その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は久持修さんの『 4つの気質で医療スタッフをラクにする!人間関係メンテナンス術 』です。

【はじめに】

仲間をラクにすることで働きやすい環境を作る

 突然ですが、皆さんは「一緒に働く仲間を楽にする」ことについて、考えたことはありますか?医療現場においては、「患者のために」ということを第一に、「チームが一丸となって」「自分自身の心身の健康状態を良好にする」といったことは強調されており、少なからずそういった意識は持たれていると思います。しかし、「一緒に働く医療スタッフを楽にする」ということはあまり意識されていないのではないでしょうか。

 2015年、「労働安全衛生法の一部を改正する法律」によってストレスチェック制度が導入され、働く個人が自分のストレスに気づく機会は充実してきていると思います。しかし、働く人のストレスの多くは人間関係によるものです。そして、人と人は相互に影響を与え合うものです。ですから、自分だけがストレスケアを行って楽になっても、働く仲間が楽になっていなければ、やがてはストレスに満ちあふれた仲間の影響で、自分で行っているストレスケアが無効化されていくのではないでしょうか。

 ですから今こそ、これまで強調されてきたストレスケア(セルフケア)から一歩広げた視点を持ち、自身だけでなく、働く仲間も楽にすることを目指していく必要があると思うのです。

(イラスト:春原弥生)
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(イラスト:春原弥生)

相談者の負担を軽くする「ブリーフセラピー」

 私は、臨床心理士として働いており、カウンセリングオフィスで様々な方の相談に対応しています。その際に、私が主に用いている理論が「ブリーフセラピー」というものです。

 あまり耳慣れない用語かもしれませんが、この「ブリーフセラピー」とは、「短期に」「効果的に」「効率的に」という3つのことを追求していくアプローチのことを言います。

 もっとシンプルな言い方をすると、「相談に来た人(以下、クライエント)の負担を軽くする」ことを徹底的に追求するということです。つまり「同じ結果が得られるのであれば、より短い期間の試みの方が、クライエントの負担が少なくて済む」「効果が高いアプローチの方が、効果が低いアプローチよりも負担が少なくて済む」「同じ効果が得られるのであれば、かかる労力の少ない効率的な方法が、負担が少なくて済む」ということです。

 このように、クライエントの負担を軽くすることを日々考えています。

なぜ、仲間を助けると自分が働きやすくなるのか?

 さて、話を戻して、「働く仲間を楽にする」とはどういうことか考えてみましょう。例えば「相手の役に立つ」「相手を心地よくする」「相手を楽にする」……これらを目的に、一生懸命努力したり、力を尽くしたり、わが身を削ったり、といったことは案外役に立ちません。

 私たちは「相手のために」というニュアンスが出てくると、ついつい「一生懸命やらなければならない」と思い込んでしまい、その思い込みが行動を一方的にしてしまいます。さらに、それがうまくいかないと「これだけ一生懸命やっているのに、なぜ伝わらないんだろう(怒り)」「こんなに一生懸命やってもダメだなんて、なんて無能なんだろう(自己嫌悪)」といったマイナスな感情を生んでしまうことにもつながりかねません。

 本書では「一緒に働く仲間を楽にする」ために、自分自身に無理がないようなやり方で、しかもできればそれを楽しみながら行えることを目指していきたいと思います。一緒に働く医療スタッフが楽になれば、職場の雰囲気もよくなります。そうすると、あなた自身も楽になり、さらに働く仲間を楽にするための余裕が生まれます。

 本書を参考に、あなたの職場でこのような良循環が起きることを願っています。


【目次】

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