疲れがたまり、朝に目が覚めても体が重い。休みの日はゴロゴロしてばかりいる……。「休み下手」だと生産性も落ちるばかり。令和のビジネスパーソンに必要なのは、戦略的に休んで心身を整えるスキルです。現役医師にしてベンチャー経営者が、自身も実践する効果的な休息法をまとめた『休養ベスト100』(加藤浩晃著、日経BP)から一部を抜粋してお届けします。今回は、「女性の生理」について。

 生理に伴う不調は、いまだに「我慢するもの」と思いがちです。しかし、過度な痛みや精神的な症状は、単なる「女性の宿命」ではなく、適切な治療で改善できるものです。

 一般的に、女性は12歳ごろに初潮(初経)を迎えてから50歳ごろに閉経に至るまで、ずっと周期的なホルモンの変動の波にさらされます。おおよそ25~38日の生理の周期のうちに、卵胞ホルモンである「エストロゲン」と黄体ホルモンである「プロゲステロン」の2種類のホルモンの分泌が増減し、女性の体調にさまざまな影響を及ぼします。

ホルモンの変動によってつらい症状が起きる

 生理周期のホルモンの変動による症状は、次のように分類されます。

  • 月経前症候群(PMS)=生理前に、イライラしたり、乳房や腹部が張ったりする
  • 月経困難症=生理中に下腹部痛、腰痛などが現れる

 そして、これら2つをまとめて、「月経随伴症状」と呼びます。 こうした症状には、当然のことながら個人差があります。ホルモンの変動に弱い人が症状を感じやすく、ひどいときには仕事ができないほどつらくなります。

 企業側も、もちろん生理にまつわるつらい症状について、きちんとサポートしなければなりません。例えば、「生理休暇」は労働基準法で定められている制度です。しかし、職場によってはいまだに理解が広まらず、「使いづらい」、「申請しにくい」という声も聞きます。

 職場でのサポートがいまだに不十分である理由は、多くの企業で管理職や経営者が男性ばかりであることも一因でしょう。また、症状には個人差が大きいことから、「平気な人もいるのに、なぜあなたはつらいのか」といった誤解が生まれやすい可能性もあります。

 驚くほど、多くの男性は基本的な生理のメカニズムやそれに伴う身体的・精神的な変化について、知識が不足しています。特に、管理職の男性が、生理にまつわる問題を抱えた女性社員に対して、「生産性が低下している」、「やる気がない」などと誤解してしまうケースは後を絶ちません。しかし、職場の生産性を下げているのは、そのような理解不足だといえるでしょう。

産婦人科は生理を相談するところでもある

 女性がもっと働きやすい環境をつくるためには、女性の健康についての知識がもっと広まる必要があります。私自身は、大学時代に産婦人科に関する講義などで学んだことに加え、産婦人科医である妻がテレビや講演などで女性の健康についての啓発活動に取り組んでいることもあり、この分野についての理解が深まりました。

 私は、男性であっても生理についてよく知っておいてほしいと考えています。男性が生理について理解を深めることは、女性の同僚や上司、部下、そしてパートナーの心身について理解を深めることにほかなりません。それは、職場や家庭の環境を良好なものにすることにつながります。

 生理に伴うつらい症状は、本人の時間を奪ってしまいます。体調が悪いときに仕事ができなくなるだけでなく、症状に耐えながら働いているとパフォーマンスも落ちてしまうでしょう。

(イラスト=髙柳 浩太郎)
(イラスト=髙柳 浩太郎)

 ですから、生理がつらいときは医師に相談することが大切です。適切に対処すれば、PMS の精神的・身体的不調を軽減することができます。また、月経困難症の痛みが日常生活に支障をきたすレベルであれば、治療が必要です。

 特に月経困難症は、子宮内膜症などほかの疾患が隠れていることもあります。こうした疾患を早期発見するためにも、産婦人科を受診することが大切です。

 とはいえ、産婦人科に行くことに対して心理的なハードルが高いことも事実。日本では「産婦人科は、妊娠・出産だけに関連したところ」という誤解があり、生理がつらいだけで病院に行っていいのかと迷う人も多いでしょう。しかし、今では多くの人が生理のつらさを軽減するために受診しています。安心して医師に相談してください。

日経ビジネス電子版 2025年7月1日付の記事を転載]

“休むこと”は、立派な「投資」です。長時間働けば評価される時代ではなくなり、限られた時間で効率よく成果をあげることが求められています。20代であればムチャな働き方も可能かもしれませんが、30代、40代になると、上手に休むことでパフォーマンスを上げていかなければなりません。現役医師が実践し、多くのビジネスパーソンが効果を実感した休養を、余すことなく紹介します。

加藤 浩晃著/日経BP/1780円(税込み)