成果を出し続けるリーダーは、3つのアクションに注力しています。それは、「信頼関係を築き、人間関係の悩みを解消」「任せ方を磨き、マネジメントと育成を両立」「自走するチームを育て、持続的な成長と成果をもたらす」です。では具体的にどう行動すればいいのか? 連載第4回は「働きやすさと働きがいの両立」について。『一流のマネジャー945人をAI分析してわかった できるリーダーの基本』(越川慎司著/日経BP)から抜粋・再構成してお届けします。
職場の「いい環境」とは?
弊社クロスリバーが2017〜2024年に実施した「働きがい調査」(対象17.3万名)で、経営者が見落としがちな事実が明らかになりました。
「働きやすさ」の向上のみに注力した企業の28%のうち、実際に定着率が改善したのはわずか3%だけだったのです。
ある人材サービス企業の人事部長は、こう打ち明けます。
「残業ゼロ、フレックス制度、リモートワーク。
考えられる『働きやすさ』はすべて導入しました。
でも、若手の離職は止まらない。
むしろ『ぬるま湯』だと言われ、優秀な人材ほど辞めていってしまう」
「残業させない」「無理をさせない」「ストレスを与えない」。
理想的に見えるこれらの施策ですが、過度な「働きやすさ」の追求は、先述の人事部長が語っていたように、「ぬるま湯化」「優秀な人材の退職」といった思わぬ副作用をもたらし、組織を「偽ホワイト」で染めていきます。
一方、「働きやすさ」の追求とは対照的な興味深いデータもあります。
「働きがい」を感じている社員の離職率は、そうでない社員と比べて59%も低かったのです。
あるIT企業のエース級エンジニアは、こう語ります。
「正直、残業代や休暇よりも、チャレンジングな仕事がしたいんです。
『あなたの負担が増えるから』と、面白い案件を回してもらえないのが、一番のストレスでした。」
「働きやすさ」を目的にしてはいけない
これは「働きやすさ」と「働きがい」の根本的な違いを示しています。
実は、多くのリーダーが「働きやすさ」と「働きがい」のバランスに悩んでいます。
「部下を守りたい」という思いと、「成長の機会を与えたい」という願いの間で揺れ動いているのです。
そして、この悩みを抱えている人は、「優秀なリーダーの3つの特性」を持っていて、最も成長の可能性を秘めています。
[優秀なリーダーの3つの特性]
1 メンバーの本質的な欲求を理解しようとしている
2 表面的な解決策に満足していない
3 よりよい組織づくりを模索している
成功している企業のある経営者は、こう語ってくれました。
「『働きやすさ』は土台であって、目的ではありません。
『働きやすさ』の上に『働きがい』という柱を立てること。
それこそが、本当の意味での『ホワイト企業』なのだと思います」
この言葉には、ある真実が含まれています。
もしあなたが今、「働きやすさ」の追求に課題を感じているとすれば、それは表面的な「働きやすさ」を超えて、本質的な「働きがい」を追求する準備ができている証拠です。
完璧な解決策はないかもしれません。
しかし、「働きやすさ」と「働きがい」の両立を目指そうとする姿勢自体が、優れたリーダーシップの表れなのです。
メンバーの本質的な成長欲求に応えながら、適切な環境づくりを進めていく。
そのためにもメンバーのことを知り、関わりを深めてみてください。
そして、「働きやすさ」と「働きがい」の両立、この難しいバランスに向き合う勇気が、あなたの強みとなっていきます。
越川慎司著/日経BP/1980円(税込み)



