その本の「はじめに」や「あとがき」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」や「あとがき」と「目次」をご紹介します。今日は堂本光一さんの『 エンタテイナーの条件3 』。「あとがき」をお届けします。
【あとがき】
この第3巻はグループ活動の話や、お世話になった方への思い、世間一般で当時話題になっていたことへの所感などをまとめました。その時その時で、自分なりに正直に答えてきたつもりですが、今の僕の考え方とは全然違う意見も含まれています。例えば、SNSに関して以前の僕は、「やりたくない」とか「舞台裏の姿を見せて何がオモロい?」と公言していましたが、今や…ファンの方々もご存じの通りです(笑)。
改めて見ると、「こんな話、したこと自体覚えてへん」というのは第2巻以上かもしれない(笑)。何しろ前回の単行本から9年も開いてますし、特にここ数年はコロナ禍や所属事務所の変化など、想像もしなかった出来事が続いて、僕自身の価値観も大きく変わった自覚があります。世界中が変わり、当然、読者の皆さんの感覚も変わったことでしょう。
だから結論を言ってしまうと、やっぱり僕はあまり自分語りをしないほうがいいんですよ。第1巻のあとがきでも「僕みたいなタイプは、本当は語らないほうがいい」と言っていたようですが、その点だけは9年前の自分に同感します(笑)。
僕が“自分語り”をしたくないのは、いくら言葉を尽くしても所詮、核心のところは伝わらないと思っているから。こんなこと言うと元も子もないかもしれませんが、ダイレクトに書きつづっているSNSやブログですら、伝わるとはほとんど思っていません。客観的事実の報告は別として、自分の中にある意思や感情は、10%伝わればいいほうだろうなという前提で発信しています。「こんなにうれしかったよ」「こんなに苦しかった」「楽しかった」「大変だった」「おいしかった」…そういったことに共感できたり、感覚を分かち合えるのは、一緒に同じ体験をした人しかいないのではないでしょうか。
もっと言ってしまえば、そもそも僕は自分のことを全然分かっていない。なのにどうやって他人に伝えるのよ、という話で…。だから毎号、インタビューは苦手。いつまでたっても苦手(笑)。
かといって、言葉の力を信じていないというわけではないんです。影響力は理解しているので、無責任に発したりはしていない。その言葉がいいように取られたり、悪いように取られたり、思いもよらぬ誤解をされたりすることもありますが…正直なところ、そこは慣れっこというか、さほど気になりません。言いたいことは言うタイプですからね。それで叩かれても、まぁ仕方ないなと思っています。
だけど、そもそも自分自身のことを分かっていないがために、時代時代によって言ってることが変わるのはちょっと問題じゃないかと(笑)。「そうした心境の変化も活動記録の1つ」と言われればそうかもしれませんが、僕の一貫性のない言葉からエンタテインメントの何たるかを学んでもらえるなんて、到底思えないんですよね…。
つまり僕は「エンタテイナーの条件」を語るのに全く適してない人間なんじゃないか、という結論に至るわけです(笑)。「10年以上連載を続けてきて今さらそれ言うのかよ」って感じですけど。
そんな僕がどうして今までエンタテインメントの仕事を続けてこられたかと考えると、結局、人より恵まれているからだと思います。
24-25年のKinKi Kidsコンサートはまさにそうで。所属事務所が変わり、ファンクラブも変わり、改名することも発表しました。まだ詰め切れていない話があるなかでは開催を見送るのが普通なんでしょうけど、僕らの思い──「どうすれば開催できるのか」に対して、「やる」と決まったら即動いてくれる体制がある。20年以上にわたって一緒にやってきたチーム、積み重ねてきたノウハウが各セクションにあるおかげで、あり得ないくらい急な発表でも実現できたんです。
こんなふうに環境に恵まれたおかげで曲がりなりにも仕事を続けられて、その中で様々な人生経験を積んできました。この先も予想できないことがたくさん待ち受けているだろうし、そのたびに僕の考え方はまた変わっていくんだと思います。
まったくもってエンタテインメントとは、答えの出ない大きなテーマです。
2025年1月17日 堂本光一
【目次】



