その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は籔和弥さんの『 8万人の講師から学んだ 1億稼ぐオンラインスクール 』です。
【はじめに】
ようこそ、指名経済の世界へ
本書は、オンライン講師になって「1億円をかんたんに稼ぐこと」を約束する“やさしい”本ではありません。これから紹介する事例を読めば、結果を出すまでの道のりが決して平坦ではないことに、すぐ気づくはずです。
私たちは、個人のスキルやノウハウをインターネットで手軽に販売できるプラットフォームMOSH(モッシュ)を運営しています。フィットネス、語学、パン教室、コーチングなど約200職種・8万5000名の方々が、MOSHを活用してサービスを提供しています。
MOSHを8年間運営する中で、たった一人で年商1億円を超えるような事例をたくさん見てきました。どの人も始めたときはゼロからのスタートです。その後大きくビジネスを伸ばす人と、停滞してしまう人との間には明確に違いがあることに気づきました。成功する人には共通する考え方・技術・習慣があるのです!
その違いとは一体なんなのか。
その秘密は追々明らかにしていくとして、必ず共通しているのはお客さんから「あの人ではなく、この人から教わりたい!」「あの人にお願いしたい」と会社やサービス名ではなく、名指しで個人が指名されていることです。
「指名経済」とは、私たちが定義した新しい経済の形。「何を買うか」よりも「誰から買うか」が重視され、顔の見える個人が指名されることを起点とした経済です。こうした消費者やユーザーの傾向はますます当たり前になっていくと感じています。
指名経済が生まれた背景には、生成AIの登場によるコンテンツ大量生成が可能になったことやSNSの普及による、個人の情報発信力の向上があります。AIでも知識や教材自体が手に入る時代になったからこそ、“誰から学ぶか”という体験の質に価値が生まれてきているのです。
オンラインスクールの世界は、まさにこの動きの最前線にあるのです。
いまは、マーケティング手法や、SNSのトレンド、AIなどのテクノロジーが信じられない速さで更新されています。
そんな瞬く間に変化していく現代においても、本質的に変わらない部分と、テクノロジーによって変化してしまう部分とがあります。
そこを的確に見極めたうえで、「この人にお願いしたい」「この人から学びたい」「また次もこの人に」と言われ続けるための、指名される技術を本書を通して述べていきます。
売上の大小以上に、“あなたにお願いしたい”と指名されること自体、尊いことです。誰にでも起こることではありませんし、簡単でもありません。だからこそ価値があるのだと思います。
本書は、指名経済社会におけるインフラを目指している我々だからこそ見える「仕事が集まる人」と「伸びるビジネス」をどう作るかを、MOSHの実例とともに解説する一冊です。
情熱がめぐる経済をつくる
簡単に自己紹介をさせてください。起業前の私は「今、世界ではどんなビジネスが求められているのか」「人々はどんな価値観で生きているのか」を自分の目で確かめたくて、アジア、インド、アフリカ、アメリカなど世界各地を巡りました。
2017年当時、Airbnb(民泊)、Uber(配車)、メルカリ(フリマ)といった、個人同士がアプリを介してモノやサービスを取引するプラットフォームが世界を席巻し始めていました。
同時にInstagramなどのSNSが本格的に普及し、世界中の誰もがスマホ一台で写真を撮り、個人として発信する文化が急速に広がっていました。
こうした風景を前に、私は確信しました。
自分で何かしたいという情熱を持つ人や、やりがいのある仕事に出会えず精神的な渇きを感じている人は、新しいテクノロジーに支えられて、ますます事業を始めやすくなる。この体験から、創業したMOSHのミッションを「情熱がめぐる経済をつくる」としました。
それから8年。個人が事業を立ち上げる環境は、当時と比べて飛躍的に整いました。
自分でECサイトを立ち上げてブランドをつくる人、オンラインスクールで知識や技能を提供する人など挑戦のハードルは確実に下がりました。さらに、この2~3年でAIを中心としたテクノロジーが急速に普及し、この潮流は今後も個人の挑戦を後押しし続けるでしょう。
かつては「情報=商品」でした。
希少な情報や知識を持つ人だけが、価値を生みやすかったのです。いまは違います。誰もが瞬時に情報や知識へアクセスできる時代となり、AIに聞けば記事や企画書の下書きまで作れます。
情報発信や情報提供は〝信頼してもらうための自己紹介の一部〟に過ぎない時代になりました。
それでは、オンラインスクールでは何が価値になるのか。答えはシンプルです。
相手が望む変化を設計し、伴走し、最後まで実現させる力です。
AI以前は、「知っている」「考える」「教える」だけでも価値がありました。しかし現在は違います。
- 知らなくても、検索すれば記事や動画に無料でアクセスできるようになった
- 考えなくても、AIが即座に要点を教えてくれるようになった
- 誰かに教わらなくても、AIが構成や選択肢の下書きまで作ってくれるようになった
テクノロジーが変わるなら、私たちの価値の出し方も変えなければなりません。
本書は、こうしたダイナミックな変化を生き抜き、自己の能力を武器として活用するためのガイドです。
オンライン講師として活躍するだけでなく、会社・組織・顧客から「指名され続ける人」「選ばれる人」になる道筋を、具体的な手順とともにお伝えします。
本書を読んで特に効果がある方たち
本書の主な想定読者は大きく分けて3タイプです。
- これからオンライン講師となって個人事業を始めたい人
・これから個人事業/副業を始めたい
・趣味や特技を人のために役立てたい
・資格や学びを眠らせず活かしたい
・社内で評価された技能を外にも広げたい
・発信が好き/発信を始めたい - すでにインターネットを利用して個人事業を始めているが、伸び悩みを感じている人
・個人事業を続けているが売上が伸びない
・発信はしているが、仕事に結びつきにくい
・商品作りに迷う
・忙しいのに利益が残りにくい
・紹介やコミュニティが育ちにくい - 組織で働きつつも、個人指名で価値を高めたい人
・「このテーマならあなた」と社内外から指名されたい
・プロジェクト横断で〝最後を任せられる人〟になりたい
・顧客や関係者から名指しで相談が来る状態を作りたい
・評価・報酬・裁量を〝個人の指名〟で引き上げたい
無料で情報が手に入り、AIに聞けばなんでもわかる時代に、なぜ彼・彼女たちは指名され続け、選ばれ続けるのか。本書では、その理由を、次の3つの問いに沿って明らかにしていきます。
- なぜ「あの人から買いたくなる」のか?
- なぜ「あの人に仕事をお願いしたくなる」のか?
- なぜ「あの人を応援したくなる」のか?
MOSHは個人のスキル販売やオンラインスクールのプラットフォームとして、多くの事業者のデータや事例を見てきたからこそわかることがあります。
そのようなビジネスをオンライン講師のみなさんがどのように作り、大きくしてきたのか。そのためには特別な能力が必要なのか。資金が必要なのか。人脈が必要なのか。どういう準備が必要なのか。そういった疑問に答えていきます。
情報があふれる時代で、売れている人たちは「これ」をしている
知識を伝える手段の歴史を振り返ると、印刷 → インターネット → AIと進化していくたびに、「何かを知るまでの距離」はどんどん短くなっていきました。その一方で、知識を教えるビジネスをするのに次の4つの力が、むしろ重要性を増しています。
- 顧客理解力:顧客が本当に求めていることを見抜く力
- 商品設計力:顧客に合わせ、専門家として情報を選び成果までの道筋を設計する力
- 集客力:顧客を惹きつけ、欲求と共感を創出する力
- 伴走力:つまずきを先回りし、顧客が求める結果を導き、信頼を積み重ねる力
これらはバラバラのスキルではありません。(1)顧客を理解し → (2)商品という形にし → (3)「知りたい」という欲求を創り → (4)顧客の学習に伴走し、信頼を積み重ねるという、一連の流れをつくるための力です。
AIは情報を素早く出すことは得意ですが、それだけでは顧客が何かをできるようになったり、知識が身についたりするような変化を起こすことはできません。情報を集める前段ではなく、人を動かして結果に結びつける後段こそが、これからの価値の源泉になります。
顧客の“欲しいもの”は静かに変わる
ビジネスはいつの時代も、「目の前の人の課題を解決する」ことで成り立ってきました。
ただし、顧客の課題や顧客が欲しいものは静かに更新されていきます。
昨日は「知識」が欲しかった人が、今日は「一緒にやってくれる伴走者」を求める。そんな変化が日々起きています。提供できる価値をアップデートし続けないと、気づかないうちに選ばれにくくなるのです。
さらにもう一つ、見落とされがちな〝静かな変化〟があります。
それはオンラインスクールの世界でもAIの活用が当たり前になっていることです。
これだけ話題になっているAIでさえ、本当に使いこなせている人は、まだまだ少数だと思います。けれども、使える人/使えない人の差は着実に広がっています。
リサーチの速さ、提案の精度、スクール運営の効率、顧客の体験の個別最適化を図ることにAIを活用できるかどうか。こうした差はやがて、売上や利益、自由時間、そして資産形成の差として表れていきます。
だからこそ、これからは自分の仕事の価値観を大きくアップデートし、二つの進化を同時に進める必要があります。
- 顧客のニーズの変化に合わせて、提供価値を更新すること
- AIを道具として正しく業務に組み込み、自分は学ぶ意味づけ・学習設計・伴走・信頼構築に集中すること
AIに「材料集めや雛形づくり」を任せ、自分は相手に合わせた意味づけ、道筋の設計、学習を続けられるための伴走、約束と実績による信頼づくりを担う。この分業が、1億稼ぐための一つの答えとなります。
AIの時代にこそ、人の温度が価値になります。これからのオンライン講師は単なる情報提供者から人を“変化”へ導く存在でなくてはなりません。
ぜひともあなたの指名の源泉を、一緒に見つけ、育てていきましょう。
MOSH代表 籔和弥
【目次】






