疲れがたまり、朝に目が覚めても体が重い。休みの日はゴロゴロしてばかりいる……。「休み下手」だと生産性も落ちるばかり。令和のビジネスパーソンに必要なのは、戦略的に休んで心身を整えるスキルです。現役医師にしてベンチャー経営者が、自身も実践する効果的な休息法をまとめた『休養ベスト100』(加藤浩晃著、日経BP)から一部を抜粋してお届けします。今回は、快眠に必要な「寝返り」について。

 健康な人は1晩の睡眠で20回以上の寝返りを打つといわれています。無理なく寝返りできる環境をつくることが、グッスリ眠るために欠かせません。

 寝返りには、「体圧分散」と「体温調節」の効果があると考えられています。ずっと同じ姿勢で寝ていると、ベッドと接している側が自分の体重で圧迫され続けてしまうので、体の向きを時折変える必要があるのです。また、寝返りを打つことで布団の中の空気が撹拌(かくはん)され、体の表面から放熱することで体温が調整されます。

 もし十分に寝返りができなければ、血行が悪くなったり、体温の調整がうまくいかず、体が熱くなってしまうことで、就寝中に眠りが浅くなり、目が覚めてしまったりするのです。

広いベッドのほうがよく眠れるワケ

 夜中によく目が覚めてしまうという人は、自分が寝返りを打てる環境で寝ているのか、改めて確認するといいでしょう。

 広いベッドで寝るとよく眠れるような気がするのは、寝返りのために十分な広さのスペースがあるためです。一方、家族や、犬や猫などのペットと一緒にベッドで寝ている人は、その分、スペースが限られてしまいます。もし、深刻な寝不足に悩んでいるのなら、1人で眠ったほうがいいかもしれません。

 かけ布団は、重すぎると寝返りが打ちにくくなります。そのため、軽くて保温性の高い羽毛布団が理想的だといえますが、中には重いかけ布団のほうが安心して眠れるという人もいるので、好みの問題でもあるでしょう。

 寝間着はパジャマがおすすめです。就寝中に体を締め付けたりせず、負担がかからないため、スムーズに寝返りが打てます。最近は特殊な繊維で血行を促進する「リカバリーウェア」が売られています。血流を増やすことで日中に生じた疲労物質が効率よく除去され、筋肉の回復が早まるといわれています。

(イラスト=髙柳 浩太郎)
(イラスト=髙柳 浩太郎)

家族やペットと一緒に眠る安心感も捨てがたい

 寝返りできるスペースを確保することが基本となるわけですが、実は私は、家族と同じベッドで寝ています。2歳と3歳になる子どもたちが一緒に寝たいと言ってくることもしばしばです。確かに、子どもと一緒に同じベッドで寝ていると、寝返りが打ちづらくなると感じています。

 ただ、これは、子どもが小さいうちの一時的なものです。この時期ならではの幸せな時間なのですから、楽しもうと思っています。もちろん、疲れていたり、翌日の仕事に影響しそうなときは、子ども部屋に連れ戻して自分のベッドで寝てもらうこともあります。

 子どもやパートナー、ペットとの添い寝は、睡眠の質という観点からは問題もありますが、一方で安心感をもたらし、メンタルにはよい影響があるはず。人生の中では、完璧な睡眠より家族との時間を優先する時期があってもいいですよね。

 一方で、子どもも大きくなり、自分も年齢を重ねて夜中に目が覚めることが増えたら、1人でベッドを使うほうがいいかもしれません。加齢により睡眠が変化し、眠りが浅くなってくる傾向があることが分かっています。場合によっては、夫婦で寝室を分けることも検討するといいでしょう。

日経ビジネス電子版 2025年7月3日付の記事を転載]

“休むこと”は、立派な「投資」です。長時間働けば評価される時代ではなくなり、限られた時間で効率よく成果をあげることが求められています。20代であればムチャな働き方も可能かもしれませんが、30代、40代になると、上手に休むことでパフォーマンスを上げていかなければなりません。現役医師が実践し、多くのビジネスパーソンが効果を実感した休養を、余すことなく紹介します。

加藤浩晃著/日経BP/1780円(税込み)