その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は日経BP(編)の『 日経テクノロジー展望2025 世界を変える100の技術 』です。
【はじめに】
技術が変える社会と産業
仕事に生成AIを活用する風景は、もはや見慣れたものになりました。文書作成、アイデアの「壁打ち」、プログラミングなど日常的に使っているビジネスパーソンは数多く、企業で一括導入したり、専門業務システムに組み込んだりと、その波及はとどまることを知りません。米オープンAIが2022年11月に「ChatGPT」を公開して以降、米グーグルをはじめ多くの企業が生成AIに参入し、技術にしのぎを削っています。日本語の情報に強いモデル、ネット上の最新情報を反映できるモデル、テキスト・音声・画像などをマルチ処理できるモデル、より少ない計算資源で処理できるモデルなど、技術はどんどん進んでいます。
しかし、これらはAIのほんの一面に過ぎません。センサーとAIで機械の故障を未然に検知する「故障予測AI」、複雑な業務を自動処理し人の介入を最小限にする「AIエージェント」、人の行動を自動認識し警備に生かす「行動認識AI」など、AIはあらゆる分野に活用されるようになりました。複雑な作業を自動化・高速化・適切化してくれるという特徴を生かし、大きな「技術群」として発展し続けているのです。その広がりを理解しておくことは、今後の社会への影響を見通す上で必須と言えるでしょう。
本書はIT・電機・自動車・ロボット・建設・ニューメディア・医療・健康・バイオテクなどの専門分野を追う日経BPのWebサイトや雑誌の編集長、総合研究所のラボ所長らが選び抜いた「2030年に向けて世界を変える技術」を100件掲載しています。ラインアップをご覧いただければ、AIをはじめ各種の技術がお互いに関連し影響しあって発展していることがわかると思います。
いずれの技術も有望なものですが、中でも2030年に向けて重要性が高くなるものはどれでしょうか。ビジネスパーソン約600人にアンケート調査をした結果も「テクノロジー期待度ランキング」として掲載しました。少しだけ紹介すると、上位には「完全自動運転」や「介護ロボット」「建設ロボット」など、AIと機械の実体が結びついたものが入っています。重要なトレンドでしょう。また、「核融合」「宇宙太陽光発電」などエネルギー関連の未来技術に注目する人も多かったようです。そのほか、人手不足対策や環境対策、セキュリティー対策など、社会や産業を大きく変える技術への期待の高さが見て取れます。これらの技術が今後、新たなビジネスを生む土壌になることは間違いありません。本書を読むことで、その可能性を十分に感じとっていただくことができるはずです。
ふだん、新聞、雑誌、Webサイトなどの報道や仕事の現場で「名前は聞いたことがあるけどよく知らない技術」に出会うことがあると思います。そうした言葉をよく理解するためにも本書は役立ちます。ビジネスパーソンから今後社会に出ていく就活生、技術をより広く見渡したいプロの技術者まで、多くの方にお読みいただける技術トレンド解説の決定版として本書を編集しました。ぜひ座右に置いて、楽しみながらご活用いただければ幸いです。
日経BP 取締役 技術メディア担当 小向将弘
【目次】




