その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日はブライアン・トレーシー(著)、狩野綾子(訳)の『 「お金」と「すごい成果」の法則 億万長者に学ぶ不安を減らして資産を増やす大切な教え 』です。
【はじめに──思考を変えて、人生を変える】
ドイツの文豪、ゲーテはこう言いました。
「自然は冗談というものを理解してくれない。自然は常に真実そのものであり、まじめで厳しく、そして常に正しい。失敗や過ちは常に人間のものである。自然は自然を理解することのできない人を軽蔑する。自然を理解できる人、誠実な人、純粋な人に身をまかせ、その秘密を打ち明けてくれる」
人類の歴史の中で、私たちが今生きている時代は生きるのに最高の時代と言っていいでしょう。より長生きし、より幸せになり、より多くのお金を稼ぎ、人生のあらゆる面ですごい成果を上げるのに、これ以上の機会と可能性に恵まれた時代はありません。
唯一、制約があるとすれば、あなたの思考や行動によってあなた自身が自分に課しているものだけです。
あなたの目標の数字は?
あなたが自分の金銭面つまり経済的な可能性を引き出すための最初のステップは、大きな決断をすることです。
生涯を通じて行う仕事で、あなたが達成したいと思う資産の大枠の額を決めてください。見えない目標は達成できませんから。
これから学んでいただきますが、「どれだけお金を蓄えたいかを決める」という簡単な決断をするだけで、それを達成できる可能性は5倍から10倍に膨らみます。
これは、自分を他人と比較するために使う純資産です。今の自分の価値を計算し、蓄えたい額に到達するまでにあとどれくらい必要かを決めるのです。この数字があなたの価値観の一部になるまで、常にこの数字のことを考えてください。
私は25歳のとき、お金持ちになるためには1000万ドル(約15億円、以下1ドル=150円で換算。ただし2024年10月時点)の純資産が必要だということを『フォーチュン』誌の記事で知りました。大富豪になるには、3000万ドル(約45億円)以上が必要だということでした。
その1000万ドルというのが私の目標の数字になりました。私は、何もないところから始めて、最終的に億万長者、あるいはそれ以上の地位にたどり着いた人たちを研究し始めました。
可能な限り彼らと同じことを試み、毎年自分を彼らと照らし合わせました。そして、少しずつ進歩しました。後退もしました。数年かかりましたが、ついに億万長者になることができたのです。
この本では、自力ですごい成果を上げて億万長者になった人たちの行動について学びます。粘り強く続ければ、あなたも最終的に彼らと同じ結果が得られるでしょう。
最初の100万ドルを得るのは難しいですが、次の100万ドルは必然的についてくる、というよく知られた法則があります。
あなたが最初の100万ドルを稼ぐには、今とは違う人間にならなければなりません。平均よりもはるかに優れた勇気、粘り強さ、自分に厳しい自己規律の資質を培わなければなりません。でも、もし何らかの理由でお金をすべて失ったとしても、あなたはもう中身が億万長者ですから、最初の100万ドルを得た時間よりもはるかに速くお金を取り返すでしょう。あなたは億万長者のように考え、行動できるようになっているからです。
すごい成果と野心の力
数年前、ハーバード大学は「営業や起業で成功するために必要な最も大切な資質は何か」という研究を行いました。
彼らが導き出した答えは「野心」でした。
簡単に言えば、野心的な人は飢えています。彼らは成功、特に経済的なすごい成果に対して強い欲求を持っています。ほぼすべての成功者が持つこの燃えたぎる欲求は、すごい成果を呼び込むために必要かつ重要な要素です。
さらに、彼らは仮にそれがどんなに困難だろうと──とりわけ最初の頃は──成功できる、そして最終的には成功するだろうと信じているのです。
この本は、たとえどれだけ時間がかかろうと、すごい成果の代償を何度も払うことをいとわない、野心的でハングリーな人たちのために書かれたものです。
彼らは決して諦めません。
あなたがこれに当てはまる場合は、読み続けてください。
あなたはこれから人生最大の冒険に乗り出そうとしているのですから。
ほとんどの人は小さなことから始める
子どもの頃、私の家にはまったくお金がありませんでした。私たち家族の口癖は「それを買う余裕はない、余裕はない、余裕はない」でした。10歳の頃から、私はご近所でちょっとしたアルバイトをして家計を大きく支えました。
まず、芝刈りや草むしりから始めました。朝の5時には新聞配達をし、年齢が上がると、放課後の午後と夕方の時間帯にも働きました。
人生のかなり早い段階で、私は結果と報酬の間に直接的な関係があることを学びました。十分に長く、熱心に働く意欲を持ち続ければ、望むものは何でも手に入れることができることに気づいたのです。
14歳のとき、父親がリヤカーを作るのを手伝ってくれました。私はそれを自転車の後ろに牽引(けんいん)し、ガソリン式の芝刈り機とエッジャー(芝生の縁を刈る道具)を載せて家から家へと回りました。当初、14歳の子どもには手に入れづらかったこれらの機材のおかげで、私は芝生を美しく整える仕事をこなし、その対価としてかなりの報酬を得ることができました。
15歳になる頃には、父親よりも多くの収入を得ていました。
この芝刈りの仕事が、私が「資本主義」の奇跡に初めて触れた機会となりました。「貯蓄主義」と呼んでもいいかもしれません。お金を貯めて、それを有形のもの(芝刈り機など)や無形のもの(追加の知識やスキルなど)に投資すると、収入を増やし、倍増させることだってできます。
私は、結局高校は卒業せずに中退しました。友達は卒業証書を受け取りましたが、私は在籍証明書を受領しました。初めてのきちんとした時給換算の仕事は、小さなホテルでの皿洗いでした。続いて駐車場で洗車をしました。その後、清掃員として床掃除をしました。自分の将来は清掃業にあるのではないかと思うようになりました。
私は職を転々としながら、食べていくため、また通勤に使う古い車にガソリンを入れるためにできることは何でもしました。チェーンソーを手に森の中で働いたり、工場や製材所の生産ラインで働いたり。農場で井戸を掘ったりもしました。車の中でも寝ました。常に飢えに苦しみ、給料日手前のギリギリの生活でした。
21歳のとき、私は船に乗る仕事を得て、世界を周る旅に出ました。8年間、主要な大陸を周り、80カ国以上を旅しました。ノルウェーの貨物船の船員として働き、航海が終わると陸に上がって仕事をしました。船員の仕事に就けなくなると、今度は農場の季節労働者としての仕事をこなしました。これは収穫期に雇われ、農家の納屋の干し草の上で寝るような仕事です。収穫が終わると、私はまた失業していました。
そのうち力仕事を見つけることができなくなり、私は事務用品を販売するためにオフィスからオフィスへと回り、歩合で報酬が得られる販売(セールス)の仕事に就きました。私は、小さな下宿に滞在しながら、委託販売から委託販売へと回る生活を送りました。
人生を変えるための最初の目標設定
ある日、私は人生を変える2つのことをしました。
まず、12カ月以内に達成したい10の目標を掲げたリストを書き出しました。
雑誌で見つけたこの簡単な課題が私の人生を永遠に変えました。私は、1年ではなく1カ月以内に、10の目標をすべて達成しました(ご想像のとおり、私の目標の1つは、より多くのお金を稼ぐことでした)。
私は安い下宿で寝る生活から、家具を揃えたアパートに住む生活をおくるようになりました。そして、自分に実現可能だと思ったことのない額のお金を稼ぐようになっていました。
自分のスキルは何か?
人生を変えるために行った2つ目のことは、「もし自分に優れたスキルがあったとして、それができたら収入を増やすのに一番役立つものは何だろう」と自問することでした。
私の場合、それは契約を取りまとめること(クロージングセールス)だとわかりました。ドアをノックしたり、見知らぬ人に電話したりすることは怖くありませんでしたが、いざ営業のクロージングが近づき、顧客に購入の意思決定を求めるとなると、身動きが取れなくなってしまうのです。顧客に何て言えばいいのか、さっぱりわかりませんでした。
営業の練習不足を補うために、私は営業に関する本、とりわけ圧力や策略なしで見込み客に購入を促す方法を正確に綴った本をすべて買って読み漁りました。
学べば学ぶほど、練習すればするほど、営業マンとしての腕が上がっていきました。1年以内に収入が2倍になり、その後3倍になりました。私は2年以内に収入を10倍に増やし、十数人の委託営業担当者を採用し、私のもとでトレーニングしました。私は25歳になっていました。
私の最初の大発見──すべては理由があって起こる
私の最初の大きな画期的なアイデアはこうです。自分で設定した目標を達成するために必要な学びは、すべてできるということです。制限はほぼありません。場合によっては、現在のレパートリーに1つのスキルを加えるだけで、収入が倍になって人生が変わることだってあります。
ここで私にとって一番重要だったことは、自分の人生と将来は、完全に自分のコントロール下にあるということに気づけたということでした。
次に私がしたのは、高校を卒業しなかったということを補う作業でした。スタートは無知でも構わないのですが、これまでに発見された成功に関する最高のアイデアの数々に囲まれているのに、無知のままでいることは許されません。
ウィル・デュラントの『哲学夜話』(初版1926年、その後何度も重版された。邦訳は絶版)という本を買って読んだことを今でも覚えています。この本や他の類似の本が、私に教えをもたらし、より賢くしてくれると考えたのです。
『哲学夜話』は、人類史上最も賢明で偉大な哲学者たちの最高の英知を要約したものです。私は、特に史上最も偉大な哲学者であるアリストテレスの教えを読みました。過去二千年の哲学は、すべてアリストテレスの補足にすぎないと言われています。
紀元前350年頃、アリストテレスは世界を永遠に変える原理を発見します。物事は偶然またはオリンポス山の神々の予測不能な行動によって起こるものだと信じられていた時代に、アリストテレスは異論を唱えるのです。
彼は、原因のない、説明できない出来事は存在しないと説きました。驚くべき偶然はないのだと。
「すべては理由があって起こるのだ」と主張したのです。
特定の目標を達成したい場合、あなたのすべきことは他の人がその目標を達成するために何をしたかを調べ、同じスキルを習得して同じ結果が得られるまでそれを何度も繰り返すことです。アリストテレスの「因果の法則」と呼ばれるこの法則は、おそらくこれまでに発見された法則の中で最も重要なものです。
その瞬間から、私は成功した人たち、つまり何もないところから始めて、特定のことを何度も繰り返して改善することによって、結果と貢献の価値を高め、より多くのお金を稼いだ人たちを研究しました。
お金が彼らを離れることは決してありません。彼らと同じことを何度も繰り返すうちに、私は次第に億万長者になっていきました。
めぐり合いを味方につける
プロの講演家およびビジネスセミナーのリーダーとして、私はこれらの原則を全米の、さらには世界中の人々に説き始め、これまでに84カ国、500万人以上に教えてきました。これらの原則を自分の生活や仕事に適用した結果、何千人もの教え子たちが億万長者になりました。
最近、ワシントンDCで開催された2500人ほどを集客した大規模な会議に出席したときのことです。見知らぬ人が私に気づき、近づいてきて「あなたは私の人生を変えた。私をお金持ちにしてくれた」と言いました。
実のところ、私は何年にもわたって同じ言葉を対面で、あるいはメールや手紙という形で、毎週、毎年、何度も耳にしてきました。
「あなたは私の人生を変えた。私をお金持ちにしてくれた」という言葉です。
私はいつものように彼に尋ねました。
「私の教えの中で、どれがあなたにとって役に立ちましたか」と。
彼はニコリと満面の笑みを浮かべて、私が何百回と聞いた同じ言葉を返してきました。
「目標を掲げることです。あなたの話を聞き、本を読むまでは、自分の目標を正確に知り、それに向かって毎日努力することがいかに大切なことであるか知りませんでした。このアイデア1つが、私の人生を変えてくれたのです」
この本では、1つのアイデアだけでなく、あなたの人生を永遠に変える一連の法則と原則について学びます。正しいやり方で目標を設定し、達成する方法は、学習するスキルの1つにすぎません。
これらの法則を一貫して繰り返し適用することで、あなたは自分の可能性にアクセルを踏み、想像よりもはるかに速く目標を達成する方法を学ぶことでしょう。
【目次】



