その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は斎藤昌義さんの『 AI実践ドリル30日チャレンジ 仕事にすぐ効くAI活用 』です。

【はじめに】

 「このまま今の仕事の延長線上に、自分の未来はあるのだろうか」

 話題の生成AI(人工知能)を試してはみたけれど、結局「メールが少し速く書けるようになった」「会議の議事録がすぐにまとまった」「企画書の体裁を整えるのが楽になった」くらいで、自分の仕事のやり方も、キャリアの未来も、何も変わっていない。毎日、目の前の業務をこなすだけで精いっぱい……。そんな焦りや閉塞感を抱きながら、あなたはこの本を手に取ったのかもしれません。
 世間には効率化のための「AIの使い方」を教えるマニュアル本があふれています。しかし、単なる効率化の手段を学ぶだけで「AIのアウトプットを右から左へ流すだけの係」にとどまっていては、いずれ「その程度の仕事ならAIに直接任せてしまえばいい」と判断されます。あなた自身の仕事がAIに奪われてしまうのです。そこから脱却するためには、「AIをどう使うか」ではなく、「AIを使って何を生み出すか」「AIでどう変わるか」へと視点を移さなければなりません。

本書は「プロンプト集」ではありません

 最初に申し上げておきます。本書は、AIの操作マニュアルでも、よくある「プロンプト集」でもありません。なぜなら、どれほど見事なプロンプトのテンプレートをかき集めても、それだけではあなたの「本当の仕事」には役立たないからです。
 ビジネスの現場で求められるのは、コピペで済む定型作業ではありません。「何を解決したいのか」「何を実現したいのか」を考え抜き、決断を下すことです。あらゆる作業をAIが瞬時に代替してくれる「AI前提の社会」が到来したからこそ、人間が自らの意志で問いを立て、最後に決断を下すという役割は、ますますその重要性を増していきます。与えられたプロンプトの穴埋めをしているだけでは、自らの頭でビジネスを構築する力は決して身につきません。

高度なテクニックは【あえて】使っていません

 この本では、いわゆる「プロンプトエンジニアリング」や複雑な構造化などの「高度なテクニック」をあえて一切使っていません。
 シンプルな言葉だけでもAIは仕事に十分すぎるほど使えると知ってほしいからです。「AIを使いこなすには、呪文のような複雑なプロンプトが必要だ」というのは誤解です。高度な技法は確かに便利な道具ですが、AIを使い慣れていけば自然に覚えます。必要に応じて覚えて使えばよいのです。
 本書には、皆さんの業務でよく登場する具体的な「仕事」でそのまま使える、シンプルなプロンプトを30以上収録しました。AIをどう使えば、実際の仕事に役立てられるかを知ってほしいからです。
 目的はテクニックの解説ではなく、誰でも書ける普通の言葉だけでAIという“知性の強化スーツ”があなたの思考を拡張してくれるという事実を、理屈抜きに体験していただくことです。

「知的力仕事」の岩盤を砕け

 本書は、AIという強力な知性を相棒にし、経験ゼロから30日で仕事にバリバリ使えるようになるための実践ドリルです。そのためのプログラムとして「売上3億円規模の新規事業をゼロから計画する」という一見無謀なタスクを用意しました。あなたの分身である本書の主人公「澤田一郎」と共に、この困難なタスクを毎日こなしていくと、自然とAIを仕事で使うための型やしぐさが学べる仕組みです。
 自分には、「アイデアを出す才能がない」と身構える必要はありません。新しいものを生み出せないのは、あなたに才能がないからではなく、リサーチや資料作成といった形式化された重苦しい「知的力仕事」に時間と脳のスタミナを奪われているからです。この知的力仕事を、AIの力で砕いてください。作業の9割をAIが驚くべき精度で引き受けてくれます。負荷から解放されたとき、人間は「誰のどんな悩みを解決したいか」という純粋な「意志」と「情熱」だけをビジネスに注げます。不足する知識や経験は、すべてAIが補ってくれます。

なぜ、あえて「新規事業」に挑むのか

 自分は、「新規事業の担当ではない」と思うかもしれません。しかし、事業企画プロセスには市場分析から収益化まで、全ビジネスパーソンに必須の「総合力」が詰まっています。このドリルで身につく思考法は、営業の提案力、マーケティングの戦略構築、管理部門の業務改善など、普段の仕事の質を根底から変えます。AIを相棒に「3億円」という高い目標に挑み、一段上の視座を手に入れてください。

考える前に、まずは動こう

 自転車の乗り方を本で学ぶ人がいないように、AIも「体で覚える」ことが一番の近道です。
 本書は、1日1つずつ小さなステップを踏んでいく「実践ドリル」です。AIと対話を続けることで、市場分析から収益シミュレーションまで、事業創出の「型」が自然と身につきます。AIというシミュレーターの中なら、何度でもノーリスクで失敗でき、現実世界で損失を出す前に仮説を自由に鍛え直すことができます。
 あなたが、この30日間のドリルを終えたとき、完成した「3億円新規事業計画書」以上のものを手にしているはずです。それは、与えられた仕事をこなす存在から抜け出し、自ら価値を生み出せる自立したビジネスパーソンへと生まれ変わった「自信」です。

 さあ、ページをめくってください。
 あなたの限界を突破し、ビジネスパーソンとしての可能性を劇的に拡張する、新しい挑戦の始まりです。

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【目次】

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