世代・トレンド評論家の牛窪恵さんは『Z世代の頭の中』(日経プレミアシリーズ)で、令和の若者を深掘りしています。本書でも触れた働き方や恋愛観、政治観について、当事者たちに直接聞いてみようと、担当編集者の幸田華子を含むZ世代4名と牛窪さんによる座談会を行いました。第1回は、Z世代とその上の世代との価値観の違いについてです。

Z世代が『Z世代の頭の中』を読むと…

■座談会出席者
Aさん(男性) メーカーでの海外勤務を経て、帰国。副業として古典を紹介するYouTuberとして活動しつつ、今秋には「政治家になる」という夢をかなえるため退職予定。
Bさん(女性) 食品会社のコーポレート本部で広報業務などを担当。
Cさん(男性) メーカーでAIなどのデジタル事業開発に関わる。

牛窪恵さん(世代・トレンド評論家 以下、牛窪) Z世代は「早期離職」「タイパ重視」「飲み会嫌い」といわれますよね。でも、それって本当なの? などを徹底的に調べたくなり、7月に出版した『Z世代の頭の中』では1600人超のZ世代への大規模調査(※)と55人への1対1インタビューを行いました。まず、こちらの本を読んでみていただけたでしょうか。率直にどう思いましたか。

世代・トレンド評論家の牛窪さん
世代・トレンド評論家の牛窪さん
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Aさん この本は大企業の40~50代のマネージャー層をターゲットに、「Z世代を理解してもらおう」という観点で書かれたのかなと思いました。自分の周囲の人たちは結婚や出産にまさに悩んでいるので、かなり実態と近いと感じました。

 一方、都心部のZ世代が中心になっているのかなとも思います。私は兵庫県出身で、地元では結婚・出産が早いですし、消費離れと本に書かれている車もよく買い替えられています。もしかしたら、都心部と地方のZ世代では意識の差があるのかもと思いました。

牛窪 今回の定量調査では、首都圏や関西圏以外の方にもお話を聞いているんです。ただ、インタビュー調査の方の対象は、大学卒や大学院卒の方が多かったので、いわゆる「地方」という感じではなかったかもしれません。

Bさん 私も本を読んだ感想としては、自分たち世代の特徴をうまく捉えてくださっているな、と。登場する起業家や政治家志望の方が優秀で、自分からはちょっと遠い存在に感じましたが、だからこそ学べるところもあると思いました。

牛窪恵さんの『Z世代の頭の中』にはたくさんのZ世代が登場する
牛窪恵さんの『Z世代の頭の中』にはたくさんのZ世代が登場する
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Cさん 僕は牛窪さんに直接インタビューされたのですが、価値観を深掘りしてくださって、「就活みたいだな」と思いました。

牛窪 根掘り葉掘り、すみません。「何でこんなことまで聞くんだ」という感じでしたか。

Cさん 普段ふわっと考えていたことをいろいろと聞かれたので、気持ちの整理というか、価値観の見直しができて楽しかったです。「自分が本当に好きなことは何だろう」「やっぱりワクワクすることが好きだな」「いろんなことに挑戦したいな」と久しぶりに自分を見つめ直せた気がしました。

今回のインタビューは自分の価値観を見つめ直す機会になったと語るCさん
今回のインタビューは自分の価値観を見つめ直す機会になったと語るCさん
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「仕事重視」「飲み会大好き」な上世代とのギャップ

牛窪 では、ここからはZ世代のリアルについて教えてください。まず、職場で「世代間ギャップ」を感じることはありますか。

Cさん 仕事をするなかで、世代間での価値観や考え方に違いはあるように感じます。もちろん人それぞれではありますが、たとえば若い方は効率重視でプライベートも大切にしている人が多いのに対して、上の世代の方は仕事を重視して強い熱意を持っている気がします。僕自身はどちらの視点も大切だと考えていますが、ワークライフバランスに対しては様々な意見や視点があるなと日々感じています。

牛窪 いまだに「男のくせに」的なことを言う上司はいますか。

Cさん そこまで言う人はいませんが、仕事に対する熱い思いは感じます。

Aさん 仕事に関しては本当にそうですよね。上の世代のほうが仕事に全力投球できているんだと思います。僕も自分の仕事における社会貢献については考えながら働いているつもりですが、上の世代は会社での業務と自分のミッションが一致しているんですよね。「この仕事に全力投球して、自己実現するんだ」と。でも、僕は自分のライフプランの中で、「今の会社ではこの知見を身につけたい」というふうに考えるので、会社の業務=自己実現ではない。だから、正直に言うと、われわれの世代は上の世代ほど仕事に本気を出しきれないところがあると思います。

牛窪 本気を出しきれないというのは?

Aさん 昨年まで海外勤務をしていたのですが、本当に激務でした。朝から深夜まで働く日もあり、半分イヤイヤ働いていたんですが、上の世代は「いや、まだまだ働けるっしょ!」「今が勝負時だ!」という意気込みで仕事をしている。それはそれでカッコいいと思うんですけど、自分は会社以外に夢や目標があるので、そこまで自分の時間はささげられないなと思ったんです。会社にフルコミットするのか、人生の一部分として捉えるかの違いですね。

会社にフルコミットするのはかっこいいと思うものの、自分の考えとギャップがあると語るAさん
会社にフルコミットするのはかっこいいと思うものの、自分の考えとギャップがあると語るAさん
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Bさん 私も「上の世代はどうして仕事にフルコミットできるんだろう」と思います。職場で「会社の志と自分たちの志を合わせよう」という取り組みが始まったのですが、そもそも意図が理解できなくて(笑)。でも上の世代は20年、30年と会社に勤めているから、会社と自分のパーパスが似通ってくるのかなと。

 みなさん、飲み会にも全力投球で、夜中の2次会、3次会まで行って、次の日の早朝には出社しています。

牛窪 飲み会文化が健在なのですね。飲み会というと、「Z世代は飲み会嫌い」というイメージで語られがちですが、皆さんのような若い世代は会社の飲み会に参加していますか。

Bさん そうですね、うちの部署だと参加者のうち、上の世代が8~9割ですね。

Cさん 僕の部署は反対で、若い世代の仲が良いので、若手が多いです。上の世代で家庭がある人や、仕事が忙しい人は来ません。

牛窪 Bさんは飲み会を断ることもありますか。

Bさん 出たくないときは断ります。特に理由は言わず、Web上の出欠確認で「欠席」を選択するんですが、理由を聞かれたことはありません。

牛窪 上の世代は、気になりつつも聞けないのかもしれないですね。逆にどんなときなら出席しますか?

Bさん 歓送迎会には出席します。でも、それ以外の会でメンバーが同じ飲み会ばかりだと、自分の時間に充てたいなと思います。

自分の時間も大切にしたいですと語るBさん(写真左)
自分の時間も大切にしたいですと語るBさん(写真左)
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牛窪 幸田さんはどうですか。

日経BOOKSユニット 第1編集部 幸田華子 私の部署は個人仕事が多くてそれぞれのタイミングを合わせるのが難しいです。それだからか、飲み会は新年会、暑気払い、忘年会といった大きな会が中心になります。リモートワークをしていて、全員で顔を合わせることが少ないので、私自身はけっこうノリノリで参加しています。総勢40人ぐらいが集まりますが、若手の参加率も高いです。

(※)協力:CCCマーケティング総合研究所

(第2回に続く)

取材・文/三浦香代子 写真/鈴木愛子

日経プレミアシリーズ『 Z世代の頭の中
会社をすぐ辞める。恋愛・結婚は面倒。お金を使わない。メディアで語られる若者像はどこまで正しいのか? 実際のZ世代は、何を考え、なぜそう振る舞うのか? 令和の若者1600人への大規模調査と55人への直接取材で、彼らのナゾに迫る。

牛窪恵著/日本経済新聞出版/1210円(税込み)