『 この保険、解約してもいいですか? 』(日経BP)を刊行。有料の保険相談を長年、続けてきた後田亨氏が、週刊誌の「生保会社ランキング」に苦言を呈する。
最近、ある週刊ビジネス誌の特集に、生命保険会社の「ベスト&ワーストランキング」が掲載されていた。乗り合い代理店32社に「本当に顧客本位の生保はどこか」をアンケート調査したという。評価項目は「アフターフォローの対応・体制」「保険販売・契約のサポート」「設計書や契約システムの使いやすさ」「商品力」の4つである。
ベストランキング総合1位は、2年連続でメットライフ生命(*)だという。
この結果を、どう見るべきか?
「顧客本位」の定義が違う?
詳細にご興味がある方は当該の雑誌を探して(検索すればわかるだろう)お読みいただきたいが、筆者が読んで思うところを述べるなら、自分と代理店の人たちでは「顧客本位」の定義が違うのだ、と感じた。
よく勘違いされるのだが、筆者は、すべての保険商品を否定しているわけではないし、相対的に見れば良心的で、お薦めできる生保会社もある(次回、ご紹介したい)。ただし、筆者が顧客本位の生保会社ランキングをつくるとしたら、大半の保険会社は選外となる。なぜか。
「外貨建て保険」と「変額保険」は全部NGでは?
件(くだん)の特集には「外貨建て保険」と「変額保険」の商品ランキングもあり、どちらのランキングでもメットライフ生命の商品が上位に入っている。
外貨建て保険ランキングでは、メットライフ生命の「USドル建終身保険 ドルスマート S」が1位で、同じく「ビー ウィズ ユー プラスⅡ」も3位に食い込んでいる。変額保険ランキングでは、やはりメットライフ生命の「ライフインベスト(アドバンス、プラス含む)」が3位である。
メットライフ生命のサイトを見ると、これらの保険について「教育資金、老後資金の準備もできる」「万一の保障と資産形成が1つになった」などとしている。
しかし、外貨建て保険や変額保険は、どこの会社の商品も手数料が高く、資産形成には不向きである。これらを老後資金準備などに関心がある人たちに販売するのは、どうかと思う。筆者だけの見解ではない。件の雑誌のまったく同じ特集に、「おススメできない商品」として「全ての外貨建て保険」「全ての変額保険」を挙げる「プロの指摘」も掲載されていたことを、ここに付記したい。
「デメリット情報」の開示がない
メットライフ生命に限らない。顧客にとって重要なデメリット情報である手数料等の諸費用を開示していない会社は、筆者の考える顧客本位とはほど遠い。
しかし、現状、手数料等を明快に開示している生保会社は、筆者の知るかぎり国内に存在しない。したがって「デメリット情報の開示」を評価項目に加えると、ランキングは作成できなくなる。
では、デメリット情報の開示という意味において「顧客本位の生保会社」はまったく存在しないのかというと、そんなこともない。次回は、筆者が相対的にマシだと感じている2社にベスト1を加えた、個人的な「生保会社ランキング」をご紹介したい。

(次回に続く)
[日経ビジネス電子版 2024年5月23日付の記事を転載]
「保険貧乏 卒業したい人へ/その保険 いる? いらない? 見極めるための最強マニュアル」大反響、重版続々。保険に入りすぎている「五十嵐夫婦」の素朴な疑問に、保険商品の仕組みから業界の裏事情まで知る著者が、とことんやさしく答えていきます。
後田 亨(著)、日経BP、1760円(税込み)
