その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は藤木俊明さんの『 副業・複業・ひとり社長で年金に月プラス10万円を得る方法(日経ビジネス人文庫) 』です。「文庫化にあたって」と「はじめに」をお届けします。

【文庫化にあたって】

 「わたしは会社退職後の自分が心配で仕方ないのです」
 ある中堅企業で働き盛り世代を対象に「定年退職後の生活」についてセミナーを行った際、多くの方が発した言葉です。
 性別や職種に関係なく、会社卒業後、「自分の暮らしと居場所をどう守り、どうデザインしていくか」に大きな関心を寄せ、また不安を覚えているのだと痛感しました。

 「これからは年金だけではきびしい」「しかし、在職中と同じ収入を得ようとしてもうまくいかない場合が多い」ことは、あえて申し上げるまでもないでしょう。
 ですから、「月10万円程度を稼ぐような生活を、今から目指しませんか」というメッセージを届けることがこの本の主旨です。
 それは、お金を得ることだけでなく、会社とのほどよい関係をつくること、ほどよい居場所を確保すること、さらには自分自身への新たな評価にもつながります。

 本書は2022年に上梓した『年金にあとプラス10万円を得る方法』(産学社)に最新動向を踏まえて大幅加筆、再編集の上、文庫化したものです。
 40代、50代のビジネスパーソンが、「年金に月プラス10万円」を得るために在職中に整えておきたいマインドセットと、無理なくスタートできる「副業・複業」を中心に解説しています。もちろん、定年退職間近の方、すでに退職した方にも「ひとり社長」をはじめ、実現性が高くローリスクな選択肢を具体的にご紹介しています。

 準備は早いほど有利です。
 生成AIも「副業・複業・ひとり社長」成功を助けてくれる味方になり得ます。
 どうぞ肩の力を抜いて、「こんな働き方もあるのか」「自分ならこれができる」「まずは何から始めよう」とワクワクしながら、通勤の途中やすき間時間に気軽に読んでいただければと思います。

 2025年11月

藤木俊明

【はじめに】◎自分のペースで気持ちに余裕を持ちながら「年金プラ10」

 会社員生活の残りが見えてきたとき、「ああ、もうすぐ働かなくてもよくなる。年金をもらってのんびり暮らせるな」と思えますか?
 住宅ローンが残っている、まだまだ子どもの教育費がかかり、貯金ができていないという人も少なくないでしょう。
 総務省の家計調査報告(2024年平均結果)によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の平均的実収入はひと月約25・2万円(うち社会保障給付22・5万円)で、消費支出と非消費支出の合計は約28・6万円です。
 つまり、年金だけでは毎月赤字になってしまうのです。多くの家庭では貯金を取り崩したり、その他の収入を充てたりして生活することになります。
 一時期話題になった、「老後2000万円問題」は、定年退職してから寿命を全うするまで、おそらく年金だけではまかなえないので、それを補填するために自力で準備をしておいてください、という国からのメッセージだったわけです。

●ほどよいお金でほどよいゆとり

 人生において、お金が一番大事だというつもりはありません。
 しかし、爪に火をともすように汲々(きゅうきゅう)と生活していくのも、幸せとは感じられません。ある程度、生活にゆとりがないと楽しくないでしょう。「今までずっと働いてきたのに、何のための人生だったのか」と思いながら、老年期を過ごしていくのは望ましい姿ではないですよね。
 かといって、一攫千金のチャンスを狙うことはもちろんおすすめできません。
 シニア世代が大きなリスクを負ってチャレンジし、もし失敗したら、正直、立ち直るのはむずかしいでしょう。
 大儲けを目指すのではなく、月々の生活費が赤字にならないくらい、無理なく収入を得る方法を見つけていくのが最適なやり方です。

●「月々10万円、無理なく収入を得る方法」を見つける

 まず月々5万円。そして、その先には月々10万円の収入を、「副業・複業で無理なく得られる方法」を見つけることを提案します。
 生活をコンパクトにした上で、年金プラス月額10万円、略して「年金プラ10(じゅう)」のフロー収入が得られれば、何とか少しのゆとりが生まれるのではないでしょうか? 心のゆとりは心身の健康にもよい影響を与えるはずです。
 繰り返しになりますが、ここで大切なことは「無理なく」です。大きなリスクを負って、一か八かで大金を得ることではありません。
 自分のペースで、気持ちに余裕を持ちながら、できたら自分が今までやってきたことを活かして、人に喜んでもらう。そして、それによって適正な収入を得ていく。
 本書ではこれを実現するために、まず何を準備すればいいのかから始めて、「副業・複業」のタイプ別の11の方法、そして「ひとり社長」について解説します。
 意識の転換と多少の工夫、そして実践練習も必要になります。
 また、情報収集も大切です。公的な支援を得る方法、信頼できる情報もご紹介していきます。
 そして、「実はまだ何も決められていない人」向けにも「すぐにできること」を提案させてください。

●「年金プラ10生活」で「ほどよい居場所」もできる

 「年金プラ10生活」を目指すためのガイドがこの本です。
 もちろん生活防衛が大きな目的ですが、シニア世代になると「自分の居場所」に悩む人が多くなります。「年金プラ10生活」は心身の健康を維持することも目的です。
 本書では、コラムとして、「年金プラ10生活」のもうひとつの意義である「ほどよい居場所づくり」や「セカンドライフ」の新たな考え方についてもお話しします。

 今後訪れる役職定年や老後の生活に不安を感じている40代、50代の方はもちろん、会社員生活の終わりが見えてきたみなさん、あるいは会社から卒業して日々居場所がないと感じているみなさんの心を、少しでも軽くすることができれば幸いです。


【目次】

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