『暮しの手帖』の編集長を9年間務め、エッセイストとして人気の松浦弥太郎さんが、「ものの価値」とは何かについて語ります。『 価値あるもの 衣・食・住・旅 』から抜粋して再構成。第3回。
コツというか、心がけというか、日々、抱いている七か条がある。せわしさの中で、ふっと息を抜いた時、自分らしさに立ち返るためのつぶやきのようなものだ。
一、天気のよい日には景色のよいところへ散歩に行こう。二、美しい文章や詩を読み、美しい音楽を聴こう。三、他人への親切に尽くそう。四、身の回りをきちんと整理し、清潔にしよう。五、健康と規則正しい生活を保とう。六、趣味を楽しみ、好奇心を育てよう。七、自分の人生哲学を考えよう。
七か条なんて大げさだけど、たかが七つの自分ルール。せめてこれだけは要所要所で立ち返って、大丈夫かな、忘れてないかな、と指差し確認をする。
そんな自分ルールは、みんなそれぞれ違って良いと思うし、違ってあたりまえである。大切なのは、自分ルールを持っているのと、持っていないのには、大きな違いがあるということだ。もちろん、持っていたほうが良い。どんな立派な人でも、どんなに強い人でも、日々のストレスや疲れ、迷いや悩みからは逃れられない。自分らしさという道から外れて、迷子になってしまうことは普通のことだ。そんな時に正しい道に戻るための案内図というか、お守りは、ぜひ持っていたほうが良いだろう。
もうひとつ大切なことがある。毎朝起きた時、たとえ好きだろうと嫌いだろうと、何かひとつでもやるべき仕事が自分にあることに心から感謝しよう。
ありがとう。ほんとうにありがとう、と。そうすると、ほら、ちからが湧いてくる。
写真/松浦弥太郎
『暮しの手帖』の編集長を9年務め、エッセイストとして人気の著者が、「ものの価値」とは何かを、衣・食・住・旅の4つのテーマでつづりました。ブランドや値段のような指標ではなく、自分の価値観や暮らしに根ざしたものの見方、考え方とは。
松浦弥太郎(著)、日経BP、1760円(税込み)

