その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は工藤孝文さんの『 食事の我慢も運動も必要ない 勝手にやせる思考 』です。
【はじめに】
「食べることでストレスを解消している」
「疲れたときは、甘いものを食べなきゃやっていられない!」
うんうんと首を縦に振ったあなた。これまでにダイエットに挫折した経験がありますよね? ここに挙げたのは、ダイエットがうまくいかない人たちの典型的な思い込みや言い訳です。私は今日までに何百回とこれらの言葉を耳にしてきました。
勘違いしないでください。私はこういった発言をする人を責めたいわけではありません。むしろ、ダイエットの邪魔をする“心の呪縛”を解き放ってラクになってほしいと思っています。そして、心の呪縛が解けた先で、「ダイエットって本当はこんなに簡単なものなんだ」と思える自分に出会ってほしいと願っているのです。
ここで質問です。
「2カ月後、旅行先で水着を着るから5kgくらいやせたい」とダイエットを決意した人が、その日の夜、食後にケーキを食べていたらどう思いますか? 「おいおい、やせる気ないじゃないか!」とツッコミを入れたくなりますよね(笑)。
でも、実は多くの人がこれと同じことをしてしまっているのです。冒頭に挙げたダイエット挫折者たちの声も根本にあるのは同じこと。
やせたい、でも、やせるために必要な行動は取れない。これほど大きな矛盾があるでしょうか?
こうありたい自分と、そうはさせてくれない自分。両者の間にある溝を埋めるのに必要なのは、意志の力でも懸命な努力でもありません。あなたの行動や心を支配している脳の仕組みをまず理解し、さまざまな情報に触れるうちに築かれてしまった“誤った思い込み”、つまり「認知のゆがみ」を正すことなのです。
言葉にすると難しく聞こえるかもしれませんが、そのステップをすっ飛ばして、いきなり理想の自分になろうとしても絶対にうまくいきません。
ダイエットに挫折する人は、「でもでも、だって」の言い訳が上手です。
「でも、食事を残したらもったいないし」「でも、カカオは体にいいってテレビでやっていたから」「だって、太りやすい体質だから」
その言い訳は、やせられない自分の心を守るよろいのように強固で、かなり手ごわい敵です。この難敵を自分で倒さない限り、苦しいばかりのダイエットはまだまだ続いていくでしょうし、3年後も5年後も同じような言い訳をして、自分を守っていることでしょう。あなたは、そんな自分のままでいたいですか?
私が福岡県みやま市でダイエット外来を開設したのが2013年。2025年から、拠点を東京に移していますが、これまでに数えきれないくらい多くのやせたい患者さんと向き合ってきました。
最初はどんなアドバイスをしても、「でもでも、だって」が高確率で返ってきます。あれこれ視点を変えた言葉をかけても、光の速さで「でもでも、だって」を打ち返してきます。
でも、これは想定内。実は私も研修医をしていた20代の頃、不規則な生活とストレスによる食べ過ぎで、90kgまで太ったことがあります。だから、太っている人の気持ちは手に取るように分かるのです。
私の声かけは、決して否定してはいないのに、声をかけられた人がなんだか自分が責められているような気持ちになったり、ダメな自分が見透かされているような心持ちになったりして、「でもでも、だって」でつい反論してしまうのですよね。
最初から素直に、私の話を聞いてくれる人はそう多くありません。だから私は、患者さんに「だまされたと思って、1週間でいいから僕の言うことをとにかくやってみて」と伝えます。
すると、次の診察に来たときには、1週間前と表情からして全然違います。ダイエットの結果が出て、「どうやらこの医者の言うことは信じてもよさそうだ」と、ようやくこちらの話を真剣に聞いてくれるようになります。
おそらく本書でも、最初は「でもでも、だって」をたくさん言いたくなるでしょう。私は自分自身の経験や医者としての知見から、その人の常識を覆すようなことも時にアドバイスします。本書でも、「この医者は何を言ってるんだ?」「そんなことくらいで変わるはずがないでしょ」など、いろんな印象を持つ人がいることでしょう。
だから私は、診察室と同じことを言います。
「だまされたと思って、1週間続けてみて」
それで結果が出たのなら、また本書を最初から読み返してみてください。私を疑う心やあなた自身の言い訳フィルターが取れた状態で読み返してみると、きっと、多くの気づきを得られるはずです。
そして、ゆくゆくは、やせたいからやせるための行動ができる自分になっていることでしょう。
今のあなたは、「やせたい、けれど、食べちゃう」という矛盾した状況にあるはずです。だけど、脳と心が正しく働くようになれば、やせるためにシンプルに行動する自分に出会えます。
過去のダイエットの失敗は、一切関係ありません。私はダイエット外来でも、これまでどんなダイエットに取り組んできたのかを聞くことをしません。冷たく聞こえるかもしれませんが、聞いたところで何も変わらないからです。
その代わりというわけではありませんが、「大丈夫、やせますから、これからを楽しみにしておいてくださいね」と未来に向けた言葉をかけるようにしています。
過去を振り返るより、未来の自分に期待して、今日からできることに取り組んでいきましょう。本書で脳や心の誤解を解きほぐし、「認知のゆがみ」を正すことができれば、一生モノのダイエット術を手に入れたも同然。これまでのダイエットのように、食べたいものを無理に我慢したり、つらい運動を継続する必要はないのです。「勝手にやせる思考」を手に入れるために、ぜひ素直な心で読み進めてください。
【目次】




