その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は臼井由妃さんの『 55歳から やりたいことを全部やる!時間術 』です。
はじめに◎「捨てる、始める、大事にする」でやりたいことを全部やる!
この本は、「人生後半をスッキリ生きるため」に何に・どう時間を使えばいいかを実践的にお伝えするものです。
タイトルに「55歳から」とありますが、40代の方にはこれからの準備として、60代、70代、それ以降の方にはできていること、やり残していることのチェック、新たな行動指針として活用いただける本です。
55歳といえば、いわゆる「定年退職」まであと5年、雇用継続を考えても残り10年という時期です。
そろそろ人生後半の「戦略」や「人生設計」を明確にしないとまずいのはわかっているが、何をすればいいのか具体的に浮かばず、やり過ごしている。
そんな方が多いかもしれませんね。実は、かつての私もそうでした。
33歳で病身の夫から会社経営を託されてからは、生産性や効率の高め方を徹底的に追求しました。辿り着いたのが「やるべき仕事は月・火・水で片づける」という時間活用術。ゴールを設定し、やらなければいけない目先の仕事は週の前半で片づけ、木曜日は進捗状況や問題点を検証。金曜日は「攻撃の日」。翌週の仕事(次のゴール)に備えて、資料の作成やアポイントをとるなど攻めの仕事に徹するというものです。
実践して以降、会社は成長を続け、私は経営者として成果をあげることができました。テレビや雑誌などメディアで取り上げていただくことが増え、講演依頼も届くようになりました。
そして、『1週間は金曜日から始めなさい』(かんき出版)というタイトルで時間術の書籍を刊行することにもなります。この本は後に『
やりたいことを全部やる!時間術
』(日経ビジネス人文庫)として文庫化され、おかげさまで10万部を超えるベストセラーとなりました。
このように、生産性や効率、コスト・パフォーマンス(コスパ)やタイム・パフォーマンス(タイパ)を第一に考えて走ってきた私ですが、55歳を迎える頃にある疑問にとらわれたのです。
「これまで通りに、これまでと同じペースで時間と向き合っていいのだろうか?」
自由に動き回ることのできる時間は、限られている。
コスパ・タイパを最優先していては、近々、心も体も悲鳴をあげてしまうだろう。
そこまでは考えられるのですが、いざ具体的に何をすればいいかがわかりません。
悩んだ末に、これまでとは逆の発想で考えてみることにしました。
人生の後半には後半の時間術がある。そのカギは「効率」よりも「時間の質」。
どんな質の時間を過ごすか、自分が決めていくしかない。
まず必要なことは「人生のゴール」と「目標」から逆算した時間設計だ。
これまでの私は、「ゴール(目標)」に向かっていかに効率的に突き進むかの戦略を練っていました。それなら、人生後半は「ゴール(最期)」から逆算して考えてみよう。
私は「人生のゴールを100歳」と決め、「最期のときまで仕事をする」「自立し社会に貢献しながらやりたいことを全部やる」という目標を掲げ、そのために「捨てるもの」「始めるもの」「大事にするもの」を定めました。たとえば、次のようなものです。
仕事時間は60歳で5時間、70歳で3時間にする。
土日祝日は完全プライベート。
真の「友だち」は3人いればいい。
何よりも「自分時間」を大事にする。
詳しいことは本文でお伝えしますが、「仕事時間は60歳で5時間、70歳で3時間にする」に関していえば、「最期のときまで仕事をする」ことは大事な目標。だからといって休みなく働くことが「自分らしい」生き方ではありません。
「自立し社会に貢献しながらやりたいことを全部やる」ためには、ムダを捨てその分時間密度を高めた仕事をして、学びや趣味、心身の健康維持にも時間を使おうと考えたのです。
たとえば「探し物をする」というムダな時間。これは極端な話、収納場所をゼロにすれば、ものを入れることはできませんから、劇的に減らすことができます。
現実には55歳は必要書類も多く、収納ゼロは難しいかもしれません。
ただ気がついたら10年、20年前の書類を保存しているとか、引き出しの奥に不要なファイルが眠っているかもしれません。理想として収納ゼロを目指すことをおすすめします。
私は引き出しのない小さめのデスクで仕事をしていますから、資料や書類をしまう発想にはならず、「いつか使うかもしれない」資料や書類は廃棄、「必ず使う」ものは深さ3センチほどのA4サイズの箱に収めて、1カ月を目処に見直し処分しています。
もうひとつ、気の進まない「人づき合い」に費やす時間もムダに感じる方が多いでしょう。これは「飲み会をランチ会に変更」することで短縮。そもそもつき合いをやめたい人は「整理ノート」に書いて見える化、フェイドアウトをはかります。
100歳まで45年。これまで過ごした55年より少ない年月なのだから、ここできっちり棚卸しをして「捨てる、始める、大事にする」を明確にしなければ、人生後半の質は高まらない。悔いを残す生き方になる。
ここで時間術を見直さなければ、やりたいことと人生の残された時間(在庫時間)との兼ね合いに悩み、「自分の居場所」を見失い、いつか虚しさに襲われることになりかねない。そう自覚したのです。
人生のゴール=死を思うのは、残りの時間について真剣に向き合う機会。
人生を逆算した時間設計は、100%自分らしく生きるポジティブな行動です。
「勤め人人生」には必ず終わりが来ます。
「終わり」という言葉に、ネガティブな印象を持つ方がいるかもしれませんが、逆です。「自分が主役の人生」を歩む時期がやってきたのです。
その好例が55歳で通訳学校の門を叩いて本格的に英語の勉強を始め、定年後はプロ通訳者として活躍する田代真一郎さんでしょう。
田代さんの著書『定年英語』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)には「55歳のときのこの決断が、今に続く大きなきっかけになった」の一節があります。
「これからの時間」に真剣に向き合う絶好機は50代、もっといえば「55歳」です。
本書では55歳からバッサリ捨てるものと始めるもの、時間を割いて大事にするものを、人間関係や学び直し、仕事、家族関係などに分けて説明していきます。また、心身共に健やかな時間を過ごすために私が実践している「心と体の整え方」もコラムでお伝えします。実践していただければ、心身共にエネルギーを維持しながら、楽しくスッキリと人生を謳歌(おうか)できるはずです。
やりたいことを全部やる!
やりたいことが全部できる!
人生は55歳からより楽しいものになります。
さあ、これからが本番です。
2023年5月 臼井由妃
【目次】





