あの名門校の先生は、これから大人へと成長していく中高生たちにどんな本を薦めているのでしょうか? 『 名門校の本棚 』(平林理恵著、日経BOOKプラス編)では、生徒に薦めたい本、授業で取り上げた本、そして先生自身のお気に入りの本を紹介しながら、学校ごとの特色や本にまつわるエピソードをとことん語っています。ここでは、編集者による本書の「はじめに」を紹介します。

はじめに

 数年前、当時中学生の息子の本棚に、自社の本『 小説伊勢物語 業平 』(髙樹のぶ子著/日本経済新聞出版)が無造作に置かれているのを見つけました。てっきり私が会社から持ち帰ったものを勝手に読んでいるのかと思ったのですが、「古典の授業で配られた課題図書だ」と聞いて驚きました。自社の書籍が中学校の授業で取り上げられるとは、夢にも思わなかったのです。

 この話を担当編集者から髙樹のぶ子さんにお伝えしたところ、「若い世代に作品の魅力を届けたい」とすぐに出張授業を提案してくださいました。こうして実現したのが、開成の鎌田亨先生の章で紹介している特別授業です。当日、髙樹さんは著書の背景や登場人物の心情を身振り手振りで生き生きと解説し、講堂は生徒たちの真剣な反応と活発な質問で熱気に包まれました。

 日経BOOKプラスで「名門校の推薦図書」の連載を始めたのは、そんなエピソードがきっかけでした。中学・高校の先生が生徒にどのような本を薦め、授業でどう読み解いているのかを、あらためて取材してみたかったのです。

『名門校の本棚』
『名門校の本棚』(平林理恵著、日経BOOKプラス編)/画像クリックでAmazonページへ

 中高生という多感な時期に読む本には、生徒たちの素直な反応や戸惑い、驚きや感動が詰まっています。進路選択のヒントや自己理解を深める伴走者として思春期の心に寄り添い、大学生や社会人になって再読するとまた異なる視点や洞察を与えてくれる。かつては気付かなかった言葉の機微が心にじんわりと響く瞬間は格別です。先生自身がそのようにして感銘を受けた本も数多く紹介されています。

 連載には在校生だけでなく受験志望者や卒業生からも反響がありました。ある先生は学校説明会で「記事を読みました」と何人もの参加者に声を掛けられたと言います。また、SNSの卒業生グループで、当時読んだ本を振り返ったり、掲載された教室や学内の写真を見て母校を懐かしんだりする書き込みが相次いだこともありました。

 学生時代の読書体験がその後の方向性や価値観、仕事観にどう影響したのか。授業で感じたもどかしさ、先生の一言がきっかけで本の世界にのめり込んだ体験、卒業後の再読で得た新たな発見……。本をめぐる物語には、人生のさまざまな断面が鮮やかに映し出されています。

 本書『名門校の本棚』は、こうした連載記事を基にまとめたものです。皆さんがこれから出合う新しい本への扉を開くきっかけや、かつての“青春時代の一冊”を思い起こす契機になれば幸いです。どうか手に取って、現代の中高生と先生方の本にまつわる世界を存分に味わってください。

目次

プロローグ 知の原生林
伊与原新

高校時代に出合えたら、本当に幸せ
開成中学校・高等学校 鎌田亨教諭  

背伸びをしてでも読んでほしい哲学書
豊島岡女子学園中学校・高等学校 降籏みなみ教諭

「本を読んで初めて泣いた」と生徒から
国際基督教大学(ICU)高等学校 仲島ひとみ元教諭

読書を通して生徒の「当たり前」を揺さぶる
灘中学校・高等学校 井上志音教諭

生徒に教わった「社会の先生にお薦めの本」
フェリス女学院中学校・高等学校 阿部素子校長

医学部小論文の授業でも取り上げる本
広尾学園中学校・高等学校 岸田有司教諭

物理学への興味を湧かせてくれる本
渋谷教育学園幕張中学校・高等学校 青木亮一教諭  

言葉の力、文学の力をかみしめる本
聖光学院中学校高等学校 野谷健教諭

『名門校の本棚』目次
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一生の宝物になる。
先生たちに聞いた人生を支える一冊

 あの名門校の先生は、これから大人へと成長していく、中学生・高校生たちにどんな本を薦めているのでしょうか?生徒たちに薦めたい本、授業で扱った本、自分が好きな本を紹介しながら学校の特色や、本にまつわるエピソードまでをとことん語ります。
【掲載校】開成/灘/聖光学院/渋谷幕張/豊島岡女子学園/フェリス女学院/広尾学園/国際基督教大学(ICU)高校

平林理恵著、日経BOOKプラス編/日経BP/1760円(税込)