内容紹介
EV(電気自動車)、通信衛星、人型ロボット、AI、ロケット……。次々と事業を展開して世界を驚かせる実業家イーロン・マスク氏。スペースXの株式公開により、スウェーデンの国家予算の3倍以上という1兆ドルを超す個人資産を築いたマスク氏は「マスク帝国」と呼べるほどの事業体を拡大しつつある。本書は、元・日経ビジネスNY支局長である著者の長年の取材の蓄積と共に、マスク帝国の資産や人脈、事業規模、サプライチェーン、さらに地政学的な影響におよぶ入手可能なデータの分析により、その実態を徹底解剖していく。
米国で熱狂的支持を受ける一方で反発を買うマスク氏の経営者、リーダーとしての二面性、これまで報道されてこなかった米・金融業界による鉄壁の支援体制、さらに、マスク氏が引き起こした「ものづくり革命」の実態と、その源流となった日本の製造現場の教え……。知られざるマスク帝国の強大さ、マスク氏の目指すもの(=北極星)、さらに日本に残された可能性についても鋭く考察する。
<目次>
第1章 新・宇宙戦争―覇権争いの裏に潜む「真の動機」
スターリンクが変えた地上のパワーバランス
迫りくる中国国家プロジェクト「国網」の脅威
宇宙覇権を決めるロケット競争 | マスク氏対ベゾス氏の攻防
地上の闘争に興味なし、目指すは「人類の火星移住」
テラファブとマクロハード計画から浮かぶ「帝国の地図」
ニューラリンクと意識の保存
第2章 ボカチカの狂騒―SFをリアルに落とし込む財務戦略…
荒野に現れたロケット基地
知られざる帝国のお財布事情
そしてAIの舞台も宇宙へ
マスク経済圏に群がるウォール街と「宇宙AIコングロマリット」のレバレッジ構造
マスク帝国の金庫番、ジャレッド・バーチャル氏の実像
第3章 はまり始めたパズルのピース―xAI、X、テラファブの必然…
グロックはAI業界の負け組か
知られざるXの威力テラファブに浮かぶ強力な垂直統合戦略
宇宙の経済合理性と第一原理主義
特許と人材戦略に浮かぶ、事業間の相乗効果
太陽光の届かない場所へ、ポータブル原子炉という切り札
第4章 大野耐一とイーロン・マスク―製造業革命の深層
ギガファクトリーの衝撃
第一原理主義が生んだ、もう一つのものづくり革命
オプティマスを支える見えない手
マスク氏と中国政府の10年
脱中国という果てしない闘い
第5章 天才と狂気の「帝国経営論」―なぜこの男だけが実現できるのか…
闘争する男―ベゾス氏・アルトマン氏との思想戦
未来のイーロンを納得させろ
マスク氏の専用機が語る帝国経営
光と影―帝国を辞めた人々と利益相反
第6章 天使か悪魔か─熱狂と憎悪を生む男の正体
ファンボーイたちの肖像
なぜこの男は生まれたのか
トランプ氏との蜜月と離反―「どちらでもない」国民が求めたもの
熱狂―憎悪 | SNSが映し出す分断の時代
第7章 日本は「帝国」とどう向き合うべきか
数字が突きつける真実
日本にあった芽―なぜ花は咲かなかったのか
帝国から何を学ぶか
エコシステムへの入り込み方
あなたの中に「マスク」はいる
