その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日はアイナ・ベスタール(絵)、ビクトル・サバテ(文)、五十嵐加奈子(訳)、綿貫宏史朗(日本語版監修)の『 食べた後どうなっているのか図鑑 動物の消化器の秘密 』です。「Ⅰ 消化器系ってなんだろう?」と本書のページサンプルをお届けします。
【Ⅰ 消化器系ってなんだろう?】
ワシの雄大な飛翔、夏の夜のしつこい蚊(か)の羽音、カニの求愛ダンス、なでてほしくてニャーニャーと鳴くネコの声、レイヨウをねらう雌ライオンの激しい追跡。そしていま、この本を読んでいるあなたの頭のなかで起きていること。こうしたすべての活動、そして呼吸や心臓の鼓動といった、生きていくためのあらゆる営みには、エネルギーが必要だ。
人間をふくむすべての動物は、食べ物からエネルギーを手に入れる。でも、ひとつ問題がある。一部の例外を除いて、私たちの体の細胞は、食べたものから必要な要素をそのままとり入れることができないのだ。だから、食べ物にふくまれる栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物、ミネラル、水分、ビタミンなど)を分解し、細胞がそれを利用できるように、小さな粒子にしなければならない。生命を維持するのに欠かせない、この重要な仕事をしてくれるスーパーヒーロー、それが消化器系だ。
消化のプロセスには、ほとんどの動物に共通する段階がいくつかある。摂取(食べ物を体内にとりこむ)、消化(食べたものを小さい粒子に分解する)、吸収(分解された栄養素を細胞に運ぶ)、そして排便(吸収されなかった不要なものを体外に出す)だ。
けれども、動物界は驚くほど多様性に満ちた世界なので、消化器系にもさまざまな種類があり、消化のしかたも動物によって大きく異なる。また、それぞれの種ごとにニーズが異なるため、消化プロセスのどの段階が重要なのかもちがってくる。消化器官に食べ物をとりこむのがたいへんな動物もいれば、食べ物の栄養素、とくに消化しにくい栄養素の分解や吸収がたいへんな動物もいる。また、排便にひと苦労する動物もいれば、とてもユニークな方法で問題を解決するものも……。ではこれから、動物たちのふしぎなふしぎな消化器系をめぐる旅に出かけよう。
【本書のページサンプル】
【目次】



