その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は山崎将志さんの 『父さんが子供たちに7時間で教える株とお金儲けの教養。』 です。
【講義の前に】僕らが株を学ぶ理由
父:これから毎週日曜日の夜に1時間、7回にわたって中高生のための株式投資講座をやっていきます。よろしくお願いします。
竹二、梅三:はい、よろしくお願いしまーす。
父:今日はイントロダクションということで、短くいきます。まず二人に伝えたいことは、一見、株式投資はすごく簡単にできるってこと。誰でもできる。いますぐオンラインの証券会社に口座申し込み手続きをすれば、一週間後にはもう始められる。未成年であっても親の承諾があれば口座を開くことができる。
竹二:小学生でも?
父:小学生どころか、0歳児でも口座は開ける。まあこの場合は親が全部管理するんだけどね。だから、君たちは何の問題もなく口座を作れる。口座を作ったら銀行口座から証券口座にお金を移して、株を買ったり売ったりする。一言で言えばそれだけだ。ゲームのサインアップと同じくらい、めっちゃ簡単なんだよ。
梅三:じゃ、いまから申し込み手続き一緒にやるの?
父:いや、今日はやらない。用意した内容が全部終わった後も口座開設の申し込みするかどうかはわからない。それは君らがどれくらいこれから話すことを理解できるかしだいだね。
竹二:でも、簡単なんでしょ。
父:そう。簡単。でも簡単なことほど奥が深い。俺たちができることは株式市場で売り買いが可能な会社の株、これを銘柄って言うんだけど、銘柄を選んで買う。その銘柄は上がるか下がるか、この2種類しかない。そして俺たちはどこかのタイミングで売る。株は上がるか下がるしかなく、俺らは買うか売るかのどちらかしかできない。
梅三:ゲームの『太鼓の達人』みたい。
父:え、どういうこと?
梅三:「ドン」と「カン」しかない。
父:そう(笑)。それくらいシンプル。さらに俺らが得る結果もたったの2種類。買った時より高い値段で売れればお金は増えるし、買った時よりも安い値段で売ればお金は減る。お金が増えれば勝ちだし、減れば負け。
■「儲かる人」と「損する人」はどっちが多い?
竹二:ってことはさ、勝ち負けは半々になるってこと? そうだとしたら回数を重ねると結果はプラマイゼロだよね。だったらやってもやらなくても一緒じゃん。
梅三:何でそうなるの?
竹二:勝ち負けの確率が半々ってことはさ、コイン投げと同じじゃん。コインをトスすると裏か表のどちらかが2分の1の確率で出る。3回連続で同じ面が出ることもあれば、10回連続出ることもある。でも連続して同じ面が出る確率は回数が増えるほど少なくなっていく。
父:3回連続で同じ面が出る確率は、2分の1の3乗で8分の1、10回連続は1024分の1だね。これ、わかる?
梅三:わかる。
竹二:逆の面が連続して出る確率も同じ。だからコイン投げをたくさんの回数こなすと確率は2分の1に近づく。だからコインの裏表どっちかが出る方にお金を賭けるゲームがあるとすると、途中で勝ったり負けたりはするけど、結局プラスマイナスはゼロになるってこと。父さん、合ってる?
父:そう、合ってる。これ「丁半博打」っていうよ。
竹二:何、それ?
父:サイコロを二つ入れた茶碗を振って、ゴザの上に伏せて置く。その出目の和が、丁(偶数)か、半(奇数)かを予想する賭け事。
梅三:ああ、漫画の『カイジ』に出てきたな。父さん、やったことある?
父:ない。時代劇でやくざ者がやってるシーンをテレビで見たことがあるくらい(※1)。話を戻すと、株の値動きは短期間で見れば上がるか下がるかは2分の1だ。だから結果は丁半博打と同じでプラマイゼロになる。厳密に言えば株式の売買には手数料がかかるから、その分だけマイナスになる。ちなみに丁半博打も「胴元」と呼ばれる運営者に手数料を払わないといけないから、長期的には胴元しか勝てないんだけどね。
竹二:だったらやる意味ないじゃん。
父:それどころか、手数料を無視したとしても、実際のところ株は負ける人の方が多いというデータがあるんだよ。ある証券会社(※2)の調べでは、通算で損をしている人が全体の6割以上で、プラスの人は1割しかいないらしい。プラマイゼロで済んでいる人は平均よりも優秀なんだよ。
梅三:マジで? 何でそうなるの?
父:これが株式投資の奥深いところなんだよね。一番の理由は、最初に言ったように株式投資は手続き的にはものすごく簡単だからだと父さんは思うね。口座は誰でもすぐに作れるし、クリック一つで株は買える。お金が数えられて、字が読めて、四則演算ができてれば、特別な知識がなくてもできる。
■ 株は誰でもできる。だから株式市場は恐ろしい
竹二:1カ月で10%増えました、みたいな動画見たことある。
梅三:俺は1週間で50万が200万に増えた、ってのを見た。
父:そう。ラッキーパンチがあるんだよ。ファンドマネジャー(※3)が真剣に選んだ株と、サルがダーツを投げて適当に選んだ株を長期投資した結果サルが勝った、という調査(※4)もある。でも株式市場って実は恐ろしいところでさ、プロも素人も同じリング上で戦ってるんだよ。何の知識もスキルもなくリングに上がったらヘビー級ボクサーからのジャブ一発で失神しちゃう。たまたまド素人の相手が勝つときもあるけど、まあ基本負けるわな。
※4 『ウォール街のランダム・ウォーカー』(バートン・マルキール著、井手正介訳、日本経済新聞出版)
梅三:確かに。
竹二:無差別級のバトルだね。
父:だから知識と経験が必要なんだ。野球やるならまずバッティングセンターで練習するでしょ。するとそのうち当たるようになる。でも打席に立つと打てない。
竹二:生きた球だし。
梅三:ストライクだけが来るわけじゃないし、変化球もあるしね。
父:プレッシャーもあるよね。ここは絶対に打たなきゃって思うと、打てない。
竹二:確かに。
父:何を隠そう、父さんも長い間ずっと負け組だった。年間を通じてプラスが出るようになったのは、この5年くらい。
竹二:ホント?
父:ああ。だいぶ負けた。だから、どうすれば負けるかはよーく知ってる。いまのところはプラスになってるけど、この先もプラスであり続ける自信は、正直全くない。
竹二:じゃあ、何でやるの? 負けたらお金なくなっちゃうじゃん。
■ なぜ株式投資をするのか
父:もちろん、株式投資に手を出さない人生もある。実際にそういう人が大半だしね。事実、日本人の実に6割は株式投資はしていない。(※5)中には株式投資に回すお金がないからできないという人ももちろんいるのだけど、貯金を全部現金で持っているような人も多い。だからこの講座を聞いた後、やっぱり株なんかやるべきではないと結論付けたとしても、それは一つの考え方だ。尊重するよ。
だけど父さんが株式投資をやる理由は、可能性を追求したいからだよ。一つは自分自身の可能性の追求。例えば二人とも野球やってるけど、プロ野球選手になって稼ぎたいと思ってやってる?
竹二:いや、俺は絶対それは無理。
梅三:うーん、わからない。
父:プロ野球選手になるのはものすごく確率が低い。ドラフトを経てプロ野球選手になれるのは毎年100人ぐらい。(※6)なったとしても一軍の試合に出られるのは300人程度(※7)しかいないでしょ、すべての年齢の選手合わせて。野球やるのはそれなりにお金かかるけど、「プロ野球選手になる見込みはないからお金の無駄」かっていうと、そういうわけじゃない。父さんは一度も野球をやれなんて強制したことはないから、二人とも好きで楽しいからやってる、ってことでしょ。
※7 ベンチ入りできる人数上限26人×12球団。
竹二・梅三:そう。
父:楽しいってのは、チャンスで打てたり、三振取れたり、試合に勝てたりとかで、いままでできなかったことができるようになるから、ってのはあるよね。
梅三:まさに。それが楽しい。
父:勉強だって同じだよね。大学に入ったら幸せになるわけでもないし、大学出て就職したら必ず稼げるわけでもないのは、君らでも想像がつくと思う。でも、先のことは確約されていないから勉強はしない、って理屈は通らないでしょ。絶対に成功するかはわからないけど、その可能性に期待して、一つひとつわかること、できることを増やしていくわけじゃない?
竹二:まあ、そうかな……。
父:父さんにとっても株式投資は同じ。もちろん自分の可能性に賭けている一番の対象は仕事なんだけどね。できれば株式投資でも勝ち組に入りたい。その方法はあるはずだと信じてコツコツ実践と勉強を続けてる。父さんがいつも言ってることよ。「できると思えばできる、できないと思えばできない」
梅三:あきらめたらそこで試合終了(※8)、ってやつね。
竹二:スラムダンクか!
父:そうそう。自分の可能性を追求したいのが理由の一つ。もう一つの理由はね、父さんは人類の可能性に賭けてる。ちょっと大げさな言い方だけど、まじめな話。いま地球上で人類は最強の生物になったけど、その過程でいろんな試練を乗り越えてきた。肉体的には取るに足らないちっぽけな生き物が、火を使う方法を見つけ、土器、鉄器を発明し、農業革命、産業革命を起こした。数々の自然災害や感染症を乗り越え、大きな戦争を通じて学び、いまではものすごく豊かになった。こうなった理由は、宗教、政治、科学技術などによるところが大きいんだけど、根底にあるのは、すべての人はいまよりも明日を良くしたいと考えている、つまり希望を持っているからだと、父さんは思うのね。そのうちの一定割合の人は希望に近づくために具体的な行動を起こす。すると新しいモノ・コトが生まれ、経済が発展する。人類が存続する限りこれが続くと思ってる。だから株式投資をするんだ。
竹二:最後のところはちょっとわかんないんだけど……。
父:それはこれからじっくり説明していくよ。でも今日のところはイメージをつかんでもらうためにこんな図表を用意した(図表1)。
■ 日本株は70年で150倍になっている
父:これは過去約70年間の日経平均の推移。日経平均とは、日本を代表する225社の平均株価のことだ。これを見ると日本の株式市場全体の大まかな値動きを把握できる。横軸が年、縦軸は日経平均の値ね。1989年以降下がっていって、2012年から上昇に転じているのがわかると思う。
竹二:89年以降は、バブル崩壊ってやつ?
父:そう。それ以降ずいぶん長い間日本経済は低迷していて、株式市場も活気がなかった。でももう少し長期で見てみよう。日経平均という値の算出が始まったのは、1950年のこと。70年の歴史があるんだね。1950年の日経平均は176円21銭円だったと記録されている。この図にはないけど、2020年の終値は2万7444円17銭だ。ってことは何倍になった?
梅三:だいたい150倍。
父:さすが暗算三段。計算速いね。これが何を意味してるかっていうと、もし1950年に1万円分の株を買ってずっと持ち続けてたらいま150万円になってるってことだ。
梅三:大金じゃん。
父:そう、大金。まあ、物価がその間約8倍に上がってるから(※9)、その分を割り引いても20倍弱になってる。1万円が20万円になるイメージだね。1950年からいままで日本経済は平均すると成長してきた。物価は約8倍になって、GDP(※10)も約20倍(※11)になった。だけど株価の伸び率の方が150倍と圧倒的に高い。
※10 国内総生産のこと。一定期間内に国内で新たに生み出されたモノやサービスの付加価値額を集計したもの。
※11 1950年の日本のGDPは160966百万ドル(1990年の国際米ドルベース≒160円)。
竹二:俺の生まれた年はいくらだったの?
父:2003年の終値は1万676円64銭ってあるね。
竹二:ってことは……、2.6倍か。
父:そう。1万円が2万6000円になってるね。
梅三:俺の生まれた2005年は?
父:1万6111円43銭。
梅三:1.7倍か。竹二よりちょっと少ないけど、それでも増えてるね。
父:ちょうど二人が生まれた年あたりは昭和のバブル崩壊直前に最高値を付けて以降、一番株価が低迷していた時期だからね。
梅三:そのころ父さん株やってた?
父:その話は次回以降第4講と第6講でやる予定。
梅三:なんか面白そう。じゃあ俺もいま始めると、15年後には2倍とか3倍になってるかもってこと?
父:その通り。もっと増えてるかもしれないし、そんなに増えないかもしれない。場合によっては減っちゃうかもしれない。
竹二:そうだよね。だって89年に始めた人が俺の生まれた年に株やめたら4分の1くらいになっちゃってるってことでしょ。
父:そうなんだよ。だからリスクがある。でも日経平均が下がっている中でも個別の株では上がっているものもあったし、そもそも株式投資の対象は日本株だけじゃない。じゃあ、次にアメリカの株を見てみようか。これはNYダウ平均の超長期チャート(図表2)。NYダウ平均は、日経平均のアメリカ版といまの時点では理解すればいい。
竹二:これもずっと伸びてるね。
父:そうだね。120年で見ると600倍にもなっている。それよりも89年以降を見てみてよ。
竹二:一時的に下がってるけど……、ずっと上がってる。
父:そうなんだ。だから日本のバブル崩壊以降、目利きの株式投資家は日本市場じゃなくてアメリカとか外国の市場に移ったんだと思うよ。父さんはまだ学生だったし、株のことは全く考えたこともなかったから、実体験はないのだけれど。
竹二:でも66年から85年くらいまではずっとアメリカ株停滞してる。
父:その時期はちょうど「ジャパン・アズ・ナンバーワン」なんて言われてた時代で、日本が高度成長期からバブルに突入する時期には、特に製造業がアメリカ市場を席巻した。日本の会社がNYのロックフェラーセンターを買ったりしてた時期でもある。
竹二:良かったり、悪かったりするんだね。
父:株式市場は過去70年間の平均を見れば日本もアメリカも伸びている。これはね、地中に埋もれた資源を利用して人々が工夫と努力を重ねて新しいものを生み出して、それをたくさんの人たちが使うようになった結果なんだよ。もちろんその過程でビジネスの戦いに負ける人もいるけど、中には再起を果たす人もいる。この人類の営みは、人間が人間であり続ける以上、これからもずっと続くはずだ。もちろん天然資源があることが前提なんだけれど、そうならば株式市場も伸びるから、株式投資をすれば自分のお金が増える。これが、父さんがさっき言った人類の可能性に賭ける、って言ったことの意味なんだよ。
というわけで来週から毎週日曜に一時間、株式投資入門講座をやっていきます。今日のところはこれにてお開きね。
こんにちは。山崎将志です。
この本は、株式投資に興味のある中高生の皆さんと、株式投資を学ぶことで自分の中高生の子供たちに豊かな人生を送ってもらいたいと考える親御さんに向けて書きました。
内容は、2021年の1月から3月に私の3人いる息子のうち、高二の次男と中三の三男に一回1時間、7回にわたって教えた株式投資の基本についての講座が元になっています。この講座を始めたきっかけはある日夕食を囲んでいた時に、次男が「株やってみたいな」と突然言い出したことです。理由を聞くと「何となく」と言うのですが、おそらくテレビで最近株価が上がっているというニュースを見たり、それについて妻と私が会話しているのを聞いたりしているうちに興味を持ったのでしょう。
この年代から株式投資について興味を持つのはとてもよいことです。株式投資のリターンは時間の関数ですから、始めるなら早ければ早い方がいい。私が株式投資を始めたのは30代になってからと遅めで、しかもいろいろと手探りでやってきたために最初の10年は失敗ばかりでした。私が経験を通じて学んだことを中高生のうちから理解し、実践できればこの先豊かな生活を送ることができる可能性が高まるはずです。そこで当時中三だった三男も巻き込んで、株式投資の基本的な考え方を教えることにしました。
日本の若者は先進国の中で最も将来に対して悲観的だという内閣府による調査結果(※12)があります。確かに小学校の教科書にも日本は高齢化が進み、いまは現役世代2人が1人の高齢者を支え、2030年には日本人口の3分の1が高齢者となり、2040年には1.5人の現役世代で1人の高齢者を支えなければならない、ということが書いてあります。経済成長率が低いいまでは、「自分たちが親世代よりも豊かになれる可能性は低い」というのは彼らの中では半ば常識であり、年金制度は持続不可能であると考えています。さらにはAIとロボティクスの進化により仕事に就くことすら容易ではないという予測を知っています。
私も全く同意見です。しかし自分の子供たちにはそうした流れに乗るだけの人生を送ってほしくありません。経済的に豊かな人生を送る手段の一つは株式投資です。短期売買を繰り返すトレーダーを目指すのは反対ですが、長期投資により仕事で稼ぐ以外の収入を得られるようになってもらいたいと願っています。
しかし投資をするには元手が必要です。いまの中高生が十分な元手を作るには、まず就職しなければなりません。それも給料の高い会社に就職ができればより多くの投資資金を作ることができます。実は早いうちから株式投資を始めた中高生は、株式投資経験のない学生よりも就職先選びにかなり有利です。なぜなら株式投資の大きな目的は成長の可能性の高い企業を見極めることであり、それは就職活動の目的と全く同じだからです。噂やイメージ、ネットの匿名掲示板情報をもとに決断を下すと失敗するのは、投資も就職活動も同じです。投資家の目を持って世の中を見れば、近所の店が儲かっているかどうか、人気商品がどれくらい利益が出ていそうかなど、日々の暮らしそのものが経済の勉強になります。それを何年も積み重ねれば、良い就職ができる可能性はかなり高まることでしょう。
とはいえ、中高生に株式投資なんて理解できるのかと思われる方もいらっしゃるでしょう。私は中高生の知的レベルはほとんど大人と同じと考えています。親御さんは子供たちの知的レベルを見くびらず、また中高生の皆さんは、自身の知的レベルに自信を持ってもらいたいと思います。
自分の高校生時代のことをいまから振り返っても、周りの仲間のレベルはちょっとしたものでした。私は高一の時に先輩に影響を受けてバンドを始めたのですが、その先輩のバンド名は「くもすけ」(※13)でした。ちなみに「くもすけ」のメンバーの一人はいま某大学の教授を務め、テレビのコメンテーターとしても活躍しています。同級生のガールズバンドは「椿姫」(※14)という名前でした。僕らも面白いバンド名を付けようといろいろ考え、「ノイズ・ポリューション」と名付けました。ノイズ・ポリューションとは騒音(Noise)公害(Pollution)を意味する英語です。私の高校生当時は水俣病や光化学スモッグなどの公害が話題になっていたので、自分のバンドはプラスの意味で大きく広がるようにと、こう名付けました。
※14 1848年に刊行されたデュマの長編小説のタイトルであり、ベルディ作曲のオペラの第三幕のタイトルでもある。念のためこれらは同じ日本語の題名だが、全く違う作品。
高校生にこれくらいの知的レベルがあることは、30年前もいまもあまり変わらないと思います。そして、現在の私と皆さんの知的レベルもほとんど同じだと思います。違いは経験と知識の蓄積だけです。
ですから私は、皆さんを子供扱いすることなく、普通に大人同士で話すのと同じレベル感で話を進めていくことにします。ただし、明らかに知識も経験もないであろうと思われることを話題にするときには、丁寧に説明するようにしますから何の問題もなく理解してもらえることと思います。
【あらかじめお断り】
・本書は筆者の企業経営と金融商品売買の経験、および経済学士としての知識に基づいて書かれています。筆者および筆者の経営する事業体は金融庁の定める「投資助言業」の登録事業者ではありません。ただし、情報が書店等の店頭に陳列され、誰でも、いつでも自由に内容を閲覧でき、判断して購入できる状態にある場合は投資助言業に該当しないことは金融商品取引法で規定されています。したがって本書は法令に違反するものではありません。
・個別の企業について詳述している箇所が多くありますが、当該企業の株式の購入を読者に推奨しているわけではありません(本文でも再三触れています)。本書を参考に購入を決断される際はあくまで自己責任にてお願いいたします(=「お前の話を信じたせいで損したじゃないか!」と言われても何の責任も取れません)。
・株式投資に関して全くの初心者に対するわかりやすさを最優先として書かれていますので、細かい部分について厳密に言えば不正確だ、という場合もありえます。
・途中で主張が変わるように見える部分がありますが、講義形式で時系列に理解が進むように構成していることが理由です。本書の最も後ろに書かれている内容が最終的な主張です。
・講義は21年1月から3月にかけて行いましたが、本書の株価や経済指標等の各種データは編集時点における最新のものを掲示し、本文または図版中に日付を記しました。そのため、本書印刷・配本時点、あなたが本書をお読みになる時点、それぞれと数字が異なります。
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以上をご理解の上楽しんでいただけますと幸いです。
本書の十分な理解の上で、最終講でお勧めする方法からスタートし、さらに仕事をするようになって経済活動の現場に触れ、これから成長する会社を見つけて上手に投資していけば、長期的には元手から比べれば相当程度の資産を築けるはずです。
株式投資は、普通の人が金持ちになれる唯一と言ってもいいぐらいの手段です。それでは、始めましょう。
2021年9月 山崎将志
【目次】