 5 SDGs・ESGが迫る経営・人事変革
 6 本格化する人的資本経営

第2章 人的資本開示の潮流
 1 国際規格ISO 30414のインパクト
 2 米国の人的資本開示の政策の動き
 3 日本の人的資本開示の政策の動き
 4 「人材版伊藤レポート」を契機とした人的資本経営の加速化

第3章 人的資本経営におけるデータ活用
 1 増加する人的資本報告
 2 人的資本報告書で開示が求められるデータ
 3 サステナビリティ報告で求められる人的資本データ
 4 人的資本経営におけるデータ活用

第4章 人的資本経営にHRテクノロジーを実装する
 1 HRテクノロジーの飛躍的進歩と浸透
 2 KGIとしての人的資本ROIが生産性を高める
 3 「ナラティブ」視点の重要性

第5章 先進企業にみる人的資本経営の現在
 1 従業員の「自分ごと化」をASVの中核に――味の素グループ
 2 「従業員インパクト会計」のインパクト――エーザイ
 3 「人的創造性」の向上に取り組む――オムロン
 4 豊かな共生社会を実現する――花王
 5 10年改革の視座――カゴメ
 6 人的資本は「将来の財務情報」――双日
 7 多様な個の成長の総和がグループ全体の成長をもたらす――ソニーグループ
 8 パーパス浸透と連動した人材戦略――SOMPOホールティングス
 9 10年ビジョンの人財マネジメント改革――日立製作所
 10 変革に向けた人材戦略――三菱ケミカル

第6章 人的資本経営の実践に向けて
 1 人的資本経営の実践と持続的推進体制の整備
 2 パーパス起点の組織と人材
 3 「コグニティブダイバーシティ」の実践と「インクルーシブリーダーシップ」
 4 「グレート・ナラティブカンパニー」を目指して

おわりに 人材が競争力の源泉であり続けるために