『「時間術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』(日経BP)では、著者の藤吉豊さん、小川真理子さんが時間術について書かれた100冊の名著を精読。重要なポイントを抽出し、「掲載されていた冊数」が多い順にランキング形式で紹介しています。1位から40位まで、「自分にとって役に立ちそう」と思う項目から読んでいただければと考えていますが、なかには「1~40位の項目を、もっと効率的に読みたい」「自分の悩みに直結するヒントだけを知りたい」という超タイパ思考の方もいるかもしれません。本連載では多くの人が抱えがちな「時間」に関する悩みに対して、本書の40のポイントから、その解決に向けたご提案をしていきます。3回目は、やるべきことはすぐやるコツと、限りある時間の使い方です。
無意識にでも「大変そう」と思うことは、始めるのは難しい
今回参考にさせていただいた名著の中には、タイトル(サブタイトルも含む)に「すぐやる」という言葉が入っている本が9冊ありました。それだけ、「動き出しを早くする」「すぐに手をつける」ことを目指す方は多いのでしょう。
『「時間術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』のランキングでも、「『いつか』ではなく、『今すぐ』始める(7位)」という、「すぐやる」ことの重要さを述べた項目が上位にランクインしています。
では、どうすれば動き出しを早くすることができるのでしょうか。これに関しては、7位の項目内で紹介したポイントとは別に、以下の項目が今回のランキングに入っていました。
なお、文章中に登場する「『いつか』ではなく、『今すぐ』始める(7位)」などの表記は、『「時間術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』の各項目に対応しています。詳細を知りたい方は、書籍該当ページを参照してください。
どんなに小さなことでも手をつければ、「動き出せない」状態から脱することができます。第一歩進んだあとの二歩目は、一歩目よりは簡単なもの。とにかく一歩目を踏み出しましょう。
「やることはあるが、何から手をつけてもいい状態」は、言い換えれば優先順位が見えていないということです。「『優先順位』を決めて行動する(2位)」でも紹介したように、優先順位が正しくつけられていないと、複数の作業に忙殺されたり、やるべきことに集中できなかったり、大事なことが後回しになってしまうことにつながります。
やるべきことに「すぐ」取り組むことができるように、自分にとっての「優先順位」に基づいた「明日やること」「1日の時間割」を、前もって決めておくといいでしょう。
限りある人生の時間をどう使うかという戦略
時間術の名著100冊を収集する際に、時間術には大きく2つの傾向があることがわかりました。
ひとつは、効率化やスピード化、段取り、やるべきことをすぐやるなど、仕事や家事、パソコン術における「ノウハウとしての時間術」です。
そしてもうひとつが、ローマ帝国時代の書籍『人生の短さについて 他二篇』(セネカ/光文社)から続く、「限りある時間をどう豊かに過ごすか」という「人生論としての時間術」です。
今回、40のポイントを抽出したところ、大半は前者の「ノウハウとしての時間術」でしたが、後者の「人生論としての時間術」もいくつかランクインしていました(ただし、本書では「ノウハウとしての時間術」の中でも、家事やパソコン術などについては調査対象外としました)。本書でご紹介した「人生論としての時間術」が、次の3項目です。
「緊急ではないが、未来のために重要なことが後回しになってしまう」
「内省(自分の言動を客観的に見つめること)ができない」
「自分の目標や進むべき方向性が見えなくなる」
といったリスクがあります。
「苦手な分野ではなく、自分の得意な分野(好きな分野)で力を発揮する」
「苦手なこと、嫌いなことは人に頼む(外注する)」
「嫌いなことに時間をかけず短時間で終わらせる方法を考える」
といった工夫をして、やりたくないことをする時間を減らすことも必要です。
効率や早さを最優先にしてはいけない理由
「ノウハウとしての時間術」を身につけると、時間の使い方がうまくなり、より少ない時間で多くのことを成し遂げられるはずです。しかし、そもそも何のためにそれを成し遂げたいのか、それを成し遂げた先に何が待つのかを考えることができません。「ノウハウとしての時間術」だけを極めても、結果として目の前のことに追われるだけの人生になってしまいかねないのです。
「人生論としての時間術」を身につけることは、言い換えれば、何を大事にしていくのか、どんなことに自分の時間を使うのかを決めていくことでもあります。
まずは自分ひとりの、「やるべきこと」に追われない時間を持ち、自分について考えるところから始めてみてはいかがでしょうか。これを考える上で、Column3「『死ぬまでにやりたいことリスト』のつくり方」も役立つはずです。
「ひとりの時間」を持つこと、「好きなこと」に時間を使うこと、自分の成長のために時間を使うことを通して、自分にとっての実り豊かな人生を考えてみてはいかがでしょうか。
藤吉豊、小川真理子(著)、日経BP、1760円(税込み)

