その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は岡本努さんの『 禁断の会社用語辞典 組織・人事コンサルタントが教える企業の現実 』です。
【はじめに】
本書の「本来の意味」
かつての日本の会社、そして人事部は創意工夫によって、価値ある仕事をしていた。会社を成長させたい、社員を幸せにしたいという一心からシンプルに働いた。情報が簡単に得られず、前例を学ぶのが難しかった時代、自分たちで真剣に考えるしかなかった。
現代はとても便利になった。言語、国、業界、経験の壁もあっという間に超えられる。何らかの情報にアクセスするための時間と手間が、ほとんどゼロになりつつある。わずかに残る情報の非対称性に着目したビジネスも活況で、イベントやセミナー、講演などは、発信側、受信側の双方に有効な場となっている。
さて、ところが情報入手コストが圧倒的に低くなった結果、私たちは自らの頭を徹底して使う仕事を減らしてはいないだろうか。
「やれと言われたから、やっています」
「一般的にそう言われているから、そう考えました」
「他社がやっているから、わが社もやるべきです」……
そして近年になって目立つのは(口に出すかは別として)、
「生成AIがそう言っています」
そして、これらの発言を聞いた人は(これも口に出すかは別として)、
「ああ、なるほど、それなら安心だ」
当事者も、指示役も、聞き役も、みんなが思考停止に陥っていないだろうか。
豊富な情報を活かして、自分のビジネスやキャリア、人生、そして会社組織を豊かにするのか。それとも豊富な情報を鵜吞みにして、他人の真似ごとで特徴もなく、面白くも、もしかしたら意味すらない働き方、生き方を選ぶのか――。
それは、あなた次第である。
本書は、ある種の、思考トレーニングの材料として設計している。人事・労務を中心に、会社組織に関連する基本から最新までのトピックを解説した。まずは本来の意味(表向きの情報)を知り、日本の多くの会社が陥っている悲しい状態、現実(情報の裏面)を観察する。それはあなた自身が直面している状況に酷似しているかもしれない。
では、その現実を打破する施策、方法はどのようなものなのか、あなた自身の頭で徹底的に思考していただきたい。
本書の「現実と解説」
まあ、難しく考えるのはやめましょう。
あなたの周囲を徹底して愚痴って皮肉って、笑い飛ばしてみましょう。皆さん、いちいち真剣すぎます。つねに「正解」を探そうとしていますが、正解が見つからないといって悩みすぎです。しかも本当は、その「正解」に意味がないと薄々わかっているはずです。
とりあえず、みんなが言ってるから、みんながやってるから、ルールだから、そういう仕組みだから、トレンドだから、と自分を納得させるのはやめてみましょう。
まずは素の自分となって現状を否定して、本質を考えて、考えた結果を口に出して、現実を笑い飛ばすところから始めてみましょう。
この仕事、意味なくない?
このルール、必要なくない?
もちろん正解はわからないけれど、妥協と惰性で、なんとなくやるぐらいなら、とりあえず、やめてしまえばいいのです。
この本は、会社や人事、仕事について、なんかモヤっとしている人に向けて書きました。「現実はとても面倒だけど、考えるヒマがない。だって明日も仕事だし、上司もうるさいし、やらなきゃいけないことだらけ。まっ、いいか」となっているあなたにお届けしたいと考えています。
できれば、いい意味で現実を笑い飛ばしてもらえたら、そして、少しでもいいので、現実に直面している小難しい状況を打破するきっかけにしていただけたら、これは、本当に嬉しい限りです。では、お楽しみください。
2026年3月 岡本 努
【目次】








