その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日はマルク・ティッへラー、オスカル・デ・ボス(著)、児島修(訳)の『 脳をオフにせよ 仕事も人間関係もうまくいく集中術 』です。「著者による序文」をお届けします。
【著者による序文】
忙しいのに、生産性は上がらない
「最近、仕事が捗らないんだ。それに、ひどく疲れてしまう」と、友人のピートがため息をつきました。私たちは、アムステルダムの行きつけのバーにいました。彼は、うつろな目をしてビールを飲んでいます。
ピートはとても優秀な人間です。学位を2つ持ち、スポーツも万能。何事もそつなくこなすタイプでしたが、最近は精彩を欠いているように見えます。
「一日中忙しくしていても、結局大したことを成し遂げられない。イライラするよ」「忙しいのに成果が出ない」という悩みは、筆者が主催する集中力をテーマにしたセミナーでもよく耳にします。まるで、車のギアがずっと1速に固定されてしまったみたいな状態です。
この問題に対処するために、仕事のスピードを上げたり、時間を効率的に使おうとしたりする人は多くいます。しかし、最新の研究に基づけば、こうした時間管理のアプローチは、すでに過去のものになっていることがわかっているのです。
現代人の仕事は、以前よりも格段に複雑になりました。優先順位は猫の目のように変わり、たった1通のメールで、せっかく綿密に立てた計画が台無しになってしまうことも珍しくありません。
本書はあなたに、そんな状況を変えるための方法を提示します。現代社会では、「集中力(フォーカス)の管理」がますます重要になっています。周りの様々な刺激をシャットアウトし、プロジェクトをスムーズに切り替え、脳を効果的にリフレッシュする──こうした技術を身につけることが、強く求められているのです。
現代人には、かつてないほど集中力が必要になっています。1980年代と比べると、私たちを取り巻く刺激の量はおよそ5倍に増えました。現代人が1日に接する情報量が、新聞174紙分に匹敵することを示すデータもあります。誰もが集中力を保つのに苦労しているのも、無理はありません。
たしかに、こうした刺激は人生のスパイスにもなります。目標に向かって必死に頑張れば、高揚感も得られるでしょう。しかし、考えてみてください。あなたは本当に、物事に深く集中できているでしょうか? 途中で気が散ることなく1冊の本を読み切ったり、受信トレイを一切気にせずに作業に没頭したりといったことが、容易にできていますか?
近年、集中力の低下やストレスの増加に悩む人が増えています。集中しにくい環境で仕事をすると、エネルギーを消費し、最悪の場合は燃え尽き症候群を引き起こしてしまいます。
本来、仕事とはそのような状況ですべきものではありません。あなたが今の職業を選んだのは、働くことによって価値を生み出し、世の中に良い影響を与えたいからだったはずです。常に何かに追い立てられ、ストレスを感じながら、疲れ切った自分にムチを打つように働くのは望ましくありません。7人に1人が燃え尽き症候群に苦しんでいるという今の状況は、異常なのです。
本書では、集中力を取り戻すための具体的な方法を詳しく説明していきます。この方法を実践すれば、あなたはストレスに強くなり、多くの成果を上げられるようになるでしょう。その効果は、仕事だけにとどまりません。集中力が高まれば、会話の最中に相手としっかりと向き合えるようになります。自分の思考もコントロールしやすくなります。その結果、リラックスして時間を過ごしやすくなり、夜もぐっすり眠れます。心が落ち着き、頭の中が明晰になり、望み通りに生きられるようになるのです。
本書を執筆するにあたり、私たち筆者は科学的な研究成果を、人々が日常生活で直面する様々な問題への解決策に応用することに力を注ぎました。私たちが提示する解決策は、神経心理学における最新の研究と、オスカルと私がこれまで10万人以上に及ぶビジネスパーソンや専門職の人々を指導・支援してきた経験に基づいています。
私たちは本書で、自分たちの知識と能力の及ぶ限り、科学的な研究結果とその現実的な応用方法をわかりやすく提示しました。これらの研究結果とそこから導き出された結論は、大勢の科学者から支持されているものですが、異なる考えを持つ人たちがいることも承知しています。私たちは常に議論を歓迎しています。ご意見があれば、ぜひお聞かせください。
また、参考文献はすべて巻末にまとめています。もし、本書に登場する理論や手法の提唱者・創始者であるにもかかわらず、言及されていない方がいれば、お知らせください。
最後にもう一点。あなたが集中力の改善にどの領域から優先的に取り組むべきかを判断しやすくするために、無料のトレーニングコースを用意しました。短い動画を通じて、「気が散る」現象が脳内でどのように起きているのか、私たちがどんな場合につまずきやすいのかを学べます。AIアシスタントの「コートニー」の質問に答えていくことで、あなたの集中力が削がれている原因が何かを分析します。終了後には、集中力のコントロールを取り戻すための実践的なアドバイスをまとめた、あなた専用のレポートをメールでお届けします。所要時間は約15分です。focusacademy.com/introduction にアクセスしてください。
では、さっそく始めましょう!
マルク&オスカル
追伸:筆者2人は本書を共同で執筆しましたが、読みやすくするために本文では一人称を用いています(ここでの「私」は、マルクのことを指しています)。
注:無料のトレーニングコースについては、記載のURLにアクセス後、サイト上の言語選択メニューから「日本語」を選択してください(表示位置はご利用の端末によって異なる場合があります)。なお、サイト上の日本語訳は本書と一致しないことがございます。あらかじめご了承ください。
【目次】




