疲れがたまり、朝に目が覚めても体が重い。休みの日はゴロゴロしてばかりいる……。「休み下手」だと生産性も落ちるばかり。令和のビジネスパーソンに必要なのは、戦略的に休んで心身を整えるスキルです。現役医師にしてベンチャー経営者が、自身も実践する効果的な休息法をまとめた『休養ベスト100』(加藤浩晃著、日経BP)から一部を抜粋してお届けします。
夜ベッドに横になってもなかなか眠れないと、焦りを感じることがあります。焦ることでかえって目がさえてしまい、ますます眠れなくなる、という経験は誰にでもあるかもしれません。
実は、眠れないときはベッドから出るということが、意外なことに休養の質を高める近道になります。
疲れているのに眠れないことも
子どものころ、遠足の前日に興奮してなかなか寝付けなかったり、受験の前日に緊張して眠れなかったりした、という記憶がある人は多いでしょう。これは大人になってからも同じで、翌日に仕事で重要なプレゼンが控えているときなどは、夜に寝ようとしても目がさえてしまうものです。
また、やっかいなのは、疲れているはずなのにベッドに横になっても眠気がやってこない場合です。ヘトヘトになるまで働いて、「今すぐにでも眠りたい」と思っているのに、布団に入ってからも仕事のあれこれが気になり、目がさえたままということがあります。プライベートでも何か気がかりなことがあると、夜もなかなか眠りにつけません。

このようなときは、いったんベッドから出るのが正解です。眠れないときはベッドから出て、眠気がくるまで別の場所でリラックスするのが効果的であり、睡眠療法の基本です。これは「刺激制御法」と呼ばれています。
具体的には、以下のような手順になります。
- ベッドから出て、できれば寝室ではないところで過ごす
- 照明を暗めにしたリビングのソファなどでリラックスする
- スマホやテレビはなるべく見ない
- 眠くなったら寝室のベッドに戻る。それでも眠れなかったら、またベッドから出て、同じことを繰り返す
眠れないときにベッドの上で何かをやるのはNG
眠れないとき、多くの人は、ベッドの上でダラダラと過ごしてしまいがちです。スマホでSNS をチェックしたり、動画を見たりして、眠気がくるまで時間をつぶそうとしますが、いっこうに眠くなりません。スマホでさまざまなコンテンツを見ることが、脳を覚醒させてしまうのです。
また、ベッドの上で体を起こして本を読んだり、テレビを見るならいいかと思うかもしれませんが、それもあまりおすすめできません。つまり、眠れないときにベッドの上で何かをやるのがよくないのです。
ベッドの上でスマホを見たり、本を読んだり、テレビを見たりして時間をつぶしてしまうと、脳は「ベッドは睡眠以外のこともする場所」と認識してしまいます。ベッドの上で睡眠以外のことをしている時間が長くなるほど、脳における「ベッドと睡眠の結びつき」が弱くなってしまうのです。すると、ベッドに横になっても、体はなかなか「眠るための準備」を始めてくれません。
ベッドで睡眠以外のことをしないようにすれば、脳では「ベッドと睡眠の結びつき」が強化され、ベッドに横になるだけでスムーズに眠気がやってくるようになります。
なかなか寝付けないと焦ってしまう気持ちは分かります。しかし、たまに寝不足になるくらいなら、翌日への影響は意外と小さいもの。私も、寝不足の日があってもなんとか乗り切れています。次の夜にしっかり眠れば体は回復するので、睡眠に対して柔軟な姿勢を持つことが、むしろ良質な睡眠への近道です。

[日経ビジネス電子版 2025年6月10日付の記事を転載]
加藤 浩晃著/日経BP/1780円(税込み)
