友達がいないことは健康に影響する。友情は死亡リスクを45%下げ、最強のうつ予防策になるとさえいわれる。友達に関するそもそもの疑問──「正しい友情の形って何?」「友達ってどうやってつくるの?」などから、多岐にわたる"友情の効用”まで、最新の研究を駆使して書かれた新刊『 FRIENDSHIP(フレンドシップ) 友情のためにすることは体にも心にもいい 』(マリサ・G・フランコ著、松丸さとみ訳、日経BP)。その読みどころを文芸評論家の三宅香帆さんが語る。
大人になってから、友達をつくるのは難しい。なぜなら友達をつくるのには時間が必要だし、忙しく仕事や家庭のことに時間を使っていると、なかなか新しい友達をつくる時間がなくなってくるのが本音ではないだろうか?
しかし本書は、そんな社会にNOを突き付ける。友情こそが人生には不可欠なのであり、友人をつくり関係を育むことが、人生においては重要事項なのであるということを伝えてくれる。つまり本書は「友達の存在は社会で軽視され過ぎているのでは?」「友人関係こそが今必要とされている関係性なのでは?」という問いを社会に投げかけているのだ。
確かに考えてみれば、パートナーシップや仕事の人間関係についての本はこれまでもたくさん知られている。が、大人になってから育まれる友情の効用や技術についてつづった本は、多くない。そういう意味で、本書は人間関係について新しい観点を私たちに与えてくれる。
さらに本書の魅力は、友達のつくり方を、実用的に教えてくれる本である点だろう。「実際に大人になってからどうやって友達をつくったらいいのか」「友人関係の継続にはどんな姿勢が必要とされるのか」という問いに対する答えを、本書は極めて具体的に教えてくれる。とにかく自分から声をかけろ、待っていても友達はできない、自分のもろさや弱さを相手に見せたほうがいい、衝突や怒りこそが実は友人関係の絆を強くする……。
特に本書では、男性が自分の悩みを友人に話せない、という点にも踏み込む。
私たちは、自分が社会的に受け入れられやすいだろうと思うふるまいをするものです。だからこそ、男性はもろさよりも支配性や怒りを選ぶのかもしれません。ある研究によると、男性が怒りを行動に表すと、女性が同様にした場合と比べ、地位や能力が高いと見られます。
(本文265ページより引用)
著者は男性が「もろさ」を外に出すとバカにされるリスクがある、しかしそれでも他者を支配するよりもろさや弱い感情を出したほうが他者と対等な関係を築けるのだということを学ぶべきだ、と説いている。もろさのなかに強さがあること、他人からサポートされることは生き残るために必要なこと、それを友人関係という観点から本書は語る。これは確かに日本においても重要な問題ではないだろうか。
友達、という観点を通して「他人と利害ではない対等な関係を築くにはどうしたらいいのか?」という問いを私たちに伝える名著である。ぜひたくさんの人に読まれてほしい。
