大型の台風が接近するという情報を得ていながらあえて海水浴に行く、という人はいないだろう。われわれ個人は、日々の生活において様々な情報を得て、それを基に決断し、行動することが多い。しかし、なぜか集団や組織となると、情報を基に決断し、行動するという基本がないがしろにされがちである。その典型例が太平洋戦争の開戦であり、日本は米国に勝てないと分かっていながら、戦争に突き進んだ。またこれは歴史上の話ではなく、近年の日本政府による新型コロナウイルス禍対策を見ていても、様々なデータという情報に基づいて対策が検討されているというよりも、泥縄的な対応に終始していたという印象がある。恐らく日本の組織は、「情報によって何かを決める」というより、「組織内で情報より重視される要素があり、それが優先された結果、情報を軽視している」ように見えるのではないだろうか。ここでは、国家が収集する秘密情報とそのための活動=インテリジェンスについて詳解する新刊『教養としてのインテリジェンス エピソードで学ぶ諜報の世界史』(小谷賢著)から旧日本軍の情報運用に関して抜粋、どこに問題があったのかを検討していく。(写真:metamorworks/stock.adobe.com)