その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は一條和生さん、細田高広さんの『 16歳からのリーダーシップ 』です。

【はじめに】

リーダーほど面白い生き方はない

 そんなの嘘だ、とあなたは思うかもしれません。多くの人はリーダーといえば責任ばかりとらされる損な人か、椅子にふんぞり返っている偉そうな人を思い浮かべるからです。反対に、リーダーは公明正大で立派な人物の仕事で自分には向いてない、と目を逸らす人もいるでしょう。

 なんにせよ、リーダーになりたいという若者は日本では随分と減っていると指摘されています。リーダーを避けて何がしたいのか? と問えば、大抵の場合「自分らしく能力を発揮したい」という答えが返ってきます。裏を返せば多くの人はリーダーを誰かに押し付けられる窮屈な仕事だと思っているということでしょう。これは大きな誤解です。リーダーとは自分らしさを発揮するところから始まるもの。それどころか、リーダーのあり方を突き詰めることは、仕事のみならず「自分らしい生き方」を追求することにつながっているとさえ、著者のふたりは考えています。もしもあなたが自分らしさを大切にしたいのであれば、それはリーダーを避けるべき理由ではなく、リーダーになるべき理由に違いないのです。

やらされるんじゃない。やりたいを叶えるリーダーへ

 いま目の前に「たい」はたくさん泳いでいますか? もちろん魚のことではありません。「◯◯がしたい」という意志のことです。この世の中は、たくさんの「たい」を育てている人には、とても面白いことが次々と起こるようにできています。自分だけの美味しいラーメンをつくって日本に広めたい。そんな意思を持った人が、実際に素晴らしいラーメンと仲間を見つけて、皆さんが今日も食べているあの味をつくっている。新しい音楽の聴き方をつくりたいという意思を持った人が、皆さんがいつも楽しんでいる音楽配信の仕組みをつくっている。ロケットが宇宙に行けるのも、スマホで遊んだり勉強したり仲間とつながったりできるのも、あの面白いマンガやアニメやゲームを楽しめるのも、自分はこんなものをつくりたい! と思った人がいたからです。

 こうして、それぞれの「たい」を追いかけて踏み出した人こそがリーダーになっていくのです。リーダーとは上に立つというより、前に立つ人。立場にかかわらず、誰より先に行動する。みんなも目指したいと思える明日を提示する。仲間たちは、あなたの目線に共感してついてくる。現代のチームはこうして動き出すものです。

 前に立つ人が、周囲の人に与える前向きな影響力のことを「リーダーシップ」と呼びます。どのように自分のやりたいことを見つけるのか。どのように踏み出すのか。どのように仲間に共感してもらうのか。どのように目標を実現するのか。意義ある人生を送ろうとする限り、どんな人にも必要な考え方だと思いませんか?

10代のあなたにも。かつて10代だったあなたにも

 このリーダーシップを実践的に学ぶのに学生時代ほどふさわしい時期はありません。なぜならば10代から20代にかけては、夢や希望や「たい」がたくさん生まれる時期だからです。そして結果がどうであっても、失敗が許される安全地帯もあります。さらに損得勘定なく付き合えるかけがえのない仲間にも囲まれています。部活や委員会活動など、放っておいてもリーダーシップ発揮の機会がやってきます。こんな好条件が揃うことは人生でなかなかありません。

 心の若いうちに「やらされること」をやるだけではなく「やりたいこと」を叶えるべく自ら行動し、人の前に踏み出した経験がある人は、そのあとの人生が大きく変わります。前に立つことの面白さを知り、同時に失敗したってたいしたことないさ、と微笑む勇敢さを身につけるからです。大人になりすぎてからではこうはいきません。最初の一歩はより勇気が必要になり、失敗はより恐ろしくなる。そうなると頭では理解できても、リーダーシップの実践は難しくなるのです。それはスイミングスクールと海の関係に似ています。子どもの頃に水泳を習っていた人にとって海で泳ぐのは楽しいことですが、いちどもプールで泳いだことがない人にとって、海は命を脅かす恐怖に見えるでしょう。リーダーシップの学びは、いわば社会の上手な泳ぎ方を学ぶことでもあります。社会を危険な場所ではなく、面白い冒険に溢れた場所だと思えるようになるのです。

 本書を手に取ってくださった「かつて10代だった方」へ。本書はみなさんそれぞれのリーダーシップに関する根本思想についての本です。10代から読めるよう書かれていますが、もちろん対象年齢に上限はありません。どんな年齢であれ、型にはまったリーダーシップに違和感を感じているとしたら、この本はあなたらしいリーダーシップを考える助けになるでしょう。もしもあなたが若手社会人であれば、リーダーシップの心構えと今からできる具体的な準備方法が見つかります。現場からマネジメントへ移行しつつある中堅の方であれば、今すぐ役立てられる実践的なアドバイスを、あなたの上司とは違う角度から届けられるはずです。すでにリーダーの役割を果たしている方でも、もしも過酷な日々に消耗し精神が疲れ切っているようなことがあるとしたら、命令から共感へ、自己犠牲から自己発揮へ、影響力のつくり方を捉え直す良い機会になるでしょう。

 経営学の知見を盛り込んでいますが、予備知識がなくても理解してもらえるように書いています。それでも、いちどにすべてを理解するのは難しいかもしれません。まずは今日のあなたの興味を引いたり、役立つと思えたりする箇所を選んで読んでください。本書とともに10代でリーダーシップを学んだ後、社会人になってからも折に触れて見返してもらえれば、また違う発見があるでしょう。

 自分らしく行動することで周囲にいい影響を与え、社会をいい方向に導く原動力になる。そんなリーダーとしての生き方を是非、ひとつの選択肢にしてください。本書を閉じる際には反論していた皆さんもきっと同意してくれるでしょう、「リーダーほど面白い生き方はない!」ということを。


【目次】

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