年齢やキャリアにふさわしい大人の教養を身に付けたいという思いを抱いている人も多いのでは? 今回はアートテラーとに~さんおすすめの本を紹介します。

興味を持ったらまず美術館へ。本は写真が充実のものを

 とに~さんは、美術館からの招聘でトークガイドを実施するほか、テレビやラジオでアートの魅力を伝えるまさにアートテラー。

「美術は生で見ることが一番ですが、映画ならあらすじに当たるアートの基礎情報を知って見るとさらに面白くなります。本を選ぶなら図版が大きくカラーのものがおすすめ」

 時にはなじみがない分野の美術展や本を見ることも大切。

「例えば現代アートを見て中世ヨーロッパ画からの引用に気づいたりする。そうやって発見することが教養なのだと思います

とに~さん
(C)Shingo Kanagawa
とに~さん
アートテラー・元吉本芸人。1983年、千葉県生まれ。千葉大学法経学部卒業。お笑い活動と並行してアートの世界の魅力を発信。独自の活動が関係者の目に留まり横浜美術館や森美術館など多数の美術館でトークガイドや講演を実施。訪れたミュージアムは1500以上。

西洋美術の巨匠35人が登場の辞典

『大人の雑学 西洋画家事典』
『大人の雑学 西洋画家事典』
らちまゆみ著/ワニブックス/1485円
画像のクリックで拡大表示

 人を殺して逃亡したカラヴァッジョ、日曜画家で画家仲間からヘボな絵描きとからかわれても自分の才能を信じ続けたルソーなど、西洋美術の巨匠たちのエピソードを、彼らが活躍した時代背景とともに紹介。「ポッドキャストで人気の著者が、画家たちの活躍を歴史的背景と絡めて解説。西洋美術史の流れがつかめ、もっと知りたいと思ったらポッドキャストのバックナンバーで聞ける点も魅力です」

注目のキーワード「NFTアート」がよく分かる

『だれにでもわかる NFTの解説書』
『だれにでもわかる NFTの解説書』
足立明穂著/ライブ・パブリッシング/1430円
画像のクリックで拡大表示

 デジタル絵画が75億円で落札されニュースとなったNFTアート。NFT(非代替性トークン)とは、本来はコピーが可能なデジタルデータに、オリジナルの資産的価値を証明する仕組み。その技術によって大きく変化しているさまざまなジャンルの可能性まで解説。「関連本のなかでも分かりやすく書かれている1冊。トレンドのキーワードとしてNFTの仕組みや技術を知っておきたい人におすすめ

新たな絵の見方、楽しみ方を提示してくれた嚆矢

『怖い絵』
『怖い絵』
中野京子著/KADOKAWA/748円
画像のクリックで拡大表示

 絵画が描かれた背景や画家の人生、絵に込められた意味を、「怖さ」という視点でドラマチックに解説。「絵にまつわる意外な情報を知り新たな視点を持つことで、絵画がこんなに深く面白いものになることを教えてくれる本。シリーズ丸ごとおすすめ」。この春に舞台化もされて、改めて話題に。

世界800万部のベストセラー。図版たっぷりの入門書にして決定版

『美術の物語』
『美術の物語』
エルンスト・H・ゴンブリッチ著、天野 衛ほか訳/河出書房新社/9350円
画像のクリックで拡大表示

 ラスコーの洞窟壁画から現代アートまでを網羅。「美術史の本はたくさんありますが、1冊を選ぶならこれ。時代ごとの美術様式や芸術運動の解説も読み応えがあり、カラー図版が圧倒的に多く、疲れたときにちょっと見る画集としても楽しめます。インテリアとしても存在感がある美麗本です」

アートの値段はどう付くのか、仕組みと買い方を知るバイブル本

『アートは資本主義の行方を予言する』
『アートは資本主義の行方を予言する』
山本豊津著/PHP研究所/924円
画像のクリックで拡大表示

 現代アートの価格と価値の関係を、銀座の画廊のオーナーが解説。「名物ギャラリストで、しゃべりも達者な著者の本は、戦後アートの流れを知る読み物としても興味深いですし、美術品の値段が付く仕組みを知りたい人や、現代アートを自分で買ってみたい人にはバイブル的な本です」

とに~さんの近著もおすすめ
モナ・リザ自身が、自分の手が異常に大きい理由を語り、岸田劉生の麗子像がパパのあだ名を暴露。49点の名画が自身でその秘密を語る本書。登場するのは西洋絵画から日本絵画、彫刻・工芸まで幅広く、彼らの話に耳を傾けるだけで、美術の知識が深まり、新たな楽しみ方が見えてくる。
『名画たちのホンネ』
『名画たちのホンネ』
とに~著/三笠書房/1078円
画像のクリックで拡大表示

日経xwoman 2022年4月13日付の記事を転載]

構成・文/中城邦子 写真/スタジオキャスパー