内容紹介

 資源に乏しい日本は人材によって成長を実現してきたと言われてきたが、企業の人材投資の方法論は、流動化する労働市場や多様化する働き方、人材に対する高い専門性の追求など、さまざまな環境変化に対応することが求められるようになっている。しかし、日本企業は多くの場合、人材への投資を正確に把握しているわけではない。また、重視していると言われるOJTにおいても、効果検証がきちんと行われているとはいえない。まさにジレンマと言ってよい状況である。コロナ感染拡大などもあって職場が変質している今、OJTの再編成や体系化などが必要である。
 本書は、このような問題意識に基づいて、改革の方向性を探るために、東京と米国カリフォルニア州で合計13社、24名の人事責任者インタビュー調査と20~40代の約2300人を対象として、3時点でのアンケート調査を行った。結果として、4つの提言がまとまった。
①外部労働市場との戦略的連携
②人材育成のパラダイムシフト
③働く人のマインドへの投資
④組織開発の進展
である。人材マネジメント全体を網羅してはいないが、この4点は、変化する環境のなかで、現在の人材マネジメントを改革するうえで考慮すべき点である。
 

目次

序 章 今、私たちは人的投資の転換点にいる
第1章 今でも日本企業は人材に力を入れていると言えるのか?
第2章 日本企業の人材マネジメントは時代遅れになっていないか?
第3章 みんなで同じ研修から人それぞれの特徴を活かす方向へ
第4章 スキル面の能力開発だけでは生産性は上がらない――マインド面への投資がカギ
第5章 組織づくりのための投資のすすめ――人材育成としての組織開発
終 章 人材投資改革の方向性