新社会人のみなさんは、そろそろ仕事に慣れてきた頃でしょうか? 学生から社会人になることは、やはり人生における一大イベントであり、大きなターニングポイントでもあると思います。
同級生でも家庭によって経済状況がバラバラだった学生時代と違って、社会人になれば基本的に、他の同期たちと横並びのスタートになります。これからは一人ひとりが自らの力で稼ぎ、生活を回しながら、自立していかなければなりません。社会人2年目、3年目で、既に失敗などのさまざまな経験を経て学びを得ている人もいるかもしれません。
社会人になってお金を稼ぐということは、楽しいことも多い半面、嫌なこともつらいことも当然起こります。そんなとき、きっと支えになってくれるのが「かつて新社会人」だった先輩たちの言葉です。
今回は、社会人1年生から社会人3年生までの間に身に付けておきたいルールから、同僚に水をあけられないために磨いておきたいスキルまで、みなさんの「数年先」を変えてくれるであろう5冊をピックアップしてみました。
1. 『これからの会社員の教科書』 田端信太郎著、SBクリエイティブ
大手企業からベンチャー企業まで、新規事業を軌道に乗せるキーマンとして活躍してきた田端信太郎さん。今ではインフルエンサーとしても大きな影響力を持つ田端さんが、若手・ベテランを問わず、どんな会社でも通用する人材になるための、基本的なビジネスマインドを教えてくれます。
突然身の上話をして恐縮ですが、私は東京大学の大学院を修了するとき、先生からこんな言葉をかけられました。「良いか悪いかは別として、“東大卒”というだけで、君たちに対する社会の期待値は非常に高い。普通にできて当たり前のことすらできなければ、それだけで失望されてしまう」。
もちろん、これは東大生に限った話ではなく、「周囲の期待値を前提に行動しなさい」ということなのですが、社会人としての「当たり前」が何かも知らなかった私は、その言葉が大いにプレッシャーになりました。
この本を推薦するのは、まさにそんなプレッシャーを軽減してくれる1冊だからです。周囲の期待値を意識しながら、「社会人としての当たり前」の行動を取るとはどういうことか。学生時代の「当たり前」が通じず、困惑している新社会人のみなさんには、ぜひ本書を手に取ってほしいと思います。
2. 『入社1年目の教科書』 岩瀬大輔著、ダイヤモンド社
田端さんの本が新社会人としての「ビジネスマインドを育む」本だとしたら、こちらは新社会人としての「実務を身に付ける」ための1冊。執筆したのは、新卒でボストン・コンサルティング・グループに入社し、ハーバード・ビジネス・スクールに留学。その後ライフネット生命保険の創業メンバーとなった岩瀬大輔さんです。
企業の新人研修にも採用されているこの本は、入社1年目の“ペーペー”のうちに覚えておくべき仕事のマナーや作法、習慣などを50のルールに落とし込んだ内容。「社会人の当たり前」に初めて触れる人たちでも、「こんなとき、どうするか?」のケーススタディがよく分かるはずです。
新社会人はもちろんですが、岩瀬さんが伝える「仕事の原則」は、入社から数年がたち、自分のやり方に慣れてしまった中堅・ベテラン社員の復習にも、もってこい。マンネリを脱却し、新鮮な気持ちで仕事に向き合うためのヒントが詰まっています。
3. 『小さく分けて考える』 菅原健一著、SBクリエイティブ
新社会人のみなさんは今、組織の中で、いわゆる「下っ端」と呼ばれるポジションにいると思います。でもその中で、自分の価値を高めていかなければなりません。この本は、上司や同僚が決して教えてくれない、「日々の仕事にどう取り組めば、自分の価値を上げられるのか」を教えてくれる1冊です。
著者は、マーケティングのプロとしてさまざまな企業支援を行う“すがけん”こと菅原健一さん。例えば、所属する部署で何かしらの課題を抱えている場合、大きな課題をふわっと捉えるだけでは、いい解決策は見いだせません。そんなときは、課題を小さく分けて一つずつ“潰していく”ことが重要です。
コンサルティング業界では、大きな課題を小さな課題に分解していくことを「因数分解」すると呼びますが、この考え方を知っているか知らないかでは、3~5年先の自分の価値が大きく変わってくるはずです。新社会人のみなさんも、なるべく早いタイミングで身に付けるに越したことはありません。課題に向き合う視点や思考が変わり、確実に同期と差がつく本だと思います。
4. 『秒で伝わるパワポ術』 豊間根 青地著、KADOKAWA
“パワポ量産の仕事”を推奨するわけではありませんが、ビジネスパーソンにとって「伝わるパワポ」を作れることは、結構大事なスキルだったりします。
そこでおすすめしたいのが、TwitterやSNSでも大人気の“パワポ芸人”こと豊間根 青地さんの1冊。教科書然としていない奇想天外な例題とともに、伝わるパワポのコツを惜しみなく伝授してくれます。
パワポ資料において最も重要なのは、デザインの美しさよりも、内容や構造をロジカルに伝えられているかどうか、です。パワポ資料の出来がプレゼンの命運を握るのは言わずもがな。自社の経営陣に向けた難しい打診も、伝わるパワポ資料は絶大な効力を発揮します。
学生時代と大きく異なるのは、(社会人は忙しいため)全てを口頭で伝達することが不可能だという点です。一言も会話をしなくても、読んだだけで理解できる資料を作成する能力があるのとないのとでは、社会人としての評価に大きな差が出るでしょう。
私自身はパワポは得意なほうですが、人より少しだけ分かりやすいパワポ資料を作れることで「得したな」と感じる出来事は多々ありました。なので、周りよりも早く出世したい人は、この本で学び、そして職場で実践してみてください。たかがパワポ、されどパワポだということが、身をもって分かるはずです。
5. 『サムライ営業』 大西芳明著、KADOKAWA(Kindle版)
この本の著者は、私が楽天にいた頃に上司だった大西芳明さんです。大西さんはリクルート出身で、1日に304件という飛び込み営業の新記録を作り、いまだに「伝説の営業」としてその名を知らしめています。
仕事がエンジニアであれマーケターであれ、「営業スキル」はビジネスパーソンなら持っていて損はないスキルなのですが、どうしても「怒られそうで怖い」「苦手だからやりたくない」と感じてしまう方も多いかもしれません。ご多分に漏れず、私自身も営業に苦手意識を持っていたクチです。そこで登場するのが、大西さんの『サムライ営業』です。
営業という仕事は、実はお客さまを幸せにできる仕事なんだ。それに誰しもが営業職を続けるわけではなく、むしろ永遠に営業を続ける人のほうが少ない。だから、今だけでも頑張ってみよう――。そんなふうに、「営業」に対する先入観を1つずつ取り除き、恐怖心を和らげてくれる大西さんの言葉は、「営業ってしんどい」と思っている人にこそ深く響くはずです。
取材・文/金澤英恵 編集協力/山崎綾 構成/長野洋子(日経BOOKプラス編集部)




