その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は深田武志さんの『 じわじわと効く投資思考法 肩の凝らない取材ウラ話(日経プレミアシリーズ) 』です。
【はじめに】
新聞記者はスナックのママさんみたいだなと思うことがあります。いろんな分野で仕事をしている人の話を聞いて、へー、世の中ってこんなふうなんだと、妙にいろいろなことを知る。しかし当事者ではありませんから、あくまで広く浅くの耳学問です。
私は2021年の4月に、それまで3年間過ごした高松支局から東京に戻り、編集委員というシニアのライターの仕事をすることになった、そのへんの記者です。
高松支局の前は30年くらいの職場歴のうち、大半を企業の取材をする経済記者として過ごし、そのまた3分の2くらいは、企業の業績報道や株式市場に関係する部署におりました。
そんな関係で、東京に戻ったときに、ちょうどそのとき、いくつかのコラムの筆者が退職するなどして穴が開いて困っていた投資週刊紙の「日経ヴェリタス」の編集長から、なんか書いてくれと言われて、月に一回、書き始めたのが、この本のもとになっている「投資つれづれ草」というコラム記事です。
編集長はマーケットの記事を書いてほしいような顔をしていましたが、支局に3年いてその間、日経平均株価など気にしたこともなかったので、そんな難しいことは書けないと思いました。
で、以前に日経マネーという投資雑誌の仕事をしていたときに、投資家目線の新聞記事というのが意外とないなと思っていたのと、自分がもう定年が近く、退職したら投資をしてみたいと思っていた(新聞記者はインサイダーになるので個別株投資ができない)のとで、うんうん言いながら書いているうち、投資家見習いがあれこれ聞いて、勉強した記録のような記事になってしまった次第です。
私は投資家ではないので、実感としてはよくわからないのですが、あの人がああ言っていたとか、こう言っていたと伝えるような書き方を心がけました。スナックのママさんが、そういえばあの人がこんなことを言っていたわよ、私にはなんのことか存じ上げませんけど、などと言って、でも、聞く人が聞けば、ははあ、そういうことか、と分かることがあるかもしれないと思ったからです。
コラムは結局、4年以上も書き続け、その間、役に立ちそうなこととか、面白そうなことを書くようにしてきたため、読み返してみると、結果的に、素人が、投資の面白さをあれこれ考えるような話になっている気がします。寝る前の睡眠薬代わりでもなんでも、ちょっとでもお役に立つならうれしいです。取材に対応していただいた方々に、心から感謝申し上げます。
なお、本書の文章は掲載時点のもので、人物の肩書きなどは原則その当時のものです。
2025年11月
深田 武志
【目次】





