その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は大澤 文孝さん、浅居 尚さんの 『さわって学べるPower Platform ローコードアプリ開発ガイド』 です。



【はじめに】

 こんなアプリがあったら業務がはかどるのに!

 そう思ってみたところで、「どこの開発会社に頼むのか」「予算は付くのか」などの課題が山積み。いままでは所詮、夢物語でした。しかし近年のローコード開発ツールの登場で、事態は激変。あれこれ考えるよりも、自分でさっさと手を動かして作れるようになったからです。

 本書の主題であるMicrosoft Power Platformは、そんなローコード開発ツールです。

 Excelワークシートを作るがごとくSharePointでデータ項目を決めれば、半自動で、一覧ページや編集フォームを作れます。決裁の承認フローも、承認フロー用のロジックをブロック状に並べるだけ。収集したデータの分析やグラフ化も、Excelのピボットテーブルやグラフに似た操作で実現できます。しかもMicrosoft 365ライセンスを持っていれば、追加の費用もかかりません。

 本書では、Power Platformの「専門家でなくても開発できる」という特性を生かし、「アプリの内製化」を実現していきます。

 目指すところは、「自分が使うアプリ作り」。開発会社が作るような「誰かに使ってもらうために納品するアプリ」ではありません。時間をかけて完璧に作り込むのではなく、多少粗くても短時間で手軽に作る。できるだけ生成を自動化し、複雑なところや細かいところまでは、あえて作らないことで、脱落しないスマートなアプリの作り方を伝授します。

 アプリの内製化はアプリ作りが目的ではありません。「難しい」「面倒臭い」と思ったら負けです。

 そのためには、Power Platformの流儀に合わせることが大切です。流儀に合わないやり方をすると、余計なロジックの作り込みが増えてしまいます。監修していただいたパーソルプロセス&テクノロジー株式会社の皆様には、こうした部分でも多大なるご協力を賜りました。本書に記載している内容は、パーソルプロセス&テクノロジー株式会社の皆様の開発経験を基に絞り出したエッセンスでもあります。

 本書が想定している読者は「IT部門」の担当者ですが、各現場部門にいて「他の人よりは少しPCに詳しいけれどもプログラミングは未経験。ブラウザー操作ができてExcelが少し使える」という程度の知識で読み進められるように書いたつもりです。

 誰もが自分で使うために、ちょっとだけ便利なアプリを作れる世界。

 本書を通じて、皆様が、そんな素敵な世界に入るきっかけとなれば幸いです。

2022年3月 大澤文孝

【目次】

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