その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日はひきたよしあきさんの『 若手はどう言えば動くのか? 相手を「腹落ち」させたいときの伝え方 』です。
【はじめに】
「若手は無気力」「やる気がない」は本当か
「若手のやる気が感じられない」「パワハラだと言われるのが怖くて、強く注意できない」「こんなに甘くて、本当に部下は成長するのか不安」…。
今、日本全国のあらゆる組織で、若手の育成を任されたミドル層が叫んでいます。
2019年の働き方改革関連法施行を皮切りに、働き方に関するさまざまな制度改革が行われてきました。加えて、新型コロナウイルスのパンデミックによるリモートワークの普及、生成AI(人工知能)の急速な進化など、予想もつかなかった変化が一気に訪れています。こうした変化の前から社会に出ていたミドル世代と、変化のさなかに社会に出た若者は、仕事に対する意識が全く違う。その変化に対して、個人も企業も右往左往しているのが現状ではないでしょうか。
こんな時代ですから、あなたが悩むのも当然です。迷い、戸惑い、鬱憤をためる毎日を送られていることでしょう。そこでまずお伝えしたいのは「言いたいことが言えない」と悩んでいるのは、あなた1人ではないということ。「適切」がなんなのかよく分からない世界で、人間関係を真剣に考えている人なら誰もが、「これは不適切かもしれない」と悩んでいるのです。
ご挨拶が遅れました。私はひきたよしあきと申します。
私は長く広告会社で働き、広告制作のディレクター、政治家や企業エグゼクティブのスピーチライターなどを務めました。官公庁を顧客にした営業部長も経験し、マネジメントの難しさと醍醐味も味わってきました。会社を出てからは、300以上の企業や行政機関を訪れてコミュニケーションスキルを教え、明治大学、大阪芸術大学の教壇に立ってきました。いわゆる「昭和のビジネスマン」の感覚を知りつつ、大学の元教え子で今では中間管理職になったミドル層、そしてZ世代ともよく接しています。これまでに関わってきたZ世代の数は、彼らが子どもの頃から数えると、約1万人に上るでしょう。さまざまな立場の人の言い分を聞くなかで、お互いの「納得解」を得るには、どのような姿勢で、どこまで説明し、何に気をつけるべきかを常に考えてきました。
本書は、ビジネスマンとして、大学の教員として、「言葉の力」を伝えるプロとして、日々「若手はどう言えば動くのか?」を考え、実践してきた私がたどり着いた、「相手を『腹落ち』させたいときの伝え方のコツ」をまとめたものです。
私の上司、友人、得意先、元教え子の中堅社員、新社会人、学生らから聞いたエピソードもふんだんにちりばめました。難しい論理よりも、毎日必死に汗をかき、泥にまみれながら戦っている人の言葉のほうが、あなたの役に立つと考えたからです。
よく「若手は無気力だ」「何も考えていないようだ」と言われます。あなたも実際にそう感じているかもしれません。しかし、若手は本当に無気力で何も考えていないのでしょうか?私は決してそうは思いません。私が教えている大学の学生たちの多くは無遅刻・無欠席で、リポートも期限までにきちんと出す子たちばかりです。成長したいという意欲も高いです。彼らの心に響く伝え方で、「腹落ち」させることができれば、彼らは驚くほど高い能力を発揮してくれます。
若手を動かすために大切な「伝え方のコツ」とは何か。それは「相手の価値観を容認した上で、丁寧に説明する」という姿勢です。
それは、単なる「甘やかし」とか「優しさ」とか「猫なで声で機嫌を取る」のとは違います。本書の目的は、あくまで若手の成長を促し、チームの戦力になってもらうこと。本書には、必要な注意をきちんと伝え、若手の行動変容を促すための言葉も盛り込みました。
さらに、責任ある立場で後輩や部下の意見を代弁することもあるミドル層にとっては、上司とのコミュニケーションも重要です。気難しい上司たちといかに向き合うか。その戦い方を、最後の章で示しました。ひるまず、勇気を持って臨んでほしいとの願いを込めました。
若者は岩のように動かない相手でも、霞のように実体のない相手でもありません。きっとあなたの味方となり、チームの貴重な戦力となってくれます。あなたが本書で「腹落ち」してくれたらうれしいです。
【目次】





