その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は後田亨さんの『 この保険、解約してもいいですか? 』です。
【はじめに】
本書は、私が有料で行っている生命保険相談にいらしたお客様との対話をまとめたものです。
正味1時間弱の面談が終わると、20代から80代まで大半の方に「スッキリしました!」と言っていただけるので、事例を記録しておくと「短時間で読めて、生命保険に関する悩みが一気に解消される本」ができると考えたのです。
私は、1995年から約15年、大手生命保険会社と乗り合い代理店で、生命保険の営業職を経験しました。
2007年に、外回りの仕事で知り合った方とのご縁から、初の著書『生命保険の罠(*)を上梓する機会に恵まれたのをきっかけに、その後、独立し、著述業と有料相談で生計を立てています。
保険販売の仕事を辞めたのは、出版が実現した後、保険の商品設計に関わっている人たちとも知り合うことができて、それぞれ表現は違っていても、現行商品は「暴利と言われても仕方がない仕組み」であると教えてもらえたからです。
本文でも触れているように「インターネット申し込みだから、保険料が割安です」とうたっている保険会社でも、決算情報を見ると、「保険料の4割超が会社の経費や利益になっている」のです。
「保険料は安心料のようなもの」と認識している人でも、「保険会社の専用口座に10万円入金すると、4万円超の管理費が引かれる」と想像してみると、「極力利用しないほうがいい」と思えるでしょう。
したがって、有料相談でも「加入すべき保険は1種類、『自立していない子どもがいる世帯主が、期間限定で死亡に備える保険』です。単身者や子育てが終わった人たちにお薦めしたい保険は、特にありません」とお伝えしています。
保険は仕方なく入るもの
これは、家計における出費の削減を第一とした判断ではありません。誰もが「社会保険」に加入していることを踏まえたうえで、「保険の長所を最も生かせる選択」をご案内しているだけです。現役世代の世帯主が急死するような事態は、頻繁には起きないため、安い保険料で大きな保障を持てるのです。
実際、ある保険数理の専門家も「保険は、世帯主が、子どもが社会人になるまで『掛け捨ての死亡保険』を利用するくらいでいい」と明言します。「他は、貯蓄のための保険も含め、『手数料の分、加入者が損をする』と思ったらいい」と言うのです。
要するに「民間の保険を利用すると、諸費用がかかり過ぎるので、稀に起こる重大事態にのみ、仕方なく保険で備える」のが正解なのです。
私が保険相談を有料にしているのは、このような「利用すべき保険はとても限られている」という情報や知見に、商品以上の価値があると考えているからです。
仮に「診察・相談は何度でも無料」という病院があったら、本来、不要な治療や投薬でも実施されるかもしれない、と想像してみたらわかりやすいかと思います。
悩むポイントは、どんな人でもほぼ同じ
本書でご紹介する相談の場で、私が具体的にどのような話をしているかというと、実は、毎回「ほとんど同じ話」をしています。世代や暮らし向きなどは様々でも、お客様のお悩みや思い込み(?)には共通点が多いため、いつも同じような内容になるのです。
例えば
●「医療保険」は本当に必要?
●「医療保険」「がん保険」に全く入らないのは不安。代案はないか?
● がん家系なので「がん保険」だけは入っておいたほうがいい
● 自営業者は「就業不能保険」に入るべき?
●「掛け捨て」は損だと思う
●「『掛け捨て』ではない保険」に入っているが、保険料負担が重い
● 子どもが生まれたら、「学資保険」に入るのが正解か?
● 老後資金が心配。投資より、受取額が決まっている保険のほうが安心だ
●「外貨建て保険」は金利が高いので「資産形成」に向く、と聞いている
● 貯蓄のための保険、今、解約すると損をする。どうしたらいい?
● 販売員と「付き合い」がある。提案の断り方や解約の仕方を知りたい
● 国の財政は厳しい。健康保険や年金などの制度も改悪されるはず。民間の保険で備えたい
● いざというときのことを考えると、保険料は高くても、大手が安心だろう
これらの発言は、私の中ではほとんど「定番」と呼べるものです。そのため、お客様に私見をお伝えする際の言葉も定番化され、更新されています。人を選ばない伝え方やわかりやすい事例などが、いつのまにか蓄積されたのだと感じます。
近年は「期間限定で、世帯主の死亡保障を安く持てたらよい」という結論に納得していただくのに、1時間もかからないケースが増えているのです。
そこで、書籍化しても冗長にならず、一つの事例をご紹介するだけで、多くの方の疑問やお悩みを解決できると考えました。そもそも保険を賢く利用するために必要な知見は、個人の属性にさほど左右されないからです。
「保険の問題」は「お金の問題」だからでしょう。お金が大事な人であれば──大事でない人がいるでしょうか?──年齢・性別・家族構成・職業等に関係なく、考え方や実行すべきことは同じなのです(例外は相続対策に保険を利用する場合くらいです)。
保険には普遍の正解がある
時代の変化を反映した新商品が登場しても「加入者から集めたお金で有事に備える」保険の仕組みは変わりようがないことも幸いだと思います。一度「正解」がわかれば、ずっと通用するのです。
なお、本書では、相談の場で言及している「数少ない、検討に値する保険」や、「資産形成のために優先的に利用したい制度」なども、ご紹介しています。
結果的に、私の既刊の中で、最も短時間で読めて、読者の皆様のお役に立てる一冊になったと感じています。是非、ご一読下さい。
2023年9月吉日 後田 亨
【目次】



