2024年7月3日から発行される「新一万円札」の顔である渋沢栄一はさまざまな名言を残しました。ロングセラーになっている日経ビジネス人文庫『渋沢栄一 100の訓言 「日本資本主義の父」が教える黄金の知恵』『渋沢栄一 100の金言』から、テーマごとに5回に分けて紹介します。第3回は学びについての名言を紹介します。
勉強の詰め込みはやめよう
Academic cramming is certain to give indigestion
むやみに学科ばかり詰め込めば
学問の食傷を起こす。【『渋沢栄一訓言集』一言集】
現代の言葉で言うと……
ただ知識を詰め込むだけの教育では、子どもたちは、学ぶことが嫌いになってしまう。
教育は「知ることの喜び」を育むべし
いつの時代にも、詰め込み学習をよしとする大人たちがいます。
けれど、知識を詰め込むばかりでは、子どもが自分で考え、疑問を持つ余地がなくなります。
疑問を抱かなくなれば、好奇心は失われてしまいます。
好奇心が失われれば、何かを知ることの喜びもありません。
新しいことを知ったときの、あの新鮮な驚きと喜び。
それがない勉強など、する意味があるのでしょうか?
本来、学ぶことは楽しく心躍る営みであるはずです。
その気持ちを感じさせてあげられないとしたら、詰め込み教育は、間違っているのではないでしょうか。
学ぶことの喜び、ときめきを、もっとじっくりと、子どもたちに味わわせてあげたい。
そうは思いませんか?
学ぶことで、余計な心配は消えてしまう
Being high-strung only brings harm, relish the joy of learning
神経的のくだらぬ心配は健康上大害がある。
これを除くには学問を立脚地として、
精神修養の功を積むほかはない。【『渋沢栄一訓言集』立志と修養】
現代の言葉で言うと……
無駄な心配をしてくよくよ悩むのは、体に非常によくない。
そんな気弱さを克服するには、学ぶことによって、精神を鍛え、深めるしかない。
マイナス思考の脱却には「学ぶ」しかない
人はよく、小さなことで悩むものです。
たとえば、新しい仕事に携わるとき、とりかかる前から失敗したときの心配をしたり。
あるいは、もう起きてしまったトラブルを、解決しようともしないで、ただくよくよ悔やんだり。
こんな心配は、するだけ無駄ですし、精神衛生上もよくありません。
そんなマイナス思考から脱却する方法は、ただ一つ。
もっと学び、精進して、精神力を高めることです。
知識を増やし、経験を積めば、失敗も減ります。
失敗を恐れなくなれば、無駄な心配もなくなり、前向きな気持ちで物事に臨めるはずです。
そして果敢に何かに挑戦していけば、さらに心は強く、たくましくなることでしょう。
必ず自分の得意技や能力がある
Everybody is somebody
箸は箸、筆は筆と、それぞれその器に
従った用があるのと同じく、
人にはおのおのその得意の
一技一能が必ずあるものである。【「論語講義」為政第二】
現代の言葉で言うと……
人には自分の器に従った得意技や能力が必ずある。
幸せとは自分の得意技と能力の自覚
箸は、箸が得意とする技があります。筆も、筆が得意とする技がある。
両方とも手に持つ細長い木製の用具ですが、筆でご飯を食べても味気ないですし、箸で習字をしても形が整うことはありません。
人も同じです。一見、似たような存在に見えても、それぞれが得意とする技や能力があります。その「器」を見出すことが経営者にとって重要な仕事になりますし、その人、自分自身が自覚することがもっと大事です。
視覚障がい者は、一般的に世間では弱者としてみなされています。しかし、例えば停電のような真っ暗な空間に急に陥ったとき、皆が身動きの取れない場合でも動き回れます。
また、視覚障がい者の方々は、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の能力が優れています。我々が障がいにとらわれて、その能力に気づくことがないのです。
ぜひ、自分の得意技と能力を自覚し幸せを見つけましょう。
『 渋沢栄一 100の訓言 「日本資本主義の父」が教える黄金の知恵 』
「満足は衰退の第一歩」「『他人をも利すること』を考えよ」――。企業500社を興した実業家・渋沢栄一。ドラッカーも影響された「日本資本主義の父」が残した黄金の知恵を、5代目子孫がいま鮮やかによみがえらせる。
渋澤健著/日本経済新聞出版/定価713円(税込み)
『 渋沢栄一 100の金言 』
「物事は順序を踏み、焦ってはならない」「何もせずに暮らすのは罪悪である」「なんでも政府に頼るのはだらしがない」「誰にも得意技や能力がある」「文明とは人々の知識能力で決まる」「みんなのためを口実にするな」――など「日本資本主義の父」渋沢栄一の100の熱い言葉を一冊にまとめました。
渋澤健著/日本経済新聞出版/定価880円(税込み)


