その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日はパスカル・ボニファス(著)、トミー(マンガ)、大西愛子(訳)、鈴木悠介(日本語版監修)の『 ジオストラテジクス マンガで読む地政学 世界の紛争・対立・協調がわかる 』。「まえがき」をお届けします。

【まえがき】

 素晴らしい絵は長い演説よりも多くを語る。われわれは幾度となくこの金言を確認してきた。新聞・雑誌などで、才能ある画家は実は素晴らしい論説委員だということに気付くときなどだ。私はごく幼いころからマンガを読むのが好きで、当時ある種のインテリたちがマンガを見下す意味がわからなかった。彼らに言わせると考察とか知識は「ほんものの」本からしか得られないようだ。マンガは読書を遠ざけない。読書に向かわせる。マンガは考察させないわけではない。別のやり方で考えさせているのだ。

 私はまず教育者だ。私の主たる仕事は知識の伝達と、われわれが生きている世界を理解するのを手助けすることだ。理解することは学ぶことよりも重要だが、最低限の知識がなければ考えるのは難しい。

 この目的に達するための道具を立派な講義や教科書だけにとどめてはならない。マンガも貢献できるし、その魅力で問題に向き合いやすくしてくれる。退屈せずに学び理解できる。

 ずいぶん前から世界の歩みをマンガで説明することを考えていた。あとは作画家を見つけるだけだった。トミーとの出会いはなんという幸福だったろう。彼はこの計画を現実に変えてくれた。そして才能もある。たしかに彼はこのテーマをよく知っている。彼ならテキストも書くことができただろう。当然私は絵を描くことができない。ということで彼は私のテキストをよりわかりやすくするために貢献してくれた。私の教育的な目的を裏切らず、そしてページごとに豊かにしてくれた。さらにユーモアも交えてくれて、読むと楽しくわくわくする。

 多くの読者たちは既にもはや「外交」という言葉が意味をなさなくなっていることを感覚的にわかっている。なぜならわれわれの国の外で起きていることは直接的に、そして瞬間的にわれわれの日常に大きく影響するからだ。中には自分たちにとって謎めいて手に負えないような、地政学の秘策に飛び込まなければならないのかと怯えている人たちもいるかもしれない。そういった人たちには、このマンガが国際的現実を理解するヒントをもたらしてくれたらいいなと思う。

パスカル・ボニファス

【目次】

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