人生100年時代で、ビジネスパーソンとしての人生はより長くなっています。数十年働く中で、仕事で手痛い失敗をすることは誰もが避けられないことでしょう。落ち込んだときには、失敗を客観的に捉えたり、ミスを防ぐための新しい視点を与えてくれたりするような本が助けになります。おすすめを5冊、厳選しました。

1. 『知性の罠 なぜインテリが愚行を犯すのか』

デビッド・ロブソン 著、土方奈美 訳

 IQが高い人、有名大学を卒業している人、ナレッジワーカーの中にも、愚かな誤りを犯す人がたくさんいます。実は、優秀で高い教育を受けた人ほど陥る「知性の罠」があるのです。

 本書では、心理学や認知科学の研究から「本当の知性」とは何かを解説。真に“賢く”なるには、どういう姿勢で考えて、どういう角度から学べばいいのか。

 認知科学研究から判明した「成果の上がりやすい学習法」など、具体的に私たちができることまで解説されています。自分の判断の誤りを認め、前に進みたい人におすすめです。

  • IQが高いほど、投資の判断力が低く、破産しやすい
  • 脳の仕組みから分かる「超有名大卒の人が、自己弁護ばかりする理由」
  • 高い教育を受けた人ほど、陰謀論にハマって抜け出せない
  • 野球では成功するスター軍団方式。企業がマネすると失敗する
  • 大学進学試験の点数が高いのに、合理的に考えられない人が多数いる

2. 『 なぜ私たちは、仕事が嫌いになるのか。 ハイパフォーマーの隠された真実』

相原孝夫 著

 本当にどうでもいい仕事が降ってくる、意味不明のプロジェクトに巻き込まれる、仕事の成果がいまいち実感できない…。私たちの現状は、働く意欲を失わせることばかりです。

 そんなモヤモヤを解決するためのヒントは、「結果を出し続けている人」の行動にあります。本書では、人事・人材のコンサルティングに従事する著者が、30年以上、およそ3000人のハイパフォーマーを研究し続けて見つけた、“働き方の共通点”を詳しく紹介。

 「失敗を回避せず、むしろ歓迎する」「身近な人を助ける」「活動を多様化させ、職人のように働く」などの具体的な行動例を取り入れることで、明日からの仕事への向き合い方が変わるかもしれません。仕事に人生を奪われず、楽しみながら成果を上げるために必読の書です。

  • 仕事の成果が高いから、ウェルビーイングも高まる
  • 「静かな退職」を、絶対に避けるべき理由
  • 「クソどうでもいい仕事」がなぜ生まれ、人間をどう蝕むのか
  • 長時間労働と「やりがい搾取」が、仕事の幸せを奪う
  • 会社と仕事への依存に、危機感を抱く人々
  • ハイパフォーマーの働き方に隠された真実

3. 『なぜあの人は同じミスを何度もするのか』

榎本博明 著

 何度言っても同じミスをする、忘れてはいけない重要な約束を忘れる、昨日と今日で意見が180度変わってしまう、思い込みが激しく話を聞いてくれない…身近なあの人の困った癖は、「記憶」の深層を知ることで対処のヒントが見えるかもしれません。

 つい「人間性や能力の問題ではないか」と問いただしたくなりますが、著者で心理学博士の榎本博明さんは、「このような職場や仕事がらみの理解しがたい現象の背後には、記憶の心理メカニズムが働いている」と語ります。

 本書で解説されている深層心理を踏まえると、「なぜ、ああなのか?」と理解不能だった他者の行動も、スッとふに落ちるはず。不必要にいら立つことがなくなり、より建設的な行動を取れるようになるでしょう。自らのミスを顧みるときにも、参考になる一冊です。

  • なぜあの人は何度注意しても同じミスをするのか
  • なぜあの人はいつも愚痴ばかりなのか
  • なぜあの人は言うことがコロコロ変わるのか
  • なぜ同じ経験をしているのに記憶がスレ違うのか
  • なぜ昔の歌は覚えているのに最近の歌は覚えられないのか
  • なぜあの人と話すと記憶が変わっていくのか

4. 『「答えを急がない」ほうがうまくいく あいまいな世界でよりよい判断をするための社会心理学』

三浦麻子 著

 人間は「あいまいな状況」が苦手です。しかし私たちの日常生活や仕事の場面では、「情報過多」「どっちつかず」「初めての経験」など、あいまいで不確実なシーンが数多く訪れます。すると人間は答えを急いで、あいまいな状況から抜け出してその不快さを回避しようとしますが、それが“よりよい判断”につながるとは限りません。

 どうすればあいまいな状況でも冷静に判断し、よりよい未来に近づくことができるのか。本書ではその疑問に答えていきます。

 実生活で使える社会心理学の知識や考え方に加えて、その研究の舞台裏やユニークな実験結果といった学術的な背景も分かりやすく紹介。知的好奇心を満たし知識を深めながら、自分の考え方や行動を見直すきっかけになる本です。

  • なぜ私たちは「あいまいな状態」が不快なのか
  • 人間は状況に影響を受ける社会的動物である
  • 正しく恐れることが難しい理由
  • 心理学を学べば他人の心が読めるか
  • 「人は見た目が9割」の真相
  • デマ情報の訂正がむしろデマを拡散させる
  • あいまいさに耐えることと創造性の関係性
  • 性格診断が生み出すもの

5. 『努力は仕組み化できる 自分も・他人も「やるべきこと」が無理なく続く努力の行動経済学』

山根承子 著

 「あともう少しの努力が足りていたら、仕事で成果が出てうまくいったのに…。どうしていつも頑張れないのだろう」。そんなふうに自分を厳しく責める前に、“仕組み”を変えてみませんか。

 本書は、「努力できる」を根性論ではなく科学的に考えた一冊。実は努力は、行動経済学や心理学の観点から捉え直すことで、才能や性格に関係なく、仕組み化することができます。

 「頭では分かっているけれど、できなくて後悔しちゃう」「何とかなると思っている」「これを続けても意味はあるのか? と思ってしまう」「意志が弱い自分はなんて駄目なのだと思う」…。「努力できない」と一口にいっても様々なタイプがいますが、いずれの人にとってもためになる学びが満載です。

  • 「意志の力」はなぜあてにならないか
  • 効果的なフィードバックで変化を自覚させる
  • 「いい習慣」が定着する簡単な仕掛け
  • 努力を楽しめる人・楽しめない人
  • 性格タイプ別 ご褒美の与え方
  • 「サボりたい」という人間本来の欲求を逆手に取る
  • 「未来の自分への宣言」だけで、本当に行動は変わるのか
  • 意志の弱さを「計画内」に組み込む
  • 「努力しない言い訳」と戦う
  • 「努力を誰も認めてくれない」と感じたら

構成/大松佳代(日経BOOKプラス編集)