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朝井リョウ最新作『イン・ザ・メガチャーチ』、ファンダム経済が舞台
2025年9月、ファンダム経済を舞台にした小説『イン・ザ・メガチャーチ』が発売となりました。著者は、早稲田大学在学中に小説すばる新人賞を受賞し、新作を発表するたびに常に脚光を浴び続けてきた朝井リョウさん。独自の視点で社会を切り取る新鮮な作風は、幅広い層に支持されています。
朝井さん自身も「この時代の香りを瓶詰めにして残しておきたいと思いながら小説を書いている」と話すように、今、世の中の人々が気になるテーマに斬り込むのが朝井作品の醍醐味。そんな朝井さんが最新作で取り上げたのが、熱烈なファンのコミュニティー「ファンダム」です。
自身もハロー!プロジェクトなどのアイドルやオーディション番組のファンであることを公言してきた朝井さんですが、深掘りすると、出役の人ではなくファンダム、つまり「高まる熱量とともに行動力を発揮する人間の在り方」のほうに関心があることに気づいたと言います。
実質賃金が据え置かれたまま物価が上昇し、金銭的な余裕が少なくなっている状況で、惜しみなく支出するファンたち。彼らの行動力は、どこから来ているのか。さらに、ファンダム同士の連帯は、選挙や戦争にも似ている側面があることに気づき、魅せられていったと話します。
物語は、「構築する側」「仕掛けられる側」「かつて深くのめり込んでいた側」の3つの視点で構成されています。どの人物に共感するか、異を唱えるかは、読み手次第という柔軟性に富んだ作品になっています。
10万部突破! 書店で陳列コンクール&サイン本を販売
本作は、「朝井リョウ作家生活15周年記念」としても力が入った一作。朝井さん自ら書店を回り、1日で700冊にも及ぶサイン本を制作。9月下旬には複数の書店でサイン会も実施されました。
初版5万部でスタートした本作は、発売後直ちに2万部増刷。さらに1週間後には3万部の増刷を決めて累計10万部とするなど、異例のスピード増刷を重ねています。その人気ぶりに押されるように、紀伊國屋書店、くまざわ書店、ジュンク堂書店、ブックファースト、有隣堂などでも続々と特設コーナーが展開されました。
ブックセラーズ&カンパニーでは、陳列コンクールも実施。各書店のオリジナルのアイデアや多彩な手製のポップに圧倒されます。
実はこの作品には、裏テーマも存在します。それは、「おじさんの男友達問題」。この裏テーマが本筋にどのように接続するのかも見どころです。
置かれた立場によって表情を変え、さまざまな示唆が得られる本作。長編小説ならではのしっかりとした厚みと、教会の美しいステンドグラスの写真を使用したカバーの重厚なつくりは、作品の精神性を引き立てています。ぜひ書店で手に取ってみてください。
構成・文/磯部麻衣



