その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日はチャールズ・エリスさんの 『敗者のゲーム[原著第8版]』 です。

【まえがき】

 私は本当に幸運に恵まれている! 素晴らしい女性と結婚し、日々知的刺激をもらっている。アメリカに生まれ、教育の機会を与えられ、尊敬してやまない両親と子供や孫にも恵まれている。そして、資産運用の世界で、さまざまな国の優秀で熱意と創造力にあふれる多くの友人とも出会えた。この分野は将来性がある素晴らしい仕事だ。

 運用というと複雑で難しい仕事だと思われるだろう。時間もかかると思われるかもしれない。大概の人は、「すべてを学ぶ」ほど暇ではなく、他にやるべきことがたくさんあるからだ。

 私が魅了された資産運用業の高度の専門性は、徐々に短期的な営利主義に脅かされ、多くの人は、資産を長期的に運用するにはどうすればいいか、わからずにいる。そこで、私のこれまでの経験が読者の皆さんの役に立つのではないかと思い、この本を書いた。

 この半世紀、証券市場は劇的に変わり、深刻な問題が次々と生まれた。この大きな変化については第1章で述べている。よく言われるように、問題点がわからないと、解決法は見出せない。この本で、私は率直な意見を述べている。皆さんが自分の置かれた状況を正しく理解すれば、「敗者のゲーム」を「勝者のゲーム」に変える方法がわかるはずだ。皆さんは、勝者になるべきだ。

 ウィンストン・チャーチルも述べているように、「人間はとにかく勝ちたい」ものだ。運用でも勝ちたい。そして、誰でも勝てる。自分の本当の運用目的を認識したうえで、しっかりとした長期戦略を立て、その戦略を堅持すれば、低コスト・低リスクで簡単に成功できる。

 過去50年以上にわたり、私は世界中の超一流の運用プロや研究者に学びながら、運用で成功するための原則をできるだけ明快に説明するよう努めてきた。「敗者のゲーム」にしたくない方にとって、本書の簡潔なメッセージは、今後50年にわたり、投資の成功のカギとなると信じている。

 企業は時とともに変化し、市場も経済も上昇と下降を繰り返す。しかし、投資の基本原則は決して変わらない。ぜひ本書を一読していただきたい。投資に本当に必要なすべてを学ぶことができるはずだ。


【目次】

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