人生に大きな不満はない、日々それなりに楽しく過ごしている。しかし、どこか「しっくりこない」と感じることはありませんか。情報があふれる時代を生きる私たちは、まわりの声に影響されて、自分らしさよりも「誰かの正解」を求めがちです。そんな日常の中で自分を見失わないための「言葉の習慣」を、新刊『 感性を言葉にする 「自分の言葉」で生きるための教科書 』から一部抜粋し、お届けします。第3回は「五感と言葉」について。
五感が教えてくれる「自分の言葉」
言葉など何も思い浮かんでこないと思っているあなたは、「感じることを言葉にするのが苦手だ」「何を感じているのか自分でもわからない」と言うかもしれない。
そんな時は、五感(視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚)それぞれに意識を向けて、次のように問いかけてみると、どれかの感覚を使って今ちゃんと「感じて」いることに気づくだろう。
何が見えているか。
何が聞こえているか。
どんな匂いを嗅いでいるか。
どんな触り心地か。
どんな味がするか。
人間はものを考えるとき、2つ以上のセンテンスを同時に思い浮かべることはできない。
だから、たとえば、悩みを抱えて思いつめてしまうと、脳には他の言葉を生み出す余地がなくなる。悩んでいる時は、その悩みに関する言葉に頭が占領されて、実際の思考は止まっていることが多い。食べすぎた時、お腹の中がぱんぱんで、胃が働いていないような状態だ。
でも、「感じる」ことは同時にできる。
「悲しい」と言いながら口にしたココアを「甘い」と感じたり、ふと流れてきた音楽を「美しい」と感じたりすることができる。
だから、感じることに意識を向けると、考えるより早く「自分」に立ち戻れる。
考えに煮詰まって思考停止してしまったり、繰り返し同じことばかり考えたりしてしまったら、この後に出てくる図を使って、今何を感じているのかを書き出し、自分を客観視してみよう。
すると、思いのほか、周囲のものを感じ取っていること、感じ取ったものから考えが生まれていること、その考えをもとに何かを感じ取っていること。
このプロセスを実感できて、突破口をつかめるだろう。
五感を通して言葉を生み出す、言葉を通して感覚を生み出す
これは、「感じたこと」を言葉にするための図である。
たとえば、カフェで仕事や勉強が煮詰まったとき、五感を言葉にしてみる。まず、視覚や聴覚など、五感で感じていることを書き込んでいく。そして、五感で感じていることを総称する感覚を真ん中の「言葉」に書き込む。
すると、「心地よい」といった、煮詰まっている状態とは真逆の言葉が引き出されたりする。
感じることは、頭で「考える」だけでは届かない言葉を連れてきてくれる。
「感じたこと」を言葉にできれば、次は「感じたいこと」を生み出すこともできる。
たとえば残業で煮詰まった時に、カフェで感じた感覚を五感にプレゼントする。そのとき、五感すべてを満たさなくてもいい。オフィスの中でできる範囲の、たとえば、「嗅覚にミントアロマ」「味覚にコーヒー」でもいい。
すると、カフェで感じた心地よさと同じような感情を味わえる。
園部泉子 著/日経BP/2090円(税込み)





