毎日仕事に追われている、いつも心にゆとりがない…そんなあなたは仕事の生産性が低いのかもしれません。トヨタ自動車、TBS、アクセンチュア出身の戦略コンサルタント山本大平さんが執筆した書籍『 その仕事、生産性ゼロです 』から仕事をラクに素早く、正確にこなす秘訣をご紹介します。
片づけても片づけても仕事が終わらず、いつも時間に追われています。やたら時間がかかるわりに、たいして意味のない仕事もあって、ムダだなあと感じることも少なくありません。そんな日常業務のムダを洗い出して、生産性をアップさせたいと思うのですが、いる仕事といらない仕事は、どうやって見分ければいいのでしょうか。
A 何も生み出せていない仕事は潔く手放そう
何も生み出せていない仕事は、極端に言えばいらない仕事です。生産性を上げたいなら、真っ先にやるべきは、勇気を出して、いらない仕事(ムダな仕事)を手放してしまうことなんです。
例えば、今8時間かけてやっている仕事を4時間で終わらせようとしたら、新しい機械を導入するとかスキルアップに励むとか担当者を増やすといったことが必要になる。いずれにしてもコストや時間がかかってしまいますよね。でも、いらない仕事を手放すのなら、今すぐできて、しかもノーコスト。つまり、生産性を上げるために、簡単で最強の方法なんです。
そこでこの質問ですが、いる仕事といらない仕事をどうやって見分けるか、ですね。あなたは「時間がかかるわりに、たいして意味のない仕事」をムダだなあと感じている。
私も同感です。目をつけるべきはまさにそこ。ある仕事がいるかいらないかは、その仕事にかけている時間やコストなどのリソースとそこから得られる価値のバランスを考えてみると分かります。
出席しても一言も発する機会すらない打ち合わせ、誰も二度と見返さない議事録の作成など、なんの価値も生み出していない仕事は、リソースをかけているのに、成果が出ていないので、不要ということになります。さっさと手放しましょう。
また、あなたが「少なくない」と感じている、さほど重要でもないのに、やたら時間のかかる仕事。こちらもリソースをムダに割いているわけですから、いらないという判断ができそうです。あるいは、「やれるときにやる」とか「重要度を下げる」といったかたちで業務縮小を図る方向もありますね。
こんな仕事を手放すべき!
具体的に言うと、例えば「丁寧過ぎる資料」。これがコンサルティングファームのクライアントへの納品物といった対外的な「商品」であるなら、資料をミスなく見栄えよく作り込むことは求められるのかもしれません。
でも、社内資料の場合はどうでしょうか。社内会議で議論するための資料は、突き詰めると、議論ができさえすればいいのです。それなのに、「グラフをきれいに整える」ことに時間をつぎ込んでいたとしたら、その作業こそまさに生産性ゼロ。
いらない仕事として手放すべきではないでしょうか?
会議の議事録はどうでしょうか。会議終了後、議事録担当が内容を清書して配布している会社は少なくないと思いますが、議事録って後で読み返しますか? よほどの重要決議事項であれば必要かもしれませんが、9割方の議事録はめったに読み返さないですよね。
そう考えると、社内会議の議事録の目的は、その会議での議論の“流れと結論の共有”ということになる。だったら、会議中、ファシリテーターが話を進めながらホワイトボードに要点を整理して、それを写真に撮って、後で関係者に配布すれば事足りてしまう。
つまり、議事録担当も議事録作成作業も不要というわけです。他にもいらない仕事はたくさんあります。その仕事は、価値を生み出すのか、その価値は投下したリソースに見合うのか。こんなまなざしを自分の仕事に向けてみてください。そして不要だと思う仕事を思い切って、ばっさり手放してみること。それが生産性を上げるための第一歩になります。
片づけても片づけても仕事が終わらないというあなたは、もしかしたら、指示されたすべての業務にフルパワーで当たっているのかもしれません。でも、それでは疲弊してしまう。
あなたが勝負したい場所はどこでしょうか。かけるリソースとそこから得られる価値をにらんで、不要なものはしれっと手放し、力を抜くべきところは抜き、ここぞというところで勝負をかける。そうすればきっともっと仕事を楽しみながら、もっと生産性高くできるようになるはずです。
ついでに言っておくと、きれいな資料はAIが書いてくれる時代が近づいてきています。会議の音声を録音しておいて、ChatGPTにでも「今日の会議の議事録、要点だけ整理してまとめておいて、できれば見やすくね」と指示して、はい完成、という未来がもうそこまで来ていますので、現状でムダだと思っても我慢して続けてきた資料作成も、どんどん手放していったほうがいいと思います。
思い切って手放すことで生産性は大きくアップ
[日経xwoman 2023年6月30日付の記事を転載]
山本大平(著)、日経BP、1870円(税込み)

