その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日はジョリ・ジェンセン(著)、後藤伸彦、波多野文(訳)の『 「書けない」悩みに効く論文執筆術 』です。「序文」をお届けします。
【序文】
ライティングの生産性に関する研究とアドバイスは1つの文に要約することができます。つまり、生産性を高めるには「楽しく、ストレスの少ない状態で、頻繁に、執筆プロジェクトとふれあう必要がある」。問題は、研究者の日々は、これとは正反対だということです。つまり、気が重く、強いストレスを感じながら、ごくたまにしか執筆プロジェクトとふれあわないのです。
執筆活動を支える環境づくりは自分自身の手にかかっており、楽しめる執筆プロジェクトと、頻繁に、実りあるふれあいを持つ方法を見つけなければなりません。ただその前に、職場環境や自分自身を責めることをやめにしましょう。研究生活は執筆には不向きなのです。やることが多すぎるといった真っ当な批判や、我々が怠け者でだらしないのかもしれないという、人にはなかなか言えない密かな不安も理由としては不十分なほどに。ただ、「何があっても(no matter what)」論文執筆を進める助けとなる、スキルや思考法は存在します。
この本では論文執筆の内容ではなくプロセスにフォーカスします。文章のスタイルや、論文・学術書の出版プロセスに関する優れた本はすでにたくさん存在します。これは、あなたの論文執筆を妨げるものについての本なのです。どんなに行き詰まったり、苛立ったり、執筆環境が苦痛に感じられたとしても、どうすればあなたの大切な執筆プロジェクトと、楽しく、ストレスの少ない状態で、頻繁なふれあいを持ち、持続させられるかを紹介します。
本書では、生産的に執筆するには「どこそこで書かなければならない」とか「他の誰かにならなければならない」といった幻想を抱くのをやめるようお願いします。頻繁に、そして幸せに書く方法をまだ知らないからといって自身を責めるのはやめにしましょう。あなたの時間とエネルギーを奪う授業や事務仕事(そして学生や同僚)を責めるのも終わりにしましょう。これらの言い訳を手放したとき、我々の邪魔をする真の問題に対処する準備が整います。
本書では、執筆プロセスを妨げるものと助けるものについての一般的な理解と、学術的な洞察を取り上げます。そしてこれらを執筆にまつわる私自身の苦労や、教授としての30年以上の経験、またタルサ大学で教員向けのライティング・プログラムを開発・指導してきた経験から学んだことと併せて紹介します。ここで紹介するテクニックや提案は、私の大学や他の場所で、人文、社会・行動科学、自然科学など、様々な分野の教員の助けとなっています。私たちは、特に執筆をする上で困難な環境で働いているのはその通りです。しかし、幸せに、生産的に執筆することは可能なのです。その方法を今からお伝えしましょう。
【目次】




