「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2023」受賞者のなかから、本好きでもある、「お菓子のサブスク」で注目の起業家、近本あゆみさんに、本&映画&ドラマとの付き合い方、学びの取り入れ方などを聞きました。
ビジネス書は学ぶためではなく、まねるための手引書として読む
「日本のお菓子」を海外向けにサブスク販売するICHIGOの代表取締役CEO・近本あゆみさん。「本は子どもの頃からずっと好き」と言う、近本さんと本の歴史は、読み聞かせてもらった絵本『ぐりとぐら』に始まり、小学生の頃はムーミンシリーズ、中学から大学までは小説漬け。社会人からは、ビジネス書や実用書が加わり、傍らにはいつも本があった。
「仕事の合間や昼休みは読書タイム。知り合いの経営者から薦められた本やお送りいただいた本など、最近はもっぱらビジネス書ばかりです」
経営者としてビジネス書に学ぶことは多い。「仕事に『0から1を生む』はないと思っていて、先人の成功例を理解してまねれば、成功するはずと信じているので、学ぶというよりまねできることがないかという視点で読んでいます」。
マンガへの造詣も深い。「マンガは夜寝る前のお楽しみ。仕事とは全く関係のないことに没頭して仕事スイッチをオフ。リフレッシュにもなっています」。好きな作家は『リバーズ・エッジ』の岡崎京子さん。「学生時代に流行(はや)っていた安野モヨコさん、内田春菊さんの作品もほとんど読みました。最近読んで、一番面白かったのは魚豊さんの『チ。』です」。

チームマネジメントにも生かせる、経営者の大先輩に学ぶ参考書

全272ページで40点以上の図版を用い、誰もが知っているようでいて実は理解していない、実践できていない「PDCA」を徹底解説。「チームビルディングやマネジメントの参考にしています。会社員時代のクセで、動きながら考えるタイプだったのですが、本書を読んで改めてプラン(P)の重要性に気づき、実践に移しています」。
気持ちのいい会話で、人間関係が円滑に回り出す

「ベストセラーなのでもうすでに読んでいる方も多いかもしれません。私は本書の内容を社内コミュニケーションに役立てています」。特に収穫だったのは「気持ちのいい聞き方」。「メンバーとの距離が開かないよう、話すよりも聞くことに重点を置いてコミュニケーションを図るようになってから、人間関係が円滑に回り出しました」。
疲れたら休んでもいい。休んだから開ける「扉」がある

場の空気を読みすぎて、他人に合わせ無理をし続けた結果、過呼吸で倒れた28歳OLの人生リセット物語。「2019年にドラマ化もされた人気マンガで、疲れたら休んでもいい!と思わせてくれます。休んだからこそできた時間と心の余裕で、それまでの自分の殻を破り、新しい出会いや親子関係の修復に努める主人公に共感できます」。
近本さんが読み返す・見返す【バイブル本&マンガ&映画&ドラマ】
本:『起業のファイナンス』 磯崎哲也 著/日本実業出版社
「全起業家のバイブルと言っても過言ではない本だと思います。株やファイナンスのことで分からなくなると開く手引書です」
マンガ:『キングダム』 原 泰久 作/集英社
「チームで困難に打ち勝ち、前に進む姿に自分たちを重ねながら読んでいます。好きなキャラクターは奇策の人・桓騎(かんき)です」
映画:『スワロウテイル』
「小学生の頃から何度も見ている大好きな映画。日本映画でありながら、無国籍な世界観が、海外と仕事をする私の原点なのかも」
ドラマ:『池袋ウエストゲートパーク』
「高校時代にテレビで放送していて、自分も池袋でよく遊んでいるギャルだったので、共感しながら見ていた思い出があります(笑)」
※今回紹介している本には、新刊では手に入らないものもあります
↓近本あゆみさんがもっと分かる記事はこちら
・お菓子のサブスクを180の国と地域で展開、年商40億
取材・文/宇佐見明日香 写真/窪徳健作(近本さん)
[日経WOMAN 2023年1月号より転載]