人生後半に「やりたいことを全部やる!」には、時間の手綱をしっかり自分で握ることが大事。ムダを捨てて「時間密度」を高め、そこで生まれた時間を学びや趣味、心身の健康維持に使うのです。そのためにまずすべきは「やめるべきこと」のリスト化。シリーズ累計17万部突破のベストセラー、日経ビジネス人文庫『 55歳から やりたいことを全部やる!時間術 』(臼井由妃著)から抜粋・再構成してお届けします。

もうイヤなことはしない

 「やりたいことを全部やる!」ためにやっていただきたいのが、「自分自身」を中心に考えた「やめるべきことリスト」の作成です。

 私がこのリスト作成を考えたのは、ストレスで心身がボロボロだった40代後半。
 「忙しいことはできる人間の象徴」だと考え、依頼があった仕事はすべて受け、人づき合いを断ることもしませんでした。

 時間に追われ仕事に追われた結果、急病になり「仕事に穴をあけそうになった」のをきっかけに「やめるべきこと」をリスト化したのです。
 結果的に、人生後半に密度濃く仕事をするために大変役立つリストとなりました。

 当時の私のようにストレスを抱えて、時間や心身を圧迫されている方も多いでしょう。そうならないために、今ここで、ぜひご自身の生活を見つめてみてください。
 「やめるべきこと」をリスト化するのです。

 その際、

  • 「エースで4番」だった時代に固執しない → 過去の栄光はすっぱり忘れる
  • 何でもひとりでやろうとしない → 誰かの力を借りてラクすることを考える
  • イヤなことはしない → 好きなことをやるほうが、いい結果が生まれる

 を考慮することがコツです。

具体的に細かくリスト化する

 「やめること」は小さなことから大きなことまでなんでもOK。例えば、

  • ルーティン化している会議や仕事の進め方、連絡法、書類づくり
  • 前任者から引き継いで当たり前のように継続している会合への参加
  • 惰性で続けているSNSへの「いいね!」
  • スマホに登録したままになっている、もう使わない電話番号、メールアドレス
  • パソコンの「お気に入り」に入っているURL
  • 入会したことすら忘れているようなサブスクリプション・サービス
  • 開封せず即「ゴミ箱」に入れているメルマガ
  • 健康を意識してとり始めたけれど、効果を実感できないサプリメント
  • 何があっても1日3食という習慣へのこだわり
  • 今の自分には合わない運動習慣
  • 「もう○歳だから」「定年まであと○年」という無意識の口グセ
  • 年賀状

 と、とにかく具体的に細かく挙げていくといいでしょう。

 いいと思って習慣化していることも、本当に必要なのか?
 これからも続けていいのか?
 まずは疑ってみることをおすすめします。

 若いときと同じペースで仕事をこなせるはずはないですし、仕事で構築した人間関係がそのまま続くこともありませんよね。
 これまで必要としていたものが、これからは不要になることも多いのです。
 ここでリスト化されたものに費やしている時間が、今のあなたにとっての「ムダな時間」となります。

「絶対にやめるべき10のこと」を決める

 「やめるべきこと」を書き出したら次に、「絶対にやめるべき10のこと」を選択します。

 私はパソコンにリストを保存。朝、仕事を始める前と、夜、仕事を終えるときに声にして自分の考え方や行動にぶれがないか、確認しています。次のものです。

「臼井由妃が絶対にやめるべき10のこと」
  1. 自分が決めた毎日のルーティンに縛られる
  2. 仕事をひとりで解決しようとする
  3. 体調が悪いときに無理に元気を出そうとする
  4. SNSの更新に義務感を覚える
  5. 流行に左右される
  6. 情報ツウになろうとする
  7. 若さに憧れる
  8. キャパを超えた仕事を受ける
  9. 自分の力ではどうにもならないことに悩む
  10. 食事や会合の誘いは断らない

 リスト化して分かったのは、私は多くの強迫観念にとらわれていたということ。
 仕事をひとりで解決しようとするのは、自分の力を過大評価する生意気な思い込みでした。元気がないときに、無理に明るくふるまっても、自分も相手も疲れるだけです。

 「やめるべきことリスト」の作成で、無理をして続けていたことをやめることができ、結果、時間と心に余裕が生まれました。

小さなことから大きなことまで具体的に書き出していく(写真/Shutterstock)
小さなことから大きなことまで具体的に書き出していく(写真/Shutterstock)
画像のクリックで拡大表示

「こんなことに関わっている暇はない」

 かつての私の時間術は、あれもこれもの「足し算思考」の「タイム・パフォーマンス」重視でした。

 例えば、地方での講演を依頼されたら、往復の新幹線の移動時間を原稿執筆にあてるだけでは飽きたらず、出張先の友人や講演会主催者、そのお知り合いとできる限り多くの人と会い、地域の情報を仕入れて将来のコンサルティングに役立て、同時に東京では拾えないSNSで発信するネタを集めて帰ってきたものです。

 それが自分を成長させてくれたのは事実です。
 でも50代以降は、「やめるべきこと」を明確にして、余計な物事に時間や労力を費やさないのが重要。

 講演会の話でいえば、今の私は、本当に会うべき人は誰か、必要な情報は何かを見極めて行動しています。それが無理なく人生後半の時間を楽しむコツです。
 限りある時間を楽しく全うするためには「こんなことに関わっている暇はない」の発想が大事になります。

 「仕事時間は60歳で5時間、70歳で3時間にする」
 「土日祝日は完全プライベートタイム。仕事はしない」
 こうした具体的指針が、人生後半の時間を濃密で豊かなものにします。

ベストセラーシリーズ最新刊! 大人の時間術は「効率」よりも「密度(質)」が大事。カギは、「捨てる、始める、大事にする」こと。仕事は「60歳で5時間、70歳で3時間」/「友だち」は3人いればいい……など仕事、人間関係、学び直しのヒント満載。

臼井由妃著/日本経済新聞出版/880円(税込み)