「またか」「何度言っても直らない」「今日も部下のミスの尻拭いで残業。自分でやったほうが早かった……」。周囲の“いつものミス”にため息をつくことはありませんか? また、他人だけでなく自分のミスにうんざりすることもあるでしょう。そんな時に使えるのが「失敗マップ」という新ツールです。失敗マップを使って、どうミスを防ぎ、どう改善につなげるのか。その具体的な方法や事例を紹介している『 失敗マップのすすめ 』(飯野謙次著)より抜粋・再構成してご紹介します。今回は「失敗マップを使いこなすためのミニクイズ」をお届けします。
そのミス、失敗マップのどのエリアに当たる?
クイズ形式で世の中の失敗を挙げていますので、それぞれが失敗マップのどこに振り分けられるか考える練習をしましょう。
それぞれの問題について、自分は失敗マップのどのエリアに位置付けるか考えてから、次に進んでください。
Q1. スパムメールでウイルスに感染
基本的には当人の不注意が原因なので……
初期のコンピューターウイルスは、自己増殖をしてシステムのパフォーマンス低下やストレージの容量不足を誘う程度のかわいいものでした。
ですが、今では社内ネットワークやウェブサーバーを使用不能にし、身代金を要求するランサムウェアなるものまで出てきました。このような悪意のあるソフトの侵入経路はいくつかありますが、その中の1つがメールです。
こういった迷惑メールを「スパム」と呼びますが、その語源は1970年に放送されたイギリスの喜劇、『空飛ぶモンティ・パイソン』(原題:Monty Python’s Flying Circus)にあるようです。スパム(ランチョンミートの缶詰)嫌いの客が食堂に入ると、注文できるものがすべてスパム入りで、ウェイトレスや関係ない客まで「SPAM, SPAM ……」と繰り返したエピソードだそうです。
最近は、組織の情報管理に責任のある部署が、組織員にスパムメールを装ったメールを送りつけ、中にあるリンクをクリックするかしないかを見て、クリックしてしまった人には多少の小言と、機密保護について再教育しているなどの話を聞きます。
ただ、先日、知り合いとそんな雑談をしていたら、開けてしまう人は、再教育を受けてもまた次の時に開けてしまう傾向があるとのことでした。スパムメールがますます巧妙になっていることもありますが、それをおいても、そこまでの素直な性格は今ではある種、貴重な人材です。そうした人たちを守る意味でも、組織的な対策が急務といえるでしょう。
Q2. 海外送金がうまくできない
1人作業ではあるものの……
海外送金のやり方がわからなかったのは私の実体験です。
法人口座を新たに設けた際、海外送金のやり方がわからず、銀行口座ホームページに表示されている電話番号に電話をかけました。電話がつながった後に数字ボタンを何回か正確に押さないと、話を聞いてくれる人間にたどり着きさえしません。
ようやく人とつながり、状況を説明すると、スマホにインストールしたツールと連動して先に進むことがわかりました。ただ、その後も、電話越しに「○○の下にある□□のボタンを押してください」と指示をしてもらって、操作は私がしました。何のためのオンラインツールなのかと思わずにはいられませんが、いずれその手順を覚えないといけませんね。
この第4エリアに入る失敗は、作業を支援してくれるツールが良くなれば、やがて改善されると期待できます。それまでは、今回のケースのように個別に対応していくか、あるいはミスをした結果の影響が組織外に及ぶものに関しては、組織で何らかの方法を確立したほうがよいでしょう。
一方、今回のケースにおける海外送金サービスの提供者のようにあなたの所属する組織や提供サービスの不備によって第2エリアの失敗が起こってしまっている場合には、個別のサポートに終始するのではなく、根本的な制度策定やサービスの改修に取り組むことが必要です。
Q3. 美術品の修復に失敗
なぜこれが起きたか、から考えると……
スペインで修復が失敗に終わった例は、これが初めてではありません。2012年、報道番組で「Ecce Homo(この人を見よ)」の修復前後の映像を見たときは、唖然(あぜん)としました。
保存状態が悪くて大いに傷んでいたキリストの胸から上のフレスコ画を、その教会に通い、熱心な信者でもあったアマチュア風景画家が修復しようとして、似ても似つかない滑稽な姿に変えてしまったのです。
修復後、「猿のキリスト」との汚名を着せられ、ニュースは世界中を駆け巡り、皮肉なことにこの修復を見ようと多くの観光客が集まって、村に大きな経済効果をもたらしたそうです。場所は、スペイン北東部の内陸、アラゴン州サラゴサ県ボルハ市サントゥアリオ・デ・ミセリコルディアの教会です。
今回の修復失敗は、この逆転劇の大成功にあやかろうとしたのかもしれません。
いよいよ自分だけの失敗マップをつくってみる
失敗マップとは何か、そして失敗をどのように各エリアに振り分けるかがわかり始めたところで、実際に自分のための失敗マップを作成してみましょう。この、「自分だけの失敗マップづくり」は、「そもそもミスの少ない人」「同じ失敗を繰り返さない人」の思考プロセスをたどっていく試みです。
まずは失敗マップのベースを用意します。次図(第2回に掲載した図と同じです)をコピーしてもいいですし、白い紙に縦軸と横軸が直角に交差するように書き、縦軸の上に「組織」、下に「個人」、横軸の左に「定番」、右に「稀」と書いて自作してもいいですね。
これからプロットする丸を後から動かせるようにしたいなら、パワーポイントのようなグラフィックソフトがおすすめです。
ベースが準備できたら、あなたがこれから行おうとすること、あるいは失敗してしまって対策を立てたいことをこのマップにプロットしていきます。
プロットする際に注意したいのは、複数人が関わる作業として、作業全体の成功を望むのか、自分ひとりの分担について考えるのかで、プロットする位置が変わってくることです。
例えば、「5人作業」で「週に1回」のことであれば次図のようにプロットします。
また、見積書、請求書、納品書の発行業務を担当していて日々何らかの書類を発行するときの間違いを避けたい場合も「1日1回以上」「1人作業」が交わる第3エリアになります。
一方、20人からなる営業グループの一員として四半期の成績を伸ばしたいのであれば、「年に数回」「何十人」が交わる第4エリアにプロットします。
飯野謙次著/日経BP/1980円(税込み)









