その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日はオグマナオトさんの『 早稲田とスポーツ、覇者の150年 野球、ラグビー、駅伝、応援ほか125の熱い話 』です。

【はじめに】──「進取の精神」も味わえる、早稲田史観の日本スポーツ変遷史

 以前、日本のスポーツシーンにおけるさまざまな「元祖」や「第1号」を調べたことがある。気づいたのは、競技を問わず、至るところで「早稲田」の文字に出くわすこと。各競技の「○○の父」「□□の祖」と呼ばれる人物に、やたらと早稲田出身者の名前が並ぶのだ。日本のスポーツ黎明(れいめい)期において、早稲田大学の学生や卒業生が果たした功績がそれほど大きい、ということ。校歌の1番にある「進取(しんしゅ)の精神」がそうさせるのか、未踏(みとう)の領域への挑戦が昔から何かと好きな大学なのだろう。

 私自身も早稲田大学の卒業生だ。学生時代は東京六大学野球観戦で神宮球場に通い、晩秋には早慶ラグビーと早明ラグビーで声を枯らすなど、かなりの数の「早稲田大学スポーツ」を観戦してきたが、在学中にこの「早稲田のスポーツには元祖が多い」という事実を明確には認識できていなかった。その中には、調べればすぐにわかる事例もあれば、深掘りすることで「この競技(分野)でもきっかけは早稲田だったの!?」と判明するものまで、千差万別。そういった事例をもっと知りたいと思っても、競技別に調べあげた文献は豊富な一方、網羅的に「早稲田大学スポーツの歴史」をまとめたものは存外少ない。世の早稲田スポーツファンであっても意外と知られていないことが多いのではないだろうか。

 そこで本書では、早稲田大学が大切にする「125」という数字(P242)にちなみ、大学が創設された1882年から連なる「早稲田とスポーツ重要トピックス」というべき125のエピソードについて、競技を横断しながら辿(たど)っていくことを狙いとしている。個々を知ることで、日本のスポーツ史や各競技の成長過程までわかる……いわば「早稲田史観の日本スポーツ変遷史」と言えるだろう。その歩みは来る2032年の創設150周年へと向けてもつながっていくものだ。

 その歴史は、栄光だけではない。時に失敗し、停滞を重ねることもあった。むしろ、そうした「挫折」や「弱さ」、「雑草感」まで内在している点こそ、早稲田大学の魅力であるはず。「幾多の失敗を重ねたが、しかし恐縮はせぬ、失敗はわが師なり、失敗はわが大なる進歩の一部なり」と語ったのは創設者・大隈重信(おおくましげのぶ)だが、日本屈指のアスリートと一般学生とがともに学びながら失敗と成長を重ね、新たな歴史を紡(つむ)いでいくという、大学スポーツならではの魅力も垣間見えてくるはずだ。


【目次】

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