その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は原昌登さん(監修)、香川希理さん(著)の『 まずはこれだけ! カスタマーハラスメント対策スタートBOOK 』です。

【はじめに】

 カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、カスタマー(顧客)等からのハラスメントの総称です。2025年に労働施策総合推進法(労推法)が改正され、カスハラ対策が企業等の義務となることが決まりました。準備期間を挟み、いよいよ2026年10月1日から実際に義務となりました。
 本書は、カスハラ対策を担当する/現場でカスハラに困っている/カスハラの問題に興味がある、そうした皆様のために書かれたもので、まさにタイムリーな1冊です。

 執筆した香川希理弁護士は、上記の法改正が行われるはるか以前、まだ「カスハラ」という言葉が広まっていなかった頃から、カスハラの問題に精力的に取り組まれてきました。
 監修者である私は大学で労働法、特にハラスメントについて研究している関係で、香川先生ともお仕事をご一緒するようになりましたが、香川弁護士は、カスハラ対策を進めることが、企業・労働者・顧客にとって、そして社会全体にとって不可欠であるという強い信念をお持ちであると感じます。
 弁護士としての実務対応に加え、専門家としてさまざまな会議体に参加されたり、研修の講師を務められたり、まさにカスハラ問題の第一人者といえる、豊富なご経験をお持ちです。また、一般社団法人カスタマーハラスメント対策協議会を立ち上げて、企業がお互いに知恵を出し合い、よりよい対策を議論する場をつくるなど、新たな取り組みも進められています。

 そのような弁護士の豊富な実務経験に基づき、「カスハラ対策」を進めるためのエッセンスをまとめたのが本書です。
 とくに、対策にあてられる予算や人員に制約のある会社の方や、ひとりで担当にあたっている方のために、相談窓口の準備の仕方や社内規定のつくり方など、「まずはこれだけ」準備してほしい、というポイントから、無理なくできる内容を解説しています。
 また、監修者としての視点から、カスハラ対策を学ぶにあたり大切な考え方や法律の基本的な知識をコラムの形で紹介しました。あわせてコラムをお読みいただくことで、実務対応への理解をより深めていただきたいと思います。

 監修者は上記の法改正の際、国会(衆議院厚生労働委員会)に参考人として呼ばれ参加しましたが、私から見ても、法改正の内容、そしてカスハラ対策について企業に求められることを、本書のように分かりやすく、コンパクトに、漏らさずにまとめた本は、他に1冊もありません。
 本書を読み進めていくと、法律家による的確なアドバイスを、まさに直接聞いているように感じられることでしょう。ぜひご活用ください。

2026年10月 原 昌登


【目次】

画像のクリックで拡大表示
画像のクリックで拡大表示
画像のクリックで拡大表示
画像のクリックで拡大表示